異世界の歩き方
異世界さんぽ
店舗にもどって宅配用のホンダのジャイロキャノピーを2台かりうける。
うしろのタイヤが2つあって四角いカゴついてる、ピザの配達でよく見かけるアレだ。
「あまり汚さないでね……叱られるの僕なんだから」
心配する店長に「よゆっす」と安うけあいし、周防くんと2人で「パラリラパラリラ」と珍走し、「ださいしやめなよ」とアップルさんからおしかりをうけるまであそぶ。
さて、この世界の案内は本当に一時間もかからなかった。
てか車でいける所だけなら30分ですんだ。
「ここは四つの陸地でつくられた、鳥たちのふるさとにしてもっとも大切な場所なんです」
世界めっちゃせまかった。
「あっちがわのでっかい建物さあ、さっきあっちでも見なかった?」
どっしりとした石づくりの、灰色の巨城だ、
「ええ、モンスターにのっとられた、フォーゲルヘイムの王城です」
少し考える。
なるほど。
「へー、お城一つじゃないんだね」
「いえ、さっきとおなじ城ですが……?」
少し考える。
なるほど。
「どういうこと?」
「だってずっと東にすすんだじゃないですか。だから、国を横に一周したんです」
「ああ。地球って丸いもんね」
「えーそれじゃ筒じゃん」
「筒だねー」
「石動さんって、本当に適当にあいづち打ちますね……」
「うん。そやって生きてきたからねー」
なやんで力が出るタイプじゃないので、なるべく平気な顔をしているだけで、この筒世界に一応はおどろいているんだよ?
「ちなみに、北に進んだら?」
「国の南端につきます」
「えー封筒じゃん」
「封筒だねー」
封筒かしら? でも筒つながりでうまいこと言うなーって感心する。
ギムさんの説明によると、この国は水路で分けられていて、今いるところはもっとも大きな『エインスラント』。
東西南北、どこにむけてすすんでも対岸は国土の一番はしっこは反対がわにつながってるっていう。
大ざっぱいつくりだなあ。
形はちがうけど、感覚で広さはだいたい店のある下北沢地域ぐらい。
「そこいらに穴ボコいっぱいだね」
「あれ、ダンジョンです。地下はダンジョン大コウモリたちのテリトリーで、モンスターがいっぱいいるから、かるがるしく立ち入らないほうがいいですよ」
「ちょっとみてみます?」
興味がわいたので、みんなで入ってみた。
▶ダンジョン にはいる
「暗。なんも見えん。店長、ランタンくださーい!」
「点けてるよ。でもなにも見えない」
まじかー。
「魔法で作った闇なので、魔法のランプがないと、ダンジョンではなにも見えないんです」
「まじか。こすったらランプの魔人が見させてくれるんだ」
「いや、普通に照らすだけです。光は永遠に消えないそうです」
まじかー。
毎月の電気代たすかりそう。
「よし、今はなにもできないってわかったし脱出だ」
▶ぼくらは にげだした
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