第8話「序章編6:試練開始、ラカミの森!」


クソゲー雑学:3

発売前は【ドラゴンファンタジー】という名前のゲームにしようとしたが、大手ゲームメーカーで近い名前のゲームがあり、著作権の関係やその会社や他社からの苦情があり名前を今の【ドラグーン・ブレイド】にした。ただどうしても「ファンタジー」を名前に入れたくて副題に【黄昏のファンタジア】と入れることで妥協した。



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―ラミカの森-


ここはフロンテイションから徒歩1時間程の場所にある森である。

敷地は広く、海に面しており多種多様なモンスターが生息しており、周囲一帯は魔法結界と巨大な壁によって隔たれている。


ここに入ることが出来るのは冒険者試練を受ける冒険者見習い、もしくは冒険者クエストで必要な素材を取りに行くのに必要な場合だけだ。


尚樹、ヴェルザンディ、ジョー、マイはギルドマスターズに試練登録をし、


『市連中はいかなる場合においても戦闘不能にならない限り森の外に出ることは出来ません。またラミカの森で起こった負傷について一切の責任を問いません』


と書かれた契約書にサインと拇印を押し、ついに試練が始まる。


「へへへ! レベルアップで覚えた新技をさっそく使うチャンスが来たぜ!」


ジョーはあの後鑑定屋でレベル5から7になり、新技【ローリング・アックス】を習得していた。

全体範囲の物理攻撃技なので、まとめてモンスターを倒すことが出来る。


「調子に乗りすぎてドジ踏むんじゃないよ! あんたら傷ついたらこのアイテムを使うんだよ」


マイは尚樹とヴェルザンディに体力回復のポーションを渡した。


「ありがとうございます!」

「お! 早速モンスターのお出ましだぜ!」


4人の前に、敵モブキャラクターおなじみのスライム、そしてゴブリンの2体が現れる。


「いっけー! 必殺【ローリング・アックス】!!」


ジョーが斧を回転させながら投げると、ブーメランの様な軌道でスライムとゴブリンを倒した。


「凄い…! 2体同士に!」

「どんなもんよ!」

「はいはい凄い凄い」


ジョーが尚樹に自信満々に誇っている傍でマイはドロップアイテムの【スライムジェル】と【エメラルド】をアイテム収納袋に入れていた。


モンスターは倒すとアイテムをドロップし、冒険者になるとアイテム収納袋を渡されて、アイテムを手にできるが、試練をクリアしていない冒険者見習いの状態ではもらう事が出来ない。


「後でアンタ達にも分けてあげるから!」


マイはそう言って収納袋をもう1つ用意していた。

ちなみにジョーが最初に攻撃したが、実はこれもゲームの様式そのものである。


このゲームには【素早さ】の概念がなく、「仲間からレベルが高い順番に攻撃していく」というシステムでプレイヤーターンが進んでいくのだ。

どれだけレベルを上げても仲間から攻撃するのでプレイヤーが有用ステータス強化技を覚えても最初に使えないという欠点がある。さらにこのゲームは「仲間に攻撃命令できない」使用になっており、プレイヤーが行動選択をした後仲間のキャラAIが自動的に攻撃手段を選択するので、細かい指示が出来ないため戦闘のストレスが溜まっていくのである。


「次のモンスターが現れたぜ!」

「今度はアンタ達が戦ってみたら?」


マイがそう言って、尚樹は魔撃で、ヴェルザンディは念撃でインプを攻撃して倒した。どうやらこの世界ではそこまで制限はかからないらしい。


「くっ…1人やられた!」

「撤退だ!」


残ったモンスター達は撤退した。


「逃げやがった!」

「また出てくるかもしれないから深追いは禁物よ」


そしてこれが戦闘におけるクソゲーポイントの1つであり、「敵が逃げ出す」と言う選択をするである。

プレイヤー、冒険者サイドは逃げるコマンドがないが、敵はダメージを受けるか、初ターンで逃げ出すことが多い。


一見戦闘が長引かないいいシステムにも思えるが、特定のアイテムが必要なクエストにおいて、狙ったモンスターが逃げ出すのはクエストの攻略を遅らせることになり、プレイヤーにストレスを貯めさせる要因となった。


「次は私がやるわ!」

「気を付けてくださいヴェルザンディさん!」


4人で協力してモンスター達を討伐していった。


だが、そのクエスト中に尚樹が予想しえない事態が起ろうとしていた。

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