ママ
「ただいま~」
「お帰りミリャ!ご飯出来てるよ!」
おや?どうしたのだろうか?ミリャナが部屋に入るなり固まっている。
「どうしたの?ミリャ?仕事で疲れたろ?とりあえず座ったら?紅茶でも飲むかい?」
元気を見つめながらミリャナが席に座る。
どうしたんだろうか?とうとう異性として意識して貰えたのだろうか?等と元気が考えていると
「ま~、ま~」とポタンの声が聞こえた。
「お~ポタン~、お腹すきまちたね~まんまに~……」
そうだった、ミリャナにはまだ紹介してなかった。
「あ、あのね、ミリャ、実はこの子……親が居なくてさ……でね……ちょっと面倒を見てあげようかな~何て思うんだけど……どうだろうか?」
どうだろうかってなんだろうか?
「め、迷惑はかけないからさ……」
「め、迷惑はかけないって言っても子供を育てるって大変な事なのよ?それに子供が子供を育てるなんて……」
「え?子供が子供って俺ももう15だしある程度は大丈夫だよ?」
「え?15?」
「え?15歳だよ?」
「えぇ!?」
何か凄い驚かれた。
「あの、ミリャって俺の事幾つだと思ってたの?」
「えっと、あの、12、3歳……?」
すっごい目が泳いでいる、って事はまだ下だと思われていたのか!
「ミリャ?子供の前で嘘はいけないよ?ポタンが悪い子なったらどうするの?」
「え、駄目よ、悪い子になっちゃ……あのね、怒らないでね?あの、その、10才くらいかと、思って……いました。」
ガーン!!!ショック過ぎる!!!しかし!ここはポタンの為に我慢だ、元気は後で泣くことにする。
「ま、まぁ、それは良いとしてちゃんと面倒みるからさ」
「でも……う~ん……」
もう一押しだ!と元気は思い、ミリャナの膝の上にゆっくりとポタンを乗せる。なんとも素晴らしい光景だろうか!
「ひ、卑怯よ元ちゃん!?」
「ポタンって言うんだ名前を呼んでやってよ?」
「ぽ、ポタンちゃん?」
そういってミリャナがポタンを抱っこすると、じ~っとポタンがミリャナを見つめる。
あ、泣くかもしれないと思った瞬間だった。
「ま~ま?ま~ま?」
「あぁ~駄目よ、ポタンちゃん!
私が、ママだなんて、ママだなんて!」
ミリャナにポタンの口撃があたった。どうやら効果はばつぐんのようだ。
ミリャナはポタンの可愛さに身もだえている。動画を撮っておこうと思ったが、スマホは部屋に置いていた、残念である。ポタンがミリャナのママらしからぬ態度にポタンが泣き出す。
「あぁ~、泣かないで~ポタンちゃん」
オロオロしながらポタンをあやすミリャナに、愛の手の籠もった合いの手を入れる。
「ミリャ、ママですよ~ってギュッてしてあげたら泣き止むとおもうよ?」
「ほ、ほんとに!?ポタンちゃん~ママでちゅよ~?泣き止んでね~、お~よちよち」
うわぁ!ポタンのやつ羨ましいんだけど!今度やって貰わなきゃ!と元気がポタンに嫉妬しながらそう見ていると、ポタンが泣き止んでにへらっと笑った。
「あぁ~、もう!あぁ~もう!どうしましょう、あぁ~どうしましょう!」
ポタンのあざと可愛さアタックにやられたミリャナは、母性やら何やらが大噴火しているようだ。
「とりあえず、ご飯食べようよ」
「そ、そうね、ポタンちゃんはどうすれば良いのかしら?」
「俺がご飯を食べさせるよ、おいで~ポタン~ご飯食べましょうね~」
元気が手を伸ばすと、ぷいっとポタンはそっぽを向いた。
「あれれ?どうしたのかな~?パパだよ~?おいで~ご飯たべよ~?」
「や~!」
ミリャナにしがみついてポタンは離れない、何ということだ。もう反抗期が来たようだ。
「ま~ま~、ま~ま~」
「あらあら、まぁまぁ、ポタンちゃんは甘えん坊ねぇ、ご飯はわたしがあげても良いかしら?」
「う、うん、お願いしようかな?」
泣きそうな気持ちを我慢しながらお願いする。
「あら~、おいちいの~お耳がピクピクして可愛いわねぇ~ポタンちゃんは美人さんになっちゃうわね、フフフ」
「あ~う、キャッキャ」
さっきは、泣きそうな気分な元気だったが、今は幸せな気持ちでいっぱいだった。
「はぁ~姉さんはやっぱり可愛いなぁ~」
「まぁ、ポタンも負けてはおらんがな!」
「はぁ~?姉さんの方が可愛いに決まってんだろ?この暴力エルフめ!」
「ほほう、貴様!エルフを愚弄するか!表に出ろ!性根を叩き直してやる!」
「嫌だよ!エルフはご飯も静かに食えないのかよ!!」
「貴様!もう許さんぞ!!!」
首根っこを捕まれてミールは外へと連れて行かれた。
仲が良いのはいいが、食事くらい大人しく出来無いものかとおもう。まぁ、静になったのでよしとしよう。
「それでさ、ミリャ、どうかな?ポタンも一緒に暮らしても良いかな?」
「元ちゃんは卑怯よ、こんなのもう!駄目って言えないじゃない!」
「ごめんって、ちゃんと面倒みるからさ」
「ハァ、犬猫じゃないんだからね!ちゃんとしてね!」
「う、うん、頑張るよ!」
「じゃ、ポタンちゃんママはお風呂に入ってくるからパパの所に行っててね~」
ナンダコレ!なんかくそいいな!
「ポタン~おいで~」
「や~、ま~ま~、ま~ま~!」
ぐぬぬぬ、このままではわがままに育つんじゃ無いのか?躾はしっかりしなければ!
「ポタン!あんまりわがまま言うんじゃありません!」
「ふぇっつ、うえぇーん!!!」
「元ちゃん!言葉がわからないんだから怒っても仕方ないでしょ?あぁ~もう!ポタンちゃん~泣き止んでね~一緒にお風呂入ろうね~」
「ご、ごめん」
元気の方が躾けられてしまった。
「じゃ、私たちお風呂に入って来るわね、いきましょうね~ポタンちゃん」
完全にポタンを取られてしまった。
まぁ、あれだ!良いけどね!母はつよしだって聞いた事あるし!父親はドーンと構えてれば良いんだってのも聞いた事もあるから!
これは、涙じゃ無くて、皿洗いのシャボンの泡が目に染みたんだ!
そう思いながら元気は皿洗いをした。
皿洗いを終えてデザートにプリンを用意するポタンの大好物だ。お風呂を上がったミリャナには冷えたミルク、ポタンには少し温めのミルクを準備した。
その後は、風の魔法を使いミリャナの髪を乾かす手伝いをしたあと、三人でプリンを食べ始める。
「ポタンちゃん、パパがね~ママとポタンちゃんの為に美味しい物を準備してくれてましたよ~良かったでちゅね~」
はぁ~、ミリャは男垂らしではないんだろうか?欲しい言葉を欲しいときにくれるのだ。傷ついたガラスのハートが修復されていく。そして、ミリャナがポタンにプリンを食べさせる。
「どうだポタン?おいしいか?」
「あい!」
暫くモムモムしたあとに元気に答える。
「あら、返事したわ!偉いわねぇポタンちゃん」
「ハハハ、準備したかいがあったよ、良かった」
幸せな時間を暫く過ごしたあと、夜はポタンと一緒に寝ようと思ったが、ポタンはミリャナから離れない。仕方ないので、ベビーベッドを魔力で出し、ミリャナのベッドの横に置いた。
「それじゃ、おやすみ」
「えぇ、おやすみなさい、ポタンちゃんパパにおやすみなさいは?」
「ちゃい!」
「凄いな、ポタン、言葉が理解出来てるんじゃ無いの?」
「どうかしら?まだだと思うけど、何となく、雰囲気でわかるんじゃないかしら?」
「そっか、そんなもんか、じゃ、ポタンおやすみな~」
そういって部屋へ戻ると、どっと疲れが出た。
ここ二、三日は色々あった。暫く三人で静に暮らしたいな。元気はそう思いながら目を瞑ると、スッと眠りに落ちた。
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