ことり
人の子を奪う事を子取りという。
何処かで見たホラー雑誌の記事だが、そんなことが書いてあった。
何でも子供の小指を集めて箱に詰めるのはコトリバコというらしいし、かつてより呪い恨みの類で子どもをどうにかすることはよくあった。
その反面、その子どもを救うために結成された組織、「小鳥」があるらしい。
起源は戦国時代まで遡る。
お家の為に生まれた長男、もしくは男児たちは皆挙って子取りの対象だった。
大きい家の子ならますます良きものであり、子を盗んでは殺し、家の断絶を図った話はよくある。
今であればGPSやら追跡を付けることが可能だが、戦国時代となればそうとも行かない。
その為、各地域には子どもを奪還するための組織、「小鳥」が存在した。
小鳥の業務は本当に単純で、子が盗まれた場合の奪還だ。
その場合の生死の有無は関係ない。だが生きていればそれほど良いとされた。
盗人の生死は関係ない、死んでいようか生きていようがどうでもいい。
だが、どちらにしろ制裁は加えられるとのことだ。
小鳥の多くは一般市民だ。
忍者やら謎の組織ではなく、地域住民たちの力となっている。
だが、その正体自体は未だに不明だ。
どうやって盗まれた子どもを探すのかもわかっていない。
虱潰しと言われてしまえばそれまでだが、未だに彼らの素性は明らかになっていない。
また、小鳥には1人以上、犯罪者が加えられる。
これは憶測だが、犯罪者であればどこに誰を隠すか、何処に隠れ家を作るかが分かるのだろう。
犯罪心理というものだ。ホワイトハッカーのような。
小鳥という名前は子取りから来ているのだろうが、ある一点では鳥にちなんでつけられているという説もある。
なんでも、何処からかやってきて何処からか奪還してくる様は渡り鳥のような往復を感じるし、報復の際には多数の刺し傷があることから、啄木鳥を連想させるのだとか。
その語源は不明だが、どれも納得の話だろう。
現代でその話が廃れたのは、そう言った子取りの文化が消えたことにもあるだろう。
警察という組織がしっかりと組み込まれた明治時代、一瞬だけ銃社会になったことも起因していそうだった。
小鳥として活躍をしていた者たちはいつしか普通の人間となり、普通の生活を送っている。
きっと、子を取られた親もそういう生活を望んでいたのだという。
小鳥という存在が秘密裏にされてきた理由としては、ほぼ誘拐犯に対して察されない為だろう。
各地域によって小鳥たちの行いは変わる。
本当に誰も殺さない小鳥もいれば、誘拐班が全員殺されるということもあるそうだ。
だが、彼等は決して表舞台には立たない為、これ以上はただの考察と憶測にしかならない。
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