太陽国奪還
イゼ「いや~二人ともあれから凄い成長したね~!」
サン「あんなキツいの五日間やれば…」
ゼロ「多少は成長してねぇと困る……」
決戦前の夜。三人は焚き火を囲みながら話し合う。本来、一ヶ月で仕上げるつもりが五日間で仕上げることになったのだ。特訓はそれはもう過酷なモノだったのだろう。
ゼロ「さて、明日の決戦のことなんだが……」
ゼロが何か話そうとした瞬間、イゼが話し出す。
イゼ「明日は二人が強悪、私が虫悪の相手をする感じで行きましょう!」
ゼロ「一人で七大悪の相手をするつもりか!?」
イゼ「私ならあの老人一人でも倒せるわ。それに、強悪はゼロ達の相手をしたいと思うし!」
ゼロ「そんなに俺を逃がしたのが悔しいってのか?アイツ」
イゼ「いや~?直感だよ~!」
イゼは直感と言ったが、おそらく何らかの確証があるのだろう。ゼロはそう考えた。
サン「ゼロ、イゼ。本当に、王国のため力を貸してくれてありがとう。私が一人で戦っても、おそらく敗北に終わった…だが今は、勝利を手にできる確信がある。それほどに君達は心強い。」
ゼロ「感謝なんてする必要ない。俺は元々、七大悪を殺すためにこの国へ来た。偶然お互いの敵が同じだっただけだ。」
イゼ「感謝は素直に受け取りなさいよ~!」
そんな話し合いをしながら、三人は決戦前の夜を過ごした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
決戦の日、早朝から三人は七大悪の元に向かう。
ゼロ「強悪は俺とサンに任せろ。イゼ…虫悪を頼んだぞ。」
イゼ「まっかせなさーい!!私にかかれば瞬殺なんだから~!」
サン「二人がいると頼もしいな…王国を取り戻す!行くぞ!」
サンの掛け声と共に三人は王国へ入る。
王城まで来ると、玉座への道と地下に続く道がある。ゼロとサン、イゼの二手に別れ、ゼロ達は国王の玉座、イゼは王城の地下に進む。
ゼロとサンが国王の玉座に向かうとそこには…
強悪「来たか。恐れを知らない弱者共」
二人を玉座に座りながら見下すように見つめる。
ゼロ「恐れは捨てた。過去に全てな。」
サン「王国の終わりが私にとっての恐れだ。命尽きてでもお前を殺す!」
強悪「臭ぇこと言ってんじゃねぇよ。さっさと殺ろうぜ。」
ゼロとサン、強悪の間でどちらが先手を打つかの鬩ぎ合いが始まる。そして先手を打ったのは
ゼロ「…ッ!」
強悪「…ほう」
以前の数十倍のスピードで急接近をし、ゼロは急接近の間に創り出した炎纏い龍刀を強悪に振り下ろす。
強悪は魔力の込めた拳で再度、叩き割ろうとするが、この短期間で成長したゼロを甘くみていたらしい。
強悪「耐えてるだと…?俺の拳に」
ゼロ「地獄みたいな特訓をしたんだ!これぐらい越えねぇと意味がねぇからなっ!」
強悪が次の策を考える中、もう一人急接近で近づいてくる人物がいる。
サン「私のことも忘れたとは言わせません!強悪!」
太陽のように輝き燃え盛る剣を、強悪に振り下ろす。
強悪はもう片方の拳で叩き割ろうとするが、サンもあの地獄の特訓を越えた者だ。以前のように戦いにもならないことは無いだろう。
強悪「このガキ共…!どんだけ力を蓄えてきてやがる!」
ゼロ「この玉座で寛いでたお前よりは強くなってることだけは確かだぜ!」
強悪は次の瞬間、力に押され体勢を崩す。
強悪「ッ!?」
この俺が体勢を崩された?七大悪の俺が?
ゼロ「今だ!」
サン「太陽国サンに伝わりし宝剣の力!罪深き悪人に!裁きの炎が焼き尽くす!」
二人の刃が強悪を切り裂く。
一撃、二撃、止まることなく追撃が続く
強悪「ぐっ…!?」
ゼロ&サン「うおおおおおおおおおッ!」
強力な一撃が振り下ろされるその瞬間だった。
二人は重い打撃を叩き込まれ吹き飛ばされる。
ゼロ「ガッ…!?」
サン「なに…!?」
笑う。ただただ笑う。強悪は笑う。
強悪「俺の能力。言ってなかったな?俺は戦闘が長続きするほど強化されてくんだ。俺はお前達を越えたんだよ。今この瞬間だ!」
ゼロ「…反則みてぇな能力だな。」
サン「こんなにあっさり越されるなんて…!」
ゼロ「力を越されたところでやることは同じだ。お前をぶっ殺す。」
ゼロの闘志はまだ燃えていた。その眼に殺意を込めながら。
ゼロは両拳に龍の炎を纏い、強悪に向かっていく。
そして強悪の間近まで来た瞬間、腕に力を込め、目で視認することができないほどの速さのストレートを叩き込もうとするが…
強悪「学ばねぇな。俺はお前の力なんざとっくに越えてんだよ。」
片手でストレートを受け止める。そして離れることができないほどの力で拳を強く握る。
ゼロ「ッ…!離れねぇ…どんだけ強い力で握ってやがる…!」
強悪「そりゃあ拳を叩き込むのに動かれちゃ困るもんなぁ?」
もう片方の腕に力を込め、魔力を纏った拳で殴り飛ばそうとする。
だが拳を叩き込む寸前、間近に宝剣を強く握り強悪を斬り裂こうとする国王がいた。
サン「私は…!まだ…!王としてお前を討たねばならない…!」
サンが宝剣を振り下ろす瞬間、ゼロを殴ろうとしていた拳は軌道を変え…
サン「は…?」
宝剣を砕き割る。そして勢いは衰えないまま、サンの顔面に拳を叩き込む。
サンはそのまま地面に倒れ込む。
サン「……ッ…ガ……」
サンは意識を失った。ゼロは拳を強く握られているままだった。
強悪はゼロを空中に投げ飛ばす。そして…
強悪「真の強さは俺のことを言うんだよッ!」
魔力が込められた重い蹴りを叩き込まれ、城の壁を突き破り、闘技場の方へと吹っ飛ばされる。そして闘技場のド真ん中に墜落する。
ゼロは意識が朦朧となる。
俺はここで死ぬのか?いや、そんなことは許されない。立ち上がれ。今すぐに。七大悪を殺すために。
ゼロ「俺は…まだ…この命を終わらすわけにはいかない…」
そう言うとゼロは意識を失った。
魂の闘志を燃やしながら。
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