第35話 呪い解除
俺は通話ボタンを押した。
「優平か?」
『どうも!ミッキーくん!盛り上がってるとこ悪いね!その部屋に仕掛けた盗聴器で何があったか聞かせて貰ったよ?あ、盗聴器の隠し場所はコンセントの中。後で外して置いて?』
「なっ!!いつの間に!お前!!」
『君のとこに酒呑童子関係の鬼が接触するだろうことは判ってたからね?
とりあえずそこはもうダメだから、指定したホテルへ行って、君達はそこに身を隠していて?
お金は心配しなくていいよ。僕を裏切らないでくれて有難う。君に憑いた呪いだけど、僕が必ず解除するから安心して待っていて?明後日に会おう。
学校はおたふく風邪と言っておくよ。ではね!』
と電話が切れてポカーンとする。
イドミは
「ミッキー様!?どう言うことなのデスゲーム?」
「はあ…とにかく…、ここを出ろってさ」
俺はコンセントの盗聴器を外しておいた。
優平が明後日に来るというホテルに向かうしかない…。
身体の変化を感じる。鬼化するまでどのくらいか判らない。明後日まで保つのか!?
「イドミ…いきなりだけど…。
お、俺は…おっ、お前の事が好きだ!!」
と赤くなり言う。
「い、いきなり何を言うのですカール!?」
とイドミも赤くなる。
「い、今ならまだ!人間の俺の身体があるうちなら……。お、お前とそのなんて言うか…ここここ…も…」
「何ですか?」
「こここ…」
「コケコッコー?」
「違う!!」
「子供を……」
な、何言わすんだよ!!こいつ!判っているだろ!?
「光邦様…。私とつまり子供を作り、その力を子供に継がせたいとお考えですね?それはダメです!」
「えっ!?」
お前っ!俺が好きじゃないのかよっ!
あ、あああ、あんなキスとかしてしてっ!!
何だよ!これ、スッゲー恥ずかしいヤツだわ!
「光邦様…。私、貴方が…好きです…!子供欲しいです!」
「さっきと言ってる事違うじゃねぇか!!どっちなんだよ!!」
「ですから!そのような行為をしても必ずしも子供ができるとは思えませんし、それに…、
それって貴方様が結局死ぬことが前提ですので!そんなことは無理です!光邦様の死と引き換えなど!!私は使役鬼なので命令されれば抱かれることも了承しますけど!私は嫌です!!光邦様が死んでしまうからという理由でなんて!!」
「イドミ…」
「ちゃんと呪いを解いて愛し合いたいです!」
と言うから俺は赤くなった。
「いいい、いや、呪いが解けるなら別にそんなことしなくていいわ!わ、悪かった!変なことを言ったよ!やはりな、なしだ!さっきの無し!!」
と言うとイドミは膨れた!!
「酷いです!ミッキー様!乙女の心を弄びましタンコブ!!好きとまで言っておいて取り消すなど、あんまりです鯛!!」
「うるせえ!ホテルに行く準備しろ!隠蔽の術で隠れながら移動する!」
と言い、俺とイドミはホテルへと向かった。
*
指定されたホテルはクソ豪華だ!!
これだから金持ちは!!
しかもバッチリ結界が張ってあり、俺のより強力だよ!!
そしていい部屋になんか通された!!
「これは!!噂に聞くスイートルームです四!!ミッキー様!広すぎて目眩がしま寸劇」
「お、俺もだ…!
こ、こんな部屋始めてだ!は、入っていいのか!?おい、何も壊すなよ!?」
スッゲー!寝室とリビングと応接間が一体になっとる!!映画とかでチラッと金持ちが使ってるの見たことあったかもしれないが現実だ!!
「ミッキー様…!ヤバイですっ天狗!このベッドが!!物凄くフカフカです!一体何なんですカール」
「どれどれ?」
とベッドを触るとフカアっとして今まで固い敷布団で寝ていた日々がどうなってんだ!?と感じるくらいのフカフカさだった!!
ヤバイな。こんなところでもし鬼化して、ここにある調度品とかぶっ壊しまくって暴れたりしたら…。俺、元に戻っても社会的に破産して死ぬ!!
「ミッキー様…。眠いです…」
「そうだな、もう夜中だし…。寝るか」
「はいっ!」
とイドミは俺のベッドに潜り込む!!
「おい!ちょっと待て!そそそ、そう言うことはしないんじゃ!!」
「はい、しませんよ?でもなんて言うか…。このベッド1人で使うの勿体なくて!!怖いです!!それに光邦様が鬼化しないように少しでも呪いの進行を止めますから密着して眠らせてください」
「進行を止める!?」
「はい、こうして模様の上に手を置きます」
すると何とイドミの手の指先が少し黒くなっていく!
「何だ!?何をした!?イドミ!」
思わず引き剥がすがイドミは
「呪い分けです!こうして少しでも進行を遅らせます!」
「イドミ…!そこまでしなくても…」
しかしフルフルと首を振り、イドミがジッと見た。
「死ぬなら一緒にがいいです!最後まで諦めないでください。光邦様」
何だよこいつっ!も、もう!!
「ば、バカやろー……」
と抱き寄せキスした。しかし…
途中で指を口元に当てられ
「光邦様…。これより先は呪いが解けてからですよ…。ムラムラするでしょうけど我慢してくださいね?」
「なっ!!!あ、あほか!!するか!バーカ!!おおお、俺はお前の色仕掛けなんかに引っかからないんだよ!!」
「キスしたくせに?」
「うるせええええ!キスなんか外国じゃ挨拶なんだよ!お休み!ふん!!」
と寝転んだ!!
それからイドミは再び模様に手を当てて寄り添ってスースー眠りだした。
くそう!こいつだけ!!
でもこのフカフカのベッドは反則だ…。
俺もスヤスヤ眠ってしまったのだ。
*
明後日に優平達が訪ねてきた。
俺は鬼化が少しずつ進んでいた。
イドミの呪い分も片腕は真っ黒になっていた。
「わぁ!ミッキーくん!角が一本生えたね!面白いね!」
とツンツン触るからビクリとする!!
「やっ!やめろおおお!!角触んな!!」
「やっぱり鬼は角が弱いんだね…」
と鈴さんをチラリと見ると鈴さんは赤くなっている。おいいいい!お前ら普段何してんだよ!!
「それより解呪できるのか!?」
「体力の戻った僕には簡単だよ?」
と優平は謎の薬を取り出して模様の上にぬった。
「じゃあ、荒療治をするから…。イドミさんは彼を押さえつけててくれる?」
「え?荒療治って!?おい!?何する気だ!?痛いのか!?」
「痛いと思うよ?」
と優平は白い剣を握った。すると性格が変わった。
「しっかり押さえつけとよ!デケー胸の鬼!おい、ミッキー、歯を食いしばってろ!男なんだから我慢できんだろ!?」
相変わらず、こいつの二面性は怖い!
「ひっ!ひいいいい!お願いだから痛くしないでくださいいいいい!!」
「ヒッヒッ!それはどうかなぁ!?」
と白い剣がバチバチ言い出した!!
【白雷浄化!!】
と唱えその剣を模様に深く突き刺した!!
いっ!!!
「ぎゃあああああああ!!!!」
思わず雄叫びが出た!信じられないくらいの吐き気と痛さが襲い、俺は苦しんで暴れた。イドミはしっかり後ろから押さえているが、苦しい!!気持ち悪い!!俺の中にある黒い蛇のようなものが心臓から剥がれ落ちる度に痛みを伴い続けた!
「うぐあああああ!!」
「ん、もう少しだ…!
っと出てきたな!」
俺の角は引っ込み、いつの間にか模様が浮き上がり、小鬼のようなものに変わった。
それを優平は舌舐めずりしながら
「青龍・白虎・朱雀・玄武・勾陳・帝台・文王・三台・玉女」
【六根清浄急急如律令!!】
と空中の小鬼を斬り、ピチャリと黒い血が優平の頰にかかった。
すると俺の身体はようやく楽になった。全身汗が凄いけど。
イドミの呪い分も綺麗に消えて元の肌色に戻った。
「あーあ、この小鬼の血じゃ満足できねぇな!?茨木童子はともかく、こないだ逃がした、あの双子の鬼…。
ぶっ殺して血を見たいぜ!今はヤクザみたいな身体に入ってんだっけ?めんど臭えけど引き剥がしてぶった斬ってミンチにしてやりたいよ!ヒッヒッヒッヒッ!」
やっぱり怖えええ!こいつ!!
「優平くんは剣を握ると、いつも過激なんですから…」
と鈴さんももう慣れて、ソファーに足を乗せて太腿をちらつかせた。な、何してんの!?鈴さん!!
すると優平がまっしぐらに太腿に被りつきベロベロ舐め始めた。時々恍惚に
「これ俺のだから!!」
とか言ってやがる!!
うわっ!こいつ変態だな!!
と思っていたら鈴さんは奴の後頭部ら辺をガスっと殴って気絶させ、さっさと剣を回収してリュックにしまった。
ポカンとして見ていたら、しばらくして起き上がった優平はいつもの奴だった。
「んははっ…。ご、ごめんね?ちょっと僕変態だったよね?わ、忘れて?
んじゃ、ミッキーくん、また連絡するから、もう少しここに居て休んでていいよ?本家の君達の部屋が整ったら連絡するから。
また鬼が接触しても面倒だし、僕も色々と準備するからさ!それじゃ!!また!」
「は、ちょっと待て!お…」
しかし言い切る前に出て行ってしまった!!
ええええ!?何であいつが俺たちの部屋をををを!?準備ってなんだ?
だが鬼化は止まったし、呪いは消えている。
悔しいけど……あいつやっぱり天才なんだな…。
「ミッキー様…良かったで拗ね。鬼化も呪いも解けました!!…でも汗凄いですからお風呂行ってくだサイン」
「うっ…おお…」
なんだかんだで優平に助けてもらいまくりだ…。恩がまた増えてしまった!!親戚の借金返済と優平の恩返しと数えるとやっぱり頑張ってバイトして勉強して医者になり…、後、術の方ももっと修行して強くなって…、それから…
と風呂に使って考えているいると、ガラリとイドミがタオルを身体に巻いて入ってきた!!
「ぎゃーっ!!!な、何やってんだよバカ!!入ってくんなよ!!」
「だって言いましたから…。呪いが解けたらって…」
と顔を赤くさせ近寄る。
「へ…」
そ、そんなこと…?
い、いいいいや…言っていたけど…今!?
「いや、イドミ!せ、せめてここじゃなくてもおおおおお!!いや、ダメ…あっ!!」
ゴイン!!
慌てたので浴槽の中で足を捻り滑って転んで風呂の淵の角で思い切り頭をぶつけて額からダラダラ血が流れて俺は倒れた。
「ミッキー様あああ!!!」
と叫ぶ声が聞こえたが意識は遠のいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます