とあるレコードの話
十七夜月 慧
第0話 それは「 」によく似た。
「悪夢は、人が作ったものだ」とは、よく言ったものだ。
愛煙していたゴールデンバットが値上げ問題で廃版になる前に大量買いしたのに無くなった。
まぁ、仕方あるまい。
予備としてとっておいた、最後の一本はどうしようか?
まぁ、もうすぐこの世界が動く。
全ては、低確率で起きようとしている。
私は、ポケットに手を入れビルの屋上から飛び降りn3445674の世界からn3445677の世界へと転移した。
着地した地面はちゃんとアスファルト敷きで、私の体には階段を3段ほど飛び降りた衝撃しかなかった。
さて、安全地帯に移動したわけだ。
私は、本屋へと入り彼の名前を探した。
「あぁ、良かった。君はこの世界では夢をかなえられたのだね」
n3445674の世界で、彼は革命家で昨日の夜決起前にとあるバーでキューバリブレを飲まずに行ってしまった。
「俺は、平和になったら小説を書くよ」
それが、叶わぬ事とお互いに分かって居たというのに。
だが、n3445677の世界では彼は小説家として命を燃やし、尽きて果てた。
末尾の数字しか変わらないというのに、このような事象が起こるとは。
「ホント世界は分からんなぁ」
ところで、この世界で彼はちゃんと画家になっただろうか?
昔買った、パラレルワールドのドイツ人有名画家の絵葉書のコピーを見ながら思考した。
その四隅のすり切れた絵葉書の裏には、アドルフ・ヒトラー特別展とかすれた印刷で書かれていた。
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