『リィフの告白と、ディアの封印』(2)

リィフが手に持つ冊子を見ると、それはどうやらファンクラブの会報らしい。

ちなみに、その号の特集記事は、『リィフ会長によるディア様の補習体験記』であった。

リィフは会報を抱きしめて、前のめりでディアに訴える。


「今は非公認の私設ファンクラブやけど、ディア様に公認してほしいんです!」


するとディアは、リィフではなく横のアイリに視線を向けた。

まるで助けを求めるように。


「えぇと……アイリ様。よろしいでしょうか?」

「え!?い、いいんじゃない!?応援は自由だし……」


ディアを応援してくれるというのなら、悪い気はしない。

アイドル並みに人気のあるディアは、恋愛対象ではなく純粋なファンとして応援する女子も多い。

だからリィフは会長としてディアの情報を集めたくて、アイリに応援を頼んだのだ。

……しかし、身近にこんなファンクラブが存在するなんて、アイリもディアもずっと気付かなかった。


「ほな、公認してくれるんですか!?」

「えぇ……まぁ、はい」

「やったぁー!!ありがとうございます!これで、ようやっと公認ファンクラブや!」


全力で会長を務めているリィフの熱意に、思わずディアもアイリも笑顔になる。

リィフの好意はディアへの恋心ではなかったという安堵から、アイリはようやく緊張から解放された。


「高校卒業したら本格的にファンクラブ運営会社を起業するので、よろしゅう頼んます!」

「えっ!?」


さすがに話が大きくなりすぎて、ディアは驚きに声を上げた。

それが高校卒業後のリィフの夢なら、教師として応援したい気持ちはあるが……複雑である。

ディアから許可を得たリィフは、すでにやる気満々でいる。


「次の目標は、ディア様の写真集発売やぁー!!」


すでに、リィフはアイドルプロデューサーだ。ディアは、アイドルという肩書きも増えてしまうのか。

困った様子のディアの横で、アイリもまた乙女の妄想を膨らませていた。


(ディアの写真集、欲しい……私もファンクラブに入ろうかな)


ディアにメロメロなアイリは、ついついファン寄りの思考になっていた。

そんなアイリの横にリィフが近寄ってきて、ディアには聞こえないように耳打ちした。


「アイリ様とディア先生がご結婚の際には、ファンクラブ一同で祝福するで」

「え、ふぇっ!?」


真っ赤になって声を上げるアイリだが、リィフはニッコリと笑って離れていく。

リィフはすでに、アイリとディアの関係に気付いていた。いや、誰が見ても一目瞭然。

二人の仲は、すでにファンクラブ公認であったのだ。

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