≪経験値吸血≫スキルをもつ吸血鬼の少女は[魔境]に捨てられました。
新山田
第1話 独り立ち・ハイパーデラックス
兄は”魔王”と恐れられる存在となって帰ってきた。
そしてパパとママを殺し『シアよ。ここで生き残ることが出来たのなら我が魔王軍に入れてやらんでもないぞ・・・そのためにお前は独り立ちせねば』そう言って此方を捨てた────
────上空から。
「ギャアアアアアアアアアアア!!!!」
3000メートルほどの高さから落ちれば吸血鬼も死ぬ。
「うぉぉぉぉおお!こなたはぁいぎでやぶぼぼばばば」
風が一気に口は流れてきて決意も口に出せない。
目も開けられない・・・もう祈るしかない。
お願いじゃ何でもいいから生きたいんじゃ!
ザバァン!
幸運にも落ちた先は湖。
でも此方は、
”金づち”じゃ!つまり・・・・・・泳げなんじゃ☆
「アボボボボォ」
──────────────────────
「ホガガァァガガ!ガガガ!」
形振り構わず暴れた結果、
岸まで流れ着いた・・・そして口にはいつの間にか魚を一匹咥えていた。
「ペッ!」
吐き出すと地面で跳ね続ける魚。
グゥゥゥゥ
鳴る腹の虫。
するべきことは一つ。
「いただきます!」
ガブリッ!
「んふー!生でもうまいのー!それに血もうまいんじゃ!」
腹が減っていたら対外なんでもうまい。
それに血が加われば、とうぜん星3じゃ!
「ごちそーさまでした!」
うむ!うむ!腹が膨れた。それに経験値も貯まったようじゃ!
此方のスキル≪経験値吸血≫に、
お魚さんの持っていた経験値が入ってレベル4を吸収できた!
「一人で生きねばならぬゆえ許せ、お魚よ!・・・」
骨まで食ってしまうたから、
墓も立てられないが手を合わせてその命に感謝した!
「うぅ・・・うぐ・・・うう」
腹が満たされたことでパパとママのことを思い出してしまった。
視界がぼやけてくる。涙じゃない・・・湖の水は目に入っていただけじゃ!
それにここでクヨクヨはしてられないんじゃ!
目元を拭いてたちあがった。
「なっなんじゃここは!?ギャアアアア!」
行きつく先、行き着く先どこへ行っても化け物しかおらん!
「なんじゃあ!レベル200って!あのゴミクソ”魔王”!わざとこんな[魔境]に落としたなぁぁぁぁぁ!」
後ろから追いかけてくる二足歩行するデカい爬虫類[ドラゴン]から逃げる。
「絶対生きて!此方は復讐するんじゃあああああ!」
ここで強くならんとパパとママに顔向けできん・・・でもどうやって強くなればいいんじゃ?此方はレベル4じゃぞ!
ここはあまりにも場違いすぎる!いったいお魚さんを何匹食べればいいんじゃ!
「グバァ!」
そんなことよりいまは!とりあえず逃げねば!
◇ ◇ ◇
フィールド[魔境より下層”紺碧”]レベル200~250
「ふぅ・・ふぅ・・ようやく逃げ切れたんじゃ~」
こんなに走ったのは久しぶりじゃ・・・まったく疲れた。
「それにしてもここは涼しいの~」
外とは違って日がなくて落ち着くんじゃ~やっぱり此方は吸血鬼じゃな~。
「クンッ!クンッ!・・なんだかいい臭いがするのう」
つられて足が進んでしまう。
「おお」
目の前に大きく新鮮な屍じゃ!そして新鮮な血も流れている!
「んふっふ~吸血鬼としては吸わぬわけにはいかんの~」
ちゅるりっ
体を走る激震。
「こっこれは!これほどの経験値を含む獣だったとは!」
もはや欲を抑えるモノは無い。
思いっきりカブりついた。
「これは!さっきのお魚さんとはえらい違いじゃ!とっても美味じゃ!」
お魚さんごめんなさい・・・でも本能とは正直ゆえ許してほしい。
「うまうま」
肉も血も平らげた。
「此方は満足じゃ」
そして・・・経験値も。
でも
「もっとほしい」
そしてここでなら力を蓄えられるかもしれない。
◇ ◇ ◇
洞窟はとてもふかくまで続いていてそして広く碧い。
そんな幻想的な地下世界の生物は地上の物たちより狂暴だった。
「あわわわわわわわ」
ブゥゥン・・ブゥゥン
「羽虫じゃあ~それもとてもデカいんじゃ~」
≪経験値吸血≫スキルをとおして感じるレベルの波動で実力を量る。
「それにレベルも高いんじゃ~」
羽虫は飛びながら一定のスピードで進んでいく。
「気づかれんようにせんとな」
ドサッ・・・ドサッ・・
大きな足音とともに黒光りした鱗を持つ大きなトカゲやってきた。
レベルはさっ、さんびゃ!?300!見つかったら即死じゃ!
そのトカゲは羽虫に向かって一直線に跳躍した。
生死を掛けた凄まじい争いがはじまった。
結果はトカゲの圧勝じゃった。
──────────────────────
「あのトカゲは食べ方が大雑把じゃな~」
大分原型をとどめて残る羽虫の亡骸。
「此方だって食べとうないが~しょうがない」
ここで生きていくには強くならねば!それに・・・
「ママ上も言うとったしな!『食べ物を残しちゃいけません』っとな!」
赤色ではないが血は血、すくい取って舐める。
「んほっほー!美味じゃ!美味じゃ!格別な経験値の味じゃ~」
ん?それにこれは──
「スキルの味・・・はて?いままでそんな味感じたことなかったんじゃが~なぜじゃ?」
ここにきて吸血鬼の捨てられた少女[シア]自身のレベルが上がったことで、思わぬ
「それにしてもスキルの味というのもなかなか美味じゃな~!」
──────────────────────
読んでいただきありがとうございます。
この先読みたいと思っていただけましたら星★を押していただければと思います!
どうかよろしくお願いいたします!
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