魔力生命体
ユグドリアス達の一件から数週間、元気達は平和な日々を過ごしていた。
エルフ達は森へ居住地を本格的に作りだし、裏庭のユグドリアスの近くにはフェルミナ用の小屋を建ててやった。
ミールの切なる願いと元気の安眠の為である。毎夜喧嘩されては堪らない。ユグドリアスと一緒に居るとフェルミナは大人しいのでミールがもの凄く喜んだ。
フェルミナも夜は小屋に戻り。窓越しにユグドリアスと話をしたり本を読んで聞かせたり、一緒にゲームをしているみたいだ。
一度様子を見に行ったが触手がコントローラーに絡みついていてちょっと気持ち悪かった。ユグドリアスは木だが、画面等は千里眼の様な透視能力で見えるらしい。
そのかいあってか最近は夜が静になり。ミリャナによる絵本の読み聞かせをポタンと一緒に堪能するという。とても幸せな日々が続いていた。
「なぁ、元気……それ、本当に成功するのかよ?」
「ユグドリアスが言うには大丈夫っぽいぞ?」
「また、両手が爆発したりするんじゃないの?」
「いやな事思い出させるなよ、もうやめちゃうぞ?」
「ごめんて!ガンバレ!」
元気は今、家の地下室でとある計画を進めている、ミール身体を作るという物だ。
魔力では出来なかったが神力ではどうだ?
と考えたのだ。
結果は駄目だった。
前回と同じように両手が爆発したり内蔵が破裂したりした。
ユグドリアスに聞いてみると、この世界には神にも破れない理があるらしく、人体錬成や死者蘇生は出来ないとのこと。
爆発するだけですんでいる事に驚いていた。
神の上には更に創造主が存在しており。それはこの世界そのものであるとユグドリアスから元気は説明を受けた。
「そこでだ、世界のルールの抜け道を見つけ出したのだよミール君」
「何だよ?君付けとか気持ち悪い……」
コイツはラノベだけじゃなくてもっと推理小説などを読むべきだと思う。
「エルフみたいな魔力生命体であれば出来るんじゃ無いかって思ったんだ」
「おぉ!……って魔力生命体ってのは?」
「よくぞ聞いてくれたミール君!魔力生命体とは、かくかくじかじか……」
魔力生命体とは、人型を模した魔力の結晶体だ。鉱石などのような物ではなく生命活動を行う為に柔軟性を考慮してある。
原初の魔力生命体がエルフだ。
魔力生命体が人型を模したではなく人間が魔力生命体であるエルフを模したのだ。
エルフのみでは生殖意識が低く、繁殖しなかった為、創造主は人間を作った。
欲の塊で構成された人間は、エルフと繁殖を繰り返し、人間の人口は爆発的に増えた。
年月が立つにつれてエルフの血と存在は薄れて行き、世界を人間が支配するようになる。
その後、欲の化身である人間同士の醜い争いが絶えなくなり。
創造主ラストは人間の創造を禁止し、蘇生も禁止した。
エルフが未だに誕生する理由については詳しく解っていない。
森で生まれるので森の子供なのじゃ。
byユグドリアス
「という話だ」
「じゃぁ、創造主ラストってのが人間を勝手に作って禁止したって事?それなら最初から作らなきゃ良かったんじゃないか?」
「それをいったら何も始まんないだろ?まぁ、あれだよ、創造主と言っても一人でいるのは寂しかったんじゃないか?それか暇だったか」
「神さまの暇つぶしの産物が人間か……寂しかったという方であって欲しいよな、暇つぶしとかなら慈悲さえ無さそう」
「まぁ、とりあえずここ数週間、魔力生命体の制作に当たってた訳だが、ある程度完成しました!」
一つの魔石をミールに見せる。
「ただの魔石じゃないか?」
「見てろよ!」
イメージ、イメージ!
見る見るうちに魔石がミールの形を模していく。
「おぉ!凄いな!元気、お前天才だ!」
「フフフ、そうだろ?」
「いやぁ、でもなぁ、これ、ここ、もうちょっと大きく出来ないのか?なぁ?」
「もう、無理だよ、どうせそんなもんだろ?」
「はぁ?なめんなよ!ほら!もうちょっと大きいだろ!」
「たいして変わんないじゃないか、しまえよ汚らしい!」
「汚らしいだと!お前失礼すぎるだろ!」
騒ぎ出したミールは良いとしてだ。
「問題は、フェルミナなんだよなぁ~」
「はぁ?フェルミナ?何でフェルミナ?」
「いやぁ、フェルミナってエルフを護るために神さまになったらしくて、このまま皆と話できないのは可哀想だろ?」
「なんだよ、そんな話しいきなりするなよ……からかいにくくなるだろ?」
一方的にやられている感じだったが、ミールはからかってるつもりだったらしい。
「まぁ、そこはいつも通りで良いとしてだ!……ミール……お前見たことある?」
「何をだよ?」
「あの、あれだ……その……」
ミールにゴニョゴニョっと耳打ちする。
「あ、あるわけ無いだろ!?死んだの10才前だぞ!」
「だよなぁ~、そもそも魔力生命体のエルフのアレってどうなってんのかな?」
「う~ん……」
「ミリャナ見せてくれないかな?」
「はぁ!?お前それやったら絶対のろい殺すからな!!!大体本人に直接見せて貰えば良いだろ!!!」
「えぇ~、何て言うんだよ~」
「何でフェルミナには言えないのに姉さんに聞こうとしてんだよ?」
「何か、怒られてもご褒美かな~って」
「お前も大概だな、しょうがねぇな、俺がフェルミナに見せてくれって聞いてきてやるよ」
「本当か?助かる!」
「まったく、世話のかかる奴だちょっと待ってろ!」
出て行くミールの後ろ姿が後光に照らされている気がする。元気がミールは大物になるかも知れない、と思っていたらミールの悲鳴がぎゃぁあ!聞こえてきた。
ボコボコになったミールを引き摺りながらフェルミナが地下室にやってきた。
「一体お前達は何をやっているのだ!」
もの凄く怒っている、ミールは一体何と言ったのだろうか?
「いや、実はさ……」
一通り説明をすると、フェルミナが泣き出してしまった。
「わ、私は戻れるのか?み、皆とまた一緒にすごせるのか?」
フェルミナは凄く喜んでくれているようだ。
「そこで、ひとつ問題があるんだけどさ、あの、俺……そういうことしたことなくてさ……わからないんだよ形が……アレの……」
「ふむ、そういう事か……しかし、ミリャナと既にそういう関係だと思っていたのだが?」
「い、いや、ちげぇし!ミリャナは大事な人だけど、そりゃその内とか考えたりはするけど、今じゃないっていうか、大事な家族っていうか、そう!家族!大切なお姉ちゃんだ!でもまぁ、その内はちゃんと俺が大人になったらね!ちゃんと!」
「わかった、わかったから落ち着け!」
「始めて出来た家族だから大切にしたいんだよ!」
「そうか……わかった、変なことを言ったな……で、私はどうすれば良いのだ?」
テンパってしまったが、わかって貰えたようだ。
「とりあえず、そこにあるミールの魔力生命体をどかして、服を脱いで横になって貰って……その、アレを見せて貰っても良いでしょうか?」
「うむ、少し恥ずかしいが致し方ない」
最後、敬語になってしまったがちゃんと伝わったようだ。
フェルミナは魔法でミールを脚から頭までグルグル巻きに縛ると部屋の隅に投げ捨てた。
ぐぇっとミールが鳴いたが動く力はないようだ。
その後ミールの魔力生命体を台から無造作に引き落としたフェルミナは、まとっていた服を脱ぎ捨てベッドに横たわる。
「あ、あの、思った以上に恥ずかしいので早めに終わらせてくれると助かる」
「あ、あぁ、大丈夫、天井の染みを数えている間に終わるから……」
何処かで聞いたセリフを言ってみるが、作ったばかりの部屋の天井に染みなど無かった。
普段元気に走り回っているフェルミナの身体は綺麗に引き締まっており信じられないほどスベスベで艶々している……質感を確かめる為にフェルミナのお腹に元気は手を這わせる……。
うわぁ、何だこれ……何か弾力が気持ち良い……。
「んんっ、おい、元気!触る必要はあるのか?くすぐったいぞ!」
恥ずかしさで赤面したフェルミナが弱々しく聞いてくる。
「弾力とか肌質とか大事かな?と思ってさ、じゃ……あの、脚を開いて貰ってもいいかな?」
「あ、あぁ、見ないといけないのはわかってはいるが、あまりジロジロ見ないで貰えると助かる」
顔を赤らめたフェルミナが、脚をゆっくり開いていくと、生々しい雌の香りが元気の鼻腔をくすぐる。
太股に浮き上がる粒汗が軌跡を描き、その軌跡を指でそっとなぞると、豊満な瓜二つの向こうから儚い吐息が漏れた。
それを私感した元気は息をゴクリと飲み干し、ゆっくりと漏れ吐息の聞こた方へと視線を見やる。
見やった視線の先には艶めかしくも、愛嬌のある唇を震わせた一匹の雌が、物欲しげに一匹の雌の名前を物欲しげに呼ぶ姿が映った。
「元気……」
「フェルミナ……」
雄と雌の視線が交差し二匹の動物が、理性を投げ捨て野生に戻り、お互いを貪り合おうとした時だった。
「ふごふがぁ!」
バタンバタン!っとミールが暴れ出して二人は我に返る……。
「あ、ありがとう!フェルミナ!大体わかったよ!魔力生命体を作ったら教えるからね!」
「あ、あぁ!よろしく頼む!」
フェルミナは急いで服を着ると、そそくさと地下室を出て行った。
ミールがふがふがしているので、魔力の帯を解いてやる。
「おまえ!姉さんというものが近くにいながら浮気しようとしやがったな!?」
「はぁ、開口一番何を言い出すかと思えば下らない!ミリャナを裏切る事なんてあるはずないだろ!兄弟!」
「まだ、兄弟じゃないがな」
正直ヤバかったと思う……何が何だかわからなかった。
元気は女は魔物だと実感すると、次はああなる前に、ちゃんと考えて行動しようと思った。
「で、どうだった?」
「え?何が?」
「何が?じゃねぇよ!アレだよアレ!」
「あぁ~、何か、いい匂いがした」
「なんだよそれ!」
とりあえずイメージは定着出来た。
元気はそのまま魔力生命体作りに入ろうと思ったが、このままではフェルミナの魔力生命体に邪念が入ってしまいそうなので、少し休憩する事にしたのだった。
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