◾️は白い鳥を象った

以夜

プロローグ

 「思えば、あの春の日が僕らの始まりであり、終わりだったのだと思う。今思えば、だよ?僕は、彼女の選択に文句なんて言いたくないし、実際、文句なんてない」


 目の前にいる後輩にそう言うと、彼女は困ったような苦しそうな顔をする。

蒼海あおい先輩に何があったかなんて、私にはわかりません」

「そうだね。言ってないもんね」

「だけど、今、先輩がしようとしてることはわかります。春先輩のとこ、行こうとしてるんです、よ、ね?」

彼女は悲しそうな顔、と言うよりも、何か訴えかけようとしている顔をしてずっと、真っ直ぐに僕を見ている。いや、もしかしたら、僕の奥にある空を見ているのかもしれない。、あの青い空を


「そうだなぁ、まだ少しだけ余裕があるから、話すよ、あの日のこと」


僕がそう言うと、彼女は静かに僕を見つめていた。まるで、あの日の僕のように。

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