わたしとSFの出会ったころ

夢美瑠瑠

 その1 道化師を韜晦した言葉の魔術師


 もう、長いこと、キーボードを叩いて、いろいろなセンテンスをひたすら綴る作業をする生活を続けていて、なんか膨大な原稿が積み重なっていて、?ブログの更新が3500回くらい?小説は400篇くらい投稿しています。


 曲がりなりにも、紆余曲折はあっても?そういうことが続行できているのは、前半生に様々な書籍や著作者と出会えていたからだと思うが、そういう読書の原点にあるのは、「SFブーム}だったかと思う。


 日本の伝統的な、私小説とかも読みましたが、一番ハマって、影響を受けた最初は、当時の最先端の潮流だった、星新一とか、小松左京、筒井康隆、その続きでブラウン、クラーク、ハインライン、その他のサイエンスフィクションだったと思う。


 まあ、読む本の傾向はどっちかというと総花的で、軽い読み物、脱力エッセイ?その時々の流行とか?書評や広告に惹かれて読んだり、成り行きで、運命的というか、まあ途中相当閉じこもって病んでいた時期も長くて?今の自分のこういう文体や作品傾向についても偶然の要因が大きいです。というか、行き当たりばったり過ぎて何の脈絡もなさ過ぎて、滅多滅多?極端に言うと実際上はそのほうが真実に近い。


 が、人生にもしややり直しはないのでしょうないですが、数多の出会いをポジティブにとらえた場合、SF、なかでも筒井康隆氏の諸作との邂逅は、自分にとって雛鳥のインプリンティングみたいに決定的だったような気もする。


 日々に、悪戦苦闘しつつ、なんとか小説めいたものを書いていると、折々に、昔に読みふけった筒井氏の数々の著作の一節、断片とかがが想起される。


 だから?まあ傾倒ぶりが半端でなかったことの名残ですが?あらゆる著書を熟読玩味していたので、あらゆることについて、何か筒井氏も、だいたいなにかの感慨、意見、そういうものを著述しており、なんか連想してしまうのです。


 例えば、「カレー」について書いていると、筒井さんのエッセーの「カレーを20杯食ったことがある。戦後のうまいものがない時代でもあり、そうしてご存じのように子供はカレーライスが大好きである。だから20杯も食ったのだと思うが…」というくだりを、そのまま意識野に閃かせてしまうのです。記憶に焼き付いてしまっているのです。


 独特の文体で、で、なんだか独特な個性的な表現をしていて、そこが面白いのですが、やみつきになって繰り返し読んでしまい、で、こういうことが起きる。

 が、そういう症状?に悩まされたような人も多かったみたいです。


 人気があるらしいので、ちょっと読んでみようか?と、それくらいにしかお付き合いをしない人は多かったが、たまにどっぷりと筒井沼にはまってしまう人がいて、その一人が僕だった。


 で、そういう現象がなぜ生じるのか?生じたのか?を分析すると、自分の世の中との不和というかなんとはなしの居心地の悪さ、自分だけが周囲から浮いていて、一人ぼっちでなじめない、そういう感覚が気が付いたら骨がらみに付きまとっていて、だから物心がつく頃からずっとそうで、その帰結?として、「カフカとヘミングウェイに傾倒して」、「アイキューが180の天才児だったがゆえに、エリート意識に悩まされてダメになりかけて」、「大学の演劇サークルからいびり出されたり」、「就職して社会と不協和音だらけに悩んでいて」、「SFと出会ってやっと人生の成功者になれた」そういういろんな個性的な人格形成が?自分の不適応を癒し?そういう人物ゆえの発想とか生きる知恵?そういうものが昔は対症療法的に重宝で?…


 まあだからあんまり幸福一色とは言えない背景事情もありそうですが?筒井氏への過剰なまでの執着みたいな読書歴が生じた理由かと思います。


 それは運命で、別にそのこと自体にはなんの後悔葛藤も、というか、よくまあこんな上手な文章をお前みたいな馬鹿が…みたいによく言われて?wそういうねじれ現象みたいな変な矛盾が現前するのは?筒井康隆さんという、不思議で個性的な、唯一無二で、なんだか日本の文学史に燦然と黒光りしているような?w作家の諸作を自家薬籠中の物としているからなのかな?


とかまとめにくいですが?へんなことが思い浮かんだので、なんとなく書き留めておいた次第です。


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