水没都市
小阪ノリタカ
第1話 沈んだ街
ずっと雨が降っていたせいで我々の住んでいた街は水の中へ消えた。
屋根や高台などに上って、難を逃れた者もいるが大半の人たちは水の中へ飲み込まれて、命を落とした。
あれから、長期間降っていた雨が止んで生き残った住人たちが協力し「水上都市」を形成し新しい街が誕生した。
ただ、今のところ移動手段が手漕ぎボートしかないのでどこに行くにしても所要時間がめちゃくちゃ掛かる。
モーター付きのボートもあるが高価なため、保有している住人は少ない。
水没前は電車やバスが走っていてどこへ行くのも便利だったが、この街が沈んでからは「水中は走れない」という理由で事実上の路線廃止になった。
移動手段以外は割と暮らしに不便さは感じない。スーパーやコンビニ(規模は小さい)もあるし、水上公園も整備されているので子どもたちも遊べる。
役所関係もあり、普通に転出・転入などといった手続きなどが可能になっている。
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