第2話 理由は

令和の世。

腐敗しきった政治家・役人、利益の過剰追求によって人の道を外れた経営者、その他マスゴミと呼ばれるメディア、凶悪犯罪者、果ては迷惑系ユーチューバーやら詐欺師的アフィカスやら転売ヤーやら新種のインチキ情報商材屋に至るまで……。


社会一般の通念から「悪」とされる者は、何者かの手によって惨殺されまくった。国民の多くは快哉を挙げた。新世紀の救世主だ、との声も多数。

ともあれ、一応法治国家ではある。一連の事件を起こした男は警察に捕縛された。


彼の減刑を求める署名活動は大きなうねりを日本中にもたらした。

皆、固唾を飲んで彼の供述内容を知りたがった。どういった信念からの挙行なのだろうか。


警察からの発表があった。彼による連続殺人はなにゆえ始まったのか。動機の点だ。


「むしゃくしゃしていた。誰でも良かった」


――だそうだ。

国民は総揃えで、ただただポッカーン。「うっそーん」。

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