第12話:心の告白
翌朝、目が覚めると、まだ蒼大のことを考えていた。
彼に対する気持ちを知ってしまった以上、普段通りに過ごすことは難しい。
かと言って、この気持ちを悟られてしまったら、もう元の関係には戻れない。それは嫌だ。
そっか。
みんな、こんな気持ちだったんだ。
私に告白してくれた人達みんな、すごい勇気を持って好きだって言ってくれてたんだ。
学校に行く準備をしながら、鏡に映る自分の顔を見つめた。
少し赤くなった頬に触れながら、蒼大のことを考えると自然と笑みがこぼれた。
「蒼大にお礼をちゃんと言わないと」
学校で蒼大に会ったとき、彼の笑顔を見ると、昨日の夜の夢が鮮明に蘇った。
彼の優しい声が耳に響き、心が温かくなった。
「おはよう、美月」
蒼大の声に振り向くと、彼がいつものように優しく微笑んでいた。
その笑顔に、少しだけ勇気を出して、彼に向かって微笑み返した。
「おはよう、蒼大」
その瞬間、私は決心した。
少しずつでも蒼大に好きになって貰えるように、私なりに努力をしようと。
「昨日はありがとう。ひまわりも嬉しかった」
「それは良かったよ。花言葉も調べてくれた? 」
「うん」
「それじゃあ、美月の気持ち教えてくれる?」
私の気持ち…
少しでもちゃんと伝わったらいいな。
「ありがとう。すっごく嬉しかった」
「それじゃあ…」
「私のこと応援してくれたんだよね」
「え?」
「ひまわりの花言葉。"あなたは素晴らしい"この前、私が言ったでしょ?それで、私のこと励まそうとしてくれたんだよね」
"偶に内面を見て貰えてない気がして、虚しくなる。"
蒼大にポロッと本音をこぼしてしまったことがあった。そのことをずっと覚えてくれていたんだと思う。
「…そう来たか、」
「え?」
蒼大は少し戸惑った表情を見せたが、すぐに笑顔を取り戻した。
「そうじゃないよ」
「え?違うの?」
じゃあやっぱり、最後に行った場所がひまわり畑だったから?
「もちろん。それで元気になって貰えた事は嬉しいよ?だけど向日葵に頼らなくても、美月のいい所は俺がこれから教えてあげれたらいいなって思ってたから」
「蒼大、」
「でも、俺が本当に伝えたかったのはそっちじゃなくて。美月、実はね…」
私は蒼大の言葉に耳を傾けた。
「ひまわりの花言葉には、もう一つの意味があるんだよ」
「もう一つの意味…?」
もう一つの意味って…
私、勘違いしちゃってもいいの?
「うん。ひまわりは『あなただけを見つめる』っていう意味もあるんだ」
「っ、それって…」
蒼大は少し照れくさそうに微笑んだ。
「俺は美月の『もう二人とも来てたんだ』」
また、お兄ちゃん…
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