転生から10年目
「クロ様、朝でございます。起きてください」
「おはよう…今日は何か予定あった?」
(従者に起こされている私はクロ・ローゼン
ローゼン侯爵家の長子で転生者だ。転生してからかれこれ10年がたちこの世界での生活に慣れてきた俺だが、未だに従者の居る生活には慣れないし貴族としての生活も慣れないことばかりで少々疲れる、今日はゆっくりしたいし何も予定は無いといいんだが…)
「本日は婚約者のアザレア様がいらっしゃる予定です」
「まじか…アザレアが来ると大体魔術と祝福の訓練になるからキツイんだよなぁ」
(異世界と元いた世界の一番の違いは、魔術や祝福というものがある事だった。まず祝福、ギフトと呼ばれている物は元の世界で言う異能力に近しいもので大半の貴族や1部の平民が持っている。
ギフトの中でも強さや権能によって能力と術式に区分されており、貴族でも大半は術式持ちで能力持ちはほとんど居ない、魔術はギフトと違い個人のもつ異能力ではなく、魔力を持つ者なら誰でも使えるものだ)
「仕方ないのではないですか?貴族でも能力持ちは殆ど居ません、しかしクロ様は貴重な能力持ちです。アザレア様も能力持ちですから、同じ能力持ちと訓練や模擬戦したくなるのは当然かと」
「確かに能力持ちは珍しいけど、俺の能力が戦闘向けかと言われても微妙なんだけどなぁ…」
(一応俺も能力持ちである、能力の内容は、術式を生み出す能力、自分の好きな術式を作り出し使うことが出来る能力、一見なんでも出来そうだがそんなことは無く結構な制約が存在する。
1つ目が保有出来る術式の数で、これは魔力量や個人の技量によって左右される。俺の魔力は平均より少し高い程度であり、そこまで魔力量が多い訳では無いので保有出来る術式は最大3つ
また仮に術式を作り出したとしても自身の技量以上の術式は当然ながら扱うことはできず、基本的には自身の技量にあったレベルの術式しか扱うことは出来ないので子供の時からチートなんてことは出来ない)
「まぁ、ここでウダウダしててもしょうがないし、父上と母上に挨拶しに行くか、起こしてくれてありがとう、下がって大丈夫だ」
「かしこまりました、カクタス様と葵様は食堂にいらっしゃいますので、ご挨拶の際はそちらに」
「わかった、身だしなみを整えたら行くよ」
(さて、寝癖も直したし、服も着たからそろそろ父上と母上のところに行くか)
「父上、母上おはようございます。本日はアザレア嬢が来ると聞いたのですが」
「おお、クロおはよう、今日は昼頃からアザレア嬢が来るから婚約者としてお前も準備しておけよ!」
「もちろんです、父上」
「クロ、貴方も朝ごはんを食べていきなさい?お腹が減っていては何事も手が付かないわ」
「わかりました!ありがとうございます、母上」
(ローゼン侯爵家現当主、カクタス・ローゼン、
金髪碧眼の美形な男だ。昔は王家に仕える優秀な騎士だったらしい。そしてそんな父と隣で朝食を食べているのが、私の母である、葵・ローゼンである。東洋の名家の出身らしく、この辺りでは余りみない黒髪黒目が特徴である。俺の髪と目の色は完全に母譲りだ。)
「朝食も終えたのでアザレアに会う準備をしてきます。父上、母上それでは失礼します」
「クロ、しっかり身だしなみを整えるのよ?」
「わかっていますよ!私はもう10歳ですから!」
(全く…母上はいつも子供扱いしてくる…まぁまだ10歳だし、親から見たら子供は何歳になっても子供と言うし、そういうもんなのかなぁ。)
「さて、色々準備しますかね!アザレアと会うのも久しぶりだし楽しみだなぁ」
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