第11話

 最近、たまに元義兄の部屋に行く。


 この部屋には兄の少ない娯楽が入っている。


 「・・・」


全部中古で、触るのが嫌になる。


 だけど、まぁそれでも少しは興味を持つ。


 


 中には、懐かしいものがある。


 中学生の頃に引きこもりになって、読んでいた本・・・


あれは、お母さんのお勧めとか言っていたが、実際は兄がお小遣いが無くてもいいから、少しでも私に楽しく過ごしてほしいという願いだった。


 「・・・」


もう既に捨てたと思っていたが、残されていたようだ。


 「・・・」 


  

 春は、前に読んでいた漫画を見て、辛い時期を思い出し・・・そして


 「・・・嫌だ。嫌だ。せっかく漫画は面白いのにあの時のことを思い出す・・・あー、辛いな」


溢れる涙を、誰も見て居ないのに自分で1人で言い訳をしながら、読んでいた。

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