ブスで冴えない幼馴染に小竜景光されて異世界転生でお願いしますと言ったけど地獄行きでお願いします。俺の事どこかの英雄と勘違いしてませんか
甘いからあげ
第1話「ねぇ、異世界転生って知ってる」
「ねぇ、異世界転生って知ってる」
自室でゲームをしていると、
幼馴染の川人綾乃が、突然後ろから声を掛けてくる。
これがどうにもブスで冴えなくて、なんの役にもたちやしない。
そんな哀れな生き物に、同じ人間だから。
幼馴染だから。
近所に住んでるから。
そんな理由で哀れみを持って守ってやっていた。
あまりにも可哀想だから。
俺が幼い頃からかばってやっていたんだ。
そうじゃなきゃ食い物にされるかいじめられて自害してたね。
うーん。俺優しい。
いじめられて自害する人間の気持ちなんて俺には分からない。
だって、俺強いし。
公園デビューの時も、小学校に入った時も。
俺はずっと強くて。
他者を力で捻じ伏せて。
誰とも分かり合えなくて。
誰も俺の事を分かってくれなくて。
誰の事も俺は分からなくて。
1+1も分からなかった。
教師が馬鹿にしてきたが、力を示せば、馬鹿にしてこなくなった。
1+1なんて分からなくていいんだ。
俺は強いから。
お父さんもお母さんも、いつも泣いてた事は覚えてる。
気づいたら、お父さんもお母さんもいなかった。
生活には困らなかった。
だって俺は強いから。
突然、自室で後ろから綾乃に話しかけられたら、異常事態だというのは分かる。
でも、どうしようという気にもならなかった。
そのまま、ゲームを続けていた。
後ろから、日本刀で切られたような痛みだ。
うーん。これは小竜景光
振り返って確かめなくても、分かっちゃうんだよね。
俺ぐらい強いと。
「地獄か異世界転生かどっちがいい」
そう言いながら、綾乃は小竜景光で俺を切り続ける。
「じゃあ」
「異世界転生で」
そう応えてもまだ、俺はコントローラーを動かしていた。
綾乃は、一心不乱に俺を小竜景光で切り続けていた。
良い体力しているじゃない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます