第12話「聖剣編1:ブリダッタスと吸血鬼城への道」


尚樹とヴェルザンディはフロンテイションで準備に取り掛かっていた。

次のステージに向かうまでにやること。


それはレベルを10まで上げて装備を整える事である。


一見簡単そうに見えるが、この【ドラグーン・ブレイド】ではかなり時間がかかる。

まず、金がレベル上げに必要だからである。レベル2から9までは500Gで冒険鑑定屋でレベルが上がるが、レベル10からは1上げるのに1500G、レベル20からは4500Gとどんどん値段が上がっていくのである。


更に武器に関しては使用制限があり、鉄の剣なら5回ほど攻撃すれば壊れてしまい新たに購入しなければならないのでストックしておかなければ攻撃力が低いままの戦闘になるので不利になる。


レベル上げのためにギルドマスターズに頼んでクエストを受けて、依頼金を売る取るのが初期の金策であるが、これがまた非常に手間がかかる。


主なクエストとして


『スライムジェルを200個取ってきて欲しい 【5000G】』

『食い逃げ犯のサスケを捕まえて欲しい【2000G】』

『敷地の草刈りをしてほしい【500G】』

『子供の宿題を見て欲しい【320G】』


というモンスター討伐からお使いまで豊富にある。難易度が高いほど金額が高いがモンスター討伐は序盤にやるのは苦行と言われ、【スライムジェム】はスライム系モンスターを倒せばドロップされるアイテムだが200匹倒すまでにおよそ5時間かかる。

 というのもこれらのモンスターはカミラの森で行われるがモンスターはスライム以外にも出現し、スライムは逃亡しやすいのでその前に武器が壊れたり魔力が尽きて他のモンスターに倒される可能性があるので5000Gにつられて受けると痛い目を見る。

 更にギルドマスターズで受理したクエストの報酬はギルドマスターズによって30パーセントが施設の運営費用として天引きされるので、5000Gから30パーセント惹かれた報酬額の3500Gしかもらえないので割に合わない額になる。


幸い今はマイと山分けしたドロップアイテムがあり、まずはこれらを換金して現金化することにした。


フロンテイションのアイテム貿易店【どろっぷさん】はアイテムの売買ができる。

ドロップアイテムを換金してもらい、合計13000Gにまで持ち金が増え、それを使って尚樹とヴェルザンディはレベル上げを行った。


これにより尚樹のステータスは


尚樹 Lv2 → Lv10


HP :28    →HP:253

攻撃力:11   →攻撃力:75

防御力:09   →防御力:50

魔法攻撃力:17 →魔法攻撃力:117

魔法防御力:20 →魔法防御力:120

魔力:25    →魔力:180

幸運:08    →幸運:52


とかなり上昇した。

更にレベル10になったことで新スキル【バトルワルツ】を取得する。

これは戦闘中に使えるスキルで歌を歌って攻撃するという吟遊詩人の専用の技だ。

『業炎の歌』、『氷嵐の歌』、『稲妻の歌』、『震動の歌』の4つを覚え、本格的に戦力として活躍できるようになる。



ヴェルザンディは


ヴェルザンディLv3 → Lv10


HP :30    →HP:229

攻撃力:19   →攻撃力:66

防御力:13   →防御力:54

魔法攻撃力:23 →魔法攻撃力:93

魔法防御力:15 →魔法防御力:105

魔力:40    →魔力:200

幸運:11    →幸運:47


と、このようにステータスが上がった。新しく攻撃技『セイクリッド・ライト』、『ジャスティブレイク』、『ヘブン・フォール』を覚え、戦力として使えるようになった。


このゲームは素早さの概念が無い代わりに幸運の数値によって行動準が決まる。より高い方が先手を取れるので上げるのに越したことはない。


武器も剣を売り払い、尚樹は代わりに『アイアンロッド』、『フォースシールド』を装備として入手。ヴェルザンディにも同じ装備を購入。回復薬を30個、魔力回復薬を20個、ファイアグレネードを50個購入し、次の目的に向けての準備を整えた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 


ギルドマスターズで、貴族の血を引くヴァンパイアハンター・ハロルドと合流しクエストに向かう。


「お前さん達が期待の新人だな! 頼りにしてるぜ!」


彼は魔王軍八輝将の1人、吸血鬼イワンを討伐することを目標としており、アンデット・不死族を倒すことに特化した能力になっている。


彼と共にむかったブリダッタスは大陸でもっとも巨大な王国である。

レンガ造りの建物と大規模の工場、貴族達の敷地には大きな農業・農園があり名産品のワインは各国に輸出されている。

1000年以上続く王家と、その下にいる貴族たちにより繁栄してきた。鉱山から取れた鉄を加工し、様々な道具を作り出して物資を大量生産するシステムを作り、各国との貿易もしているのだ。

 先代魔王と勇者の戦いの時も勇者バルドールを後方支援し活躍した。バルドール無き今は新たな魔王軍の勢力対抗のため、冒険者達の育成に財力を注いでいる。



ブリダッタスの町から離れたモンスター達の森・【ナイトメアフォレスト】を目指して馬車に乗って移動する。


「本来なら徒歩で2日かかるんだ。貴族のでヴァンパイアハンターの俺がついているのを感謝するんだな!」


ハロルドは傲慢な態度をとるが、実際それだけの距離があるので感謝はしておくべきだろう。ちなみにハロルドのステータスは


ハロルド・アッシュガルド 職業:ヴァンパイアハンター


HP:280 

防御力:78 

攻撃力:112 

魔法攻撃力:69 

魔法防御力:94

魔力:54  

幸運:27 


レベル11

種族:人間

特技:アンデットキラー、シルバーバレット


と高めの数値かつ、アンデットやヴァンパイア等の不死族モンスターに対して強い設定になっている。だが、ハロルドが戦闘に参加することはない。彼は目的地についいた後、体調不良になり離脱するので、結局尚樹とヴェルザンディで乗り込むことになるのだ。


案の定ナイトメアフォレストの前についた後、ハロルドは顔を青くしてお腹を押さえて倒れる。


「あああ…! お腹がいたいいいい…!」


ハロルドは昨日の晩、景気づけに和食の店で生牡蠣を食べたそうなのだ。おそらくそれが原因だろう。


「悪い…、回復したらいくから先にナイトメアフォレストに向かってくれ! まっすぐ行けばイワンの居城が見えるはずだ…!」


そう言ってハロルドは馬車で簡単な寝床を作り横になった。尚樹とヴェルザンディは森へと向かっていった。



森の中は昼間だというのにどこか薄暗く、モンスターが今にも出そうな空間である。エンカウントするモンスターはシビレグモやダークホビットと言った下級モンスターであり、基本一撃で倒せるような相手だが、戦闘を避けたいときは煙幕を使って逃げることを繰り返した。


その道の途中だった。


「「キャアアアアアアアアアアアアアーーーー!!」」


「来ましたか…!」


この森では新しい仲間を得るイベントがある。それを知っていた尚樹は意気揚々に入りだした。


「尚樹! 私が一番よねえええ!?」


ヴェルザンディは複雑な気持ちで尚樹を追いかけた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る