もてなし

五速 梁

第1話 ⑴


 とてもきれいな、鳥を見た。


 目が、見たこともないようなつぶらな黒さで。 


 トサカあたりの白い毛が、ひゅっとはねあがって。


 窓の外を、掠めるようにしゅっと通り過ぎただけなのに


 わたしはご飯のこともどうでもよくなるくらい、心を奪われてしまった。


 あの美しい鳥は、どんなものを食べるのかしら。


 わたしは動物が何を食べるか、よくしらないけれど


 このあたりにはいない鳥だから、食べる物もつまらない物なんかじゃないはずだ。


 わたしは鳥がまた窓の外を横切らないかと、ずっと同じ場所で外を見つめていた。


 でも


 いくら待っていても、美しい鳥は戻ってこなかった。


 待っているのに。必ずまた来るはずなのに。


 おかしい、とわたしは思った。


 ずっと見続けているのだから。こんなにも待ち焦がれているのだから。


 伝わっていないはずがない。わたしのことを知らないはずがない。


 わたしは一瞬、黒い物にとらわれそうになった心を慌ててなだめた。


 そんな風に考えてはいけない。何かおいしそうな物でも見つけたのかもしれない。


 なぜならあんなきれいな鳥はきっと、わたしの知らない広い世界を知っているはずだから。

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