この者、重度の厨二病にして最強なり〜僕の努力は報われる〜

華厳@ケゴン&kegon

プロローグ

 初めてそれを知ったのは、小学校2年生の時だった。

 10年経った今でもそれだけは、記憶の奥深くに刻まれている。

 初めて、本で異世界の存在を知った時のことを。


 異世界、誰もが一度は憧れ、行きたいと願った、少年たちの夢が詰まり、この世界とは何もかもが違う。全くの異なる世界。

 僕もそんな世界に憧れた、数ある少年の一人だ。異世界で必要だと思ったことは全て習得し、逆に必要じゃないものは全て捨てた。それぐらいのことをしないと、異世界にはいけないと思ったから。


 さらに、僕は年を重ねれば重ねるほど、異世界への憧れは大きくなっていた。

 だけど、まだみんなは違った。大きくなるほど憧れは小さくなっていき、少しずつ憧れを忘れていってしまった。

 しかも大人たちは「いつまで子供のままでいる」だの「早く大人になれ」だの、僕の憧れを否定した。

 そんな、僕の憧れを否定してきた学校には行きたくなかった。

 だけど学校には、学ぶべきことがたくさんあった。

 その、知識を得るチャンスを捨てるわけにもいかず、学校に行っていた。その代わり、僕は毒にも薬にもならない、人畜無害な生徒Aとして生活していた。

 その裏で、僕は毎日を修行に当てていた。


 そうして、5年の時が過ぎた。

 僕の憧れは、異世界から異世界物の主人公のような、圧倒的な力に変わったいた。

 だか、やることは何も変わらない。力を求めてひたすらに努力を続けた。


 更に、3年の時が過ぎた。

 僕は今、大きな壁にぶつかっていた。

 幾ら、巷に溢れている武術を極めても、人間の域を超えることはできなかった。

 人間の域を超えるには、どんなものにも勝る、圧倒的な力が必要だった。

 僕はその、圧倒的な力を探し続けた。


 そして、更に2年の時が経った。まだ、圧倒的な力を得ることはできていなかった。

 しかし、今までの努力によりようやく一つの答えを導き出した。それは、


 こちらの世界に力がないなら、力がある世界に行けばいい。


 なぜ今までこの発想にならなかったのか、不思議なくらい簡単な話だ。


 こっちの世界で死ねば、異世界へ行けるのではないか?

 そんな狂気じみた発想を試し僕、神代 栄一かみしろ えいいちは異世界へ転生を果たしたのである。


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