②-2 白銀先生栄花夢①

 きょうは、あさもはやくおきたんだよ。


「そうでしたか……。ごめんなさい、私で」


 そんなことないです! ぼくね、おねえさんがきてくれて、とってもうれしいの。


「ありがとう。私がお姉さんだなんて、私も嬉しい」


 おねえさん、いつもそのペンダントしてるね。たいせつなんだね。


「うん。普段は、絶対に見せないの。上着の内側にポケットを縫ったから、そこに入れているの。絶対に見せられないの。だから、今は見せびらかしているんです」


 …………おねえさん……。


「皆で撮った写真があればよかったのにって、これを見るたびに思うの」


 みんな?


「うん。お父さんと、お母さんと、お兄ちゃんと、……お姉ちゃんと」


 ………………。ぼくも


「ん?」


 ……ぼくもね、とってもたいせつにしたいっておもうもの、あるんだ。


「そうなんだね。大切にしていきたいね」


 うん。


「……私が、本当に血族者だったら、養父様の力になれたかな」


 それは、ぼくもそうおもってます。でも、おねえさんもぼくも、とうしゅさまのことがだいすきだから、だいじょうぶだよ。


「うん。そうだよね……。会いに来てよかった。ありがとう」


 こちらこそ! ぼく、おねえさんもとうしゅさまも、だいかんげいです。

 ずっと、まってます。ぼく、まつのはとくいなんだ。

 だから……。




 ……………………。



「今から言う話を、よく聞いてください」

「……養父様。私、外に出ていますよ」

「あなたが聞いても大丈夫な話だ。私たちは大切な家族だ。ここにいていいんだよ」

「はい、わかっています。だから、外を警戒したいんです。……待ってますから」



 ………………………………。




 ぼく、なにかした? まちがえた? ……また、おそかった?

 ごめんなさい。ゆるしてください。

 でも、ばつはちゃんとうけます。だから……。




 え、ちがうの?

 そうじゃないの?

 ぼく、おいだされちゃうんじゃないの……?






「痛い…………」




「………………え?」




 少年が目を覚ました時、まだ部屋は薄暗く、外からは鳥のさえずりだけが聞こえていた。

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