第10話 やべ、就活の頃思い出した
なんとかアインは意識が戻ったんだが…。
「重いってなんですか…重いって…。」
とまあ、こんな感じにプンプン怒っている。これは謝らなきゃな…。
「な、なあアイン…なんかごめんな…。まさか体重がコンプレックスとは思わなくて…。」
「ふん!いいです!もう口聞いてあげません!」
ありゃりゃ、これは謝っても無駄だな…。
「なあほんとにごめんって…。」
「だから口聞いてあげません!」
「いや、口聞かない割にはしっかり聞いてるじゃん。」
横からクロトの一言が飛んでくる。
「あっ…もう!」
クロト…マジでフォローナイス…アイン半泣きになってるけど。
「あ、あのよ…。」
「ん?どうしたベルフ?」
「ああ…さっきは怒らせてしまってホントにすまなかったな。できるだけだがこいつとあんまり喧嘩しないようにするわ…。」
「私も同じだ、先程は本当に申し訳なかった。あまり乗り気ではないが私も善処する。」
うん、二人はしっかり反省してるみたいだな。
「大丈夫だって。俺もちょっと怒りすぎたわ。」
「いや、お前が言ってくれなかったら俺達ずっと言い合ってたと思う。だからお前は何一つ悪くないぞ。」
「そうか…しっかり反省してくれてるみたいだしよかったわ。これから喧嘩なんてするんじゃないぞ?」
「わかったって。」
二人の件も一件落着だな。
そう話している内に周りの声が聞こえてきた。
「四賢神だ!おかえり!」
「帰ってきたぞ!…ってあと一人は誰だ?」
「誰だ?あの白い髪の女は。」
「白い髪のやつめっちゃかわいいじゃん!」
四人の帰還に迎える民衆の声、そして俺に対して『誰だ?』と疑問を持つ声など聞こえてくる。
そりゃそうだ、待ってた四人の帰還に一人だけ知らない奴がいたらそうなるわな。
「なんか美人って言われてるぞ?」
「明らかに鼻の下伸ばしてるやつに言われても嬉しくねぇよ。」
「あー…あいつ確かに伸ばしてるな…。」
はぁ…前世でイケメンとか言われたかったよ…なんで下心しかないような男に言われなきゃなんねーんだよ。
しばらく歩いていると城のすぐそこまできていた。
(うわ〜、すげ〜…。)
やばすぎて語彙力無くなっちゃったよ‥。見た目はシンデレラ嬢の白色版みたいな感じ。
「これが城か。」
「うん、この城はアーサー城って言われてるんだよ。」
なるほどね…アーサー城っていうのか。
城の前にある門を潜るとその壮大さはさらに増す。
「さて、とりあえずオーサマのとこ行って報告しなきゃな。」
「え?王様に会うの?」
「そうだが?」
うわ〜、何この緊張感…就職面接を思い出す…。うっ…頭が…。
「だ、大丈夫?なんか震えてるけど。」
「お、おう!だ、大丈夫だぞ!ちょっと緊張してるだけだ…。」
「別に王様は怖い人とかじゃないからそんなに緊張しなくても大丈夫だよ?」
「そ、そうか…。」
(クロト!そのセリフ言わないで!面接官も同じこと言ってたから思い出しちゃう!)
う…なんでここで就活のこと思い出しちゃうんだよ…。
そう思っているとベルフが城の大きな扉を開けた。
そこには煌びやかな階段やシャンデリア、高級そうな骨董品などが置かれている。
(すごくきれいだなー。)
多分俺の顔は今、頭の悪い人みたいになっているだろう。
「うわ…顔すごいことになってるぞ?ほんとに大丈夫か…?」
「国王、先ほど四賢神が森から帰ってきました。ですがもう一人、何者かがいます。」
「ふむ…分かった、感謝する。下がって良いぞ。」
「はい。」
使用人が王室から去っていくのを確認すると国王であるアルミニウスは玉座の上でその『何者か』について思考を巡らせる。
(私が四人を派遣する前にはいなかった…おそらく森にいたところを連れてきたのだろう…森にいたとしたらその『何者か』は先程のあの轟音と関係があるのか?絶対に何か関係があるはずだ。あの地割れや木が薙ぎ倒されたのも関係があるに違いない。)
『何者か』について、アルミニウスは推測と疑問を頭の中で自問自答する。
あ〜…やばいやばい…どうしても面接の事思い出してしまう…。
多分俺のスキルの中にあるであろう記憶を消すスキルを持ってしてもこの記憶は消えないだろう。
そう思いながら廊下を歩いていると扉が見えてきた。
「さ、着いたぞ。ここが王室だ。」
「やばい…すごい緊張する…。」
「大丈夫?一回深呼吸する?」
「ああ…いや、大丈夫…。」
「そ、そう?」
王室の扉が開かれると中央には玉座があり、王様が座っている。横には最初に見たような高そうな骨董品が置かれていた。
うっ…さらに頭が痛くなってきた気がする…。
俺の頭が痛くなっている内に四人は跪く。
「ご苦労だった。さて早速だがその白い髪の者について話してもらおう。」
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