第2段『酷暑乗り切り緊急支援』で支持率回復を狙う男
Jack Torrance
総理の椅子に固執する男
Why?Why?Why?
何故?何故?何故?
打つべき手立ては全て講じているのに何故一向に支持率が回復シないんだ?
第101代内閣総理大臣、岸田文雄は悩んでいた。
派閥も解散した。
政治資金規正法も改訂した。
定額減税も実施した。
『酷暑乗り切り緊急支援』も8月から3ヶ月限定だが実施する方向で現在の円安物価高にも柔軟に対応している。
岸田はバカだった。
10年に一度の酷暑だと気象予報士は公言しているのに7月に対応が間に合わないと言うとんだお粗末。
定額減税は今世紀最大の愚策だとテレビのコメンテイターから揶揄されても彼には響かない。
己と国民の世論が大きく乖離していることにも彼は気付いていないのだろう。
岸田の辞書には民意という言葉は存在しない。
9月の自民党総裁選への打つべき布石は全て打った。
何が石破だ!
何が小泉だ!
掛かってきやがれ!
そう安安と総裁の椅子わ譲らない。
天上天下唯我独尊!
下僕どもよ、俺について来い。
そのためには麻生だろうが茂木だろうが媚びるだけ媚びてやる。
岸田の秘書官、山辺浩一は岸田に箴言した。
「総理、このままでは安定した政権維持はおろか衆参両院での過半数もままならず政権交代もやむを得ません。ここで起死回生の一手を打たなければ自民党は結党以来最大の危機を迎えるでしょう。国民に訴えかける何かをしなければなりません。円安に物価高、そこにきて今年の酷暑。国民はヒーヒーと悲鳴を上げています。量的緩和ならず涼的緩和で第2段『酷暑乗り切り緊急支援』を打ち出してみてはいかがでしょうか?」
岸田は親指と人差し指でピストルの形を作りシャーロック ホームズのように思案した。
「ふむー涼か!ふむー、パ、パピコを1世帯1つずつ配布するというのはどうであろうか、山辺くん」
山辺は眉間に皺を寄席鬼畜の形相で岸田を窘める。
「総理独居世帯もしくは夫婦2人世帯ならばそれでも良いでしょう。しかし、それが夫婦2人子供3人の5人家族がモデルケースとなった場合どうなるかは先見の明がない人物でも容易に想像はつくでしょう。①子供がいない時に夫婦でこっそり食べる②親が我慢し子供にパピコを与えるが3人に対してパピコは2本しかなく松田優作の息子達みたいな肉の奪い合いになり壮絶な修羅場と化し警察沙汰となって家庭内不和の要因となる③家族5人で『一杯のかけそば』のように慎ましく2本のパピコをチューチューして希望の持てない将来に悲観して一家心中。総理、このようなモデルケースを鑑みた上でそのようなお粗末な御決断を下されるのでしょうか」
岸田はまた親指と人差し指を顎に当てシャーロック ホームズスタイルで思案する。
「な、ならば山辺くん、おとぼけくんアイスを1世帯につき10本ずつ配布するというのはどうであろう。うむー、しかしこれでは莫大な経費がかかってしまうな。予備費にはそんな余裕はないはずだ。また補正予算を組み直さなければなるまい」
渋面を滲ませながら思案に暮れる岸田を他所眼に山辺が言う。
「総理、何も補正予算をいじらずとも簡単なことです。総理以下、無能な閣僚と国会議員の夏のボーナスを国庫に返納すれば済むだけの話です」
岸田は渋面を鬼面に変え山辺を睨めつけた…
第2段『酷暑乗り切り緊急支援』で支持率回復を狙う男 Jack Torrance @John-D
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