きっと、ずっと、思ってたこと。
岩里 辿
第1話 大森 翠
コンコン、とドアをノックする音が響く。先生が「はーい」と答えた。
「大森さんいますか?」
ドアが開くのと同時に、男の子の声がした。
「はい!」
私は返事をした。驚きと緊張で強張った声が裏返り、元気のいい返事のようになってしまった。
「はい、給食。今日のめっちゃ美味そうじゃね?カレーだカレー」
初対面にも関わらず、フレンドリーに話しかけてくる彼に少し戸惑いながらも、
「ほんとだ、カレーだあ、美味しそっ!」
と、いつもの感じで私は言った。
「大森さんか、はじめて顔見た」
「はじめてですね。えー、と、2年C組?」
「うん、そう。同じクラス」
同じクラスに優しそうな人がいてよかった、と思う。
「じゃあね、また今度来た時は俺が持ってくるわ」
「ありがとう!またね」
彼は手を振ってから保健室のドアを閉めた。彼が持ってきてくれた給食をもう一度見て、美味しそー、と1人でつぶやく。
「よかったねえスイちゃん」
保健室の先生がこっちを見て笑いかけてくれる。
「はい!」
彼、優しかったなあ。保健室登校の私には、みんな少し戸惑った表情で接してくるのに。
それから数分間先生とおしゃべりをして、チャイムがなるのを待った。
キーンコーンカーンコーン、と電子音に近い音が流れると同時に、私と先生は手を合わせて
「いただきます!」
と言った。
木製のスプーンでカレーをたっぷり掬って、口に入れる。具材がほろりととろけて、口の中を満たしてゆく。
「ほいひい!」
私は感嘆の声を上げる。私の大好物のジャガイモが入っていて、本当に美味しい。夢中で食べていると、もうカレーはあっという間になくなってしまっていた。
「ごちそーさまでしたっ」
私は元気よく挨拶をして、先生にトレーとお皿を渡した。
「よく食べるねえ」
先生は笑ってそう言った。
「へへへ、私の胃袋は無限なんですよ」
調子に乗ってそんなことを言う。
明日も来ようかなあ。知らないうちにそんな気分になっていた。
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読んでくれてありがとうございます
私は無愛想だとよく言われるので、そんな私とは真逆の、愛想や可愛げのある女の子の物語を書いてみることにしました
恋愛小説ははじめて書くので、上手くいくかわかりませんが頑張ってみます
(ToT)/~~~
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