第13話 神の前で愛を誓おう

 両国国技館での大相撲。

 千秋楽。横綱と小結が相対する優勝決定戦は、長時間にわたり両者組み合ったままで膠着した。何分経っても動きがない。行司が仕切り直そうとした。


 そこへ謎の老婆が「野暮なことをするもんじゃあないよ」と、行司や審判団の動きを止める。


 そう、この横綱と小結との間には男同士の聖なる愛が芽生えつつあった。

 この二人は古来から続く相撲という神事のなか、純粋な気持ちで組み合っていた。いや、抱き合っていた。


 勝負などは二の次であり、この二人の清く、そのうえ強烈な愛情あふれる濃厚なハグは、長く長く続く。


 謎の老婆は言う。

「みんな野暮な邪魔はするもんじゃあないよ」


 客席の一部、もの好きからの祝福や喝采を受けつつハグは続く……。

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