半竜
@rikei-3
第1話
昔、世界には「ニンゲン」がすんでいました、ニンゲンはとっても悪い生き物で、怒った神様はニンゲンをこらしめました。そのかわり、私たちのような明朗で賢い亜人種が仲良くすむことになりました。
ある竜人が目を覚ます。
ラゴス:朝かっ
ぼんやりして時計をみる。
ラゴス:8...まずい間に合わん!
寝床から飛び起きそのまま窓をくぐり学校へはばたく。
バサッバサッ
学校までは約30kmである1時間程で着く距離だ
バサッバサッ
ラゴス:あ!今日は卒業の日か!
バッサバッサ
卒業日は9時より遅くでもいいはずだ、
そう思い彼は動きをゆるめ空に目をやる。
ラゴス:きれいな空だなぁ、そしていい風、素晴らしい日になりそうだ。
バッサバッサ
景色は変わらない、森と草原、そして数戸の小屋のどかな風の星である。
ラゴス:ふぅ
教室に入る
ビース:おいおいおせぇぞ
笑いながら言う彼は友達で獣人、つってもこの学校俺以外獣人だけなんだけど
ラゴス:わりぃちょっと、寝坊してさ
笑いながら答える
ビース:おいおいお前が寝坊しなかったことはあるのかい?
ラゴス:あるだろ、たぶん
ビース:まぁいい、今日で別れることになるんだからな、、、寂しくなるぜ
ラゴス:そんな悲しむなって
ビース:お前が旅することになるって聞いてみんな悲しんでたぜ?ま、お前を止めることもしないさ。自分で決めたことだもんな
ラゴス:俺だって寂しいさ
ビース:あっ先生が来る
先生が教室に入る、そして、教壇に立つ
先生:みんな3年間よくやってきたこれからは多くの幸福をつくっていってくれ
先生は短く話す、しかし、その目には涙がうかんでいる。
先生:そして、みんな、ラゴスがこの地を離れ旅することは知っているだろう、離れ離れにはなるが私たちは応援している!!頑張ってくれ!!
みんな:応援してるよ!!みんな!!
ラゴス:ありがとう!頑張っってくるよ!お前らも頑張って働けよ!!
あつい声援を貰った、今から家へ帰り今日中には
出発する、行先は向こうの大陸エアリス
この世界にいるはずの自分以外の竜人に会いに行くために
ガチャ
ラゴス:ただいまー
シルフィ:おかえり~いや~今日出発かぁ心配だなぁ
ラゴス:心配しなくてもいいんだよ母さん
荷物の確認をすませ夕食を待つ
ボレアス:なぁ本当に行くのか
ラゴス:うん、決めたことだもう曲げないよ
ボレアス:父さん心配だよお前が死んでしまわないかとな
ラゴス:大丈夫、そんな危険には合わないよ
シルフィ:ご飯出来ましたよー
家で食べることはもうしばらくは無いだろう、おそらく1年くらいでは帰れると思うけど。
ボレアス:応援してるからでかくなって帰ってこいよ
シルフィ:ちゃんとした生活はしてね~
ラゴス:行ってきます
ガチャ
バタン
ボレアス:行ってしまったな……なぁ
シルフィ:なんですか?
ボレアス:これで良かったのか?
シルフィ:ええ
ボレアス:あいつは同種を見つけられんだろう?もう存在しないのだから
シルフィ:でも、それよりも大切なものを見つけられるはずよ
ボレアス:真実を教えないのか?
シルフィ:彼自身で見つけられるはずよ
ボレアス:そうか
シルフィ:とにかく無事でいてほしいと、そう願っているわ
ボレアス:うむ
果実のような香りを運んでいる風。生命の息吹を運ぶ風。その中を俺はぐんぐんと進んでいく。
大きな翼で空を推し進んで行く今日は隣の星が
あまり見えない位置関係らしく、まるで洞窟の奥のような深い暗さが、あたりに覆いかぶさっていた。
ラゴス:いやぁーなんで今出発してんだろ、別に、明日でもよかったのに…でも街に着く時に朝じゃなきゃいけないから、仕方ないか
街の灯りは未だ見えず、眼下の海の波の音だけが
ラゴス:生き物の一つや二ついてもいいだろ…気味悪いよ…まったく
独り言を言いながら進めばやがて大陸が見えてきた。
大陸エアリス、この星で最も大きい島であり、
「風の冠」の力で栄えてきた都"エザキルビ"がある。
ラゴス:あーー眠ぅぅーー
そろそろ夜明けだがまだ街が見えない、どちらが先に見えるだろうか。
ラゴス:あっ、明るくなってきたぞー
太陽だ。洞窟から抜けた気分である。しかし、それは安全な住処を捨てることでもあった。
ラゴス:おっ、街も見えてきたぞ
これから長く居ることになるであろう街である、まずどこに行こうか?さすがに決まっている私の両親の知り合いが居るらしい家の一室が借りられるとの事だったので、まずそこに挨拶しに行くのだ。そしたら、色んな人に話を聞いて、風の冠も見に行って……やりたいことが沢山ある。
ラゴスは六割の不安を押し込めて、四割の好奇心を奮い立たせ、気持ちを半々にして街へ進んで行った。
ラゴス:いやーーー広いし人が多い!
田舎の村とは違いたくさんの物と人がいて、驚きである。すごいな。
ラゴス:とりあえず、貰った地図からその家を、探さないと
その家は門から城までの大きな通りのもんから数えて三番目の横道の第六地区にあるという、田舎者には少々難しい。
ラゴス:おじゃましまーすビュウ村から来ましたラゴスですーこんにちはー
テス:おお、よく来たな、どうぞ入ってくれ
ラゴス:はい!
ここが今日からお世話になる家か、街によくあるれんが造りのれんが屋根。ま、普通の家だ、そんな豪邸でも小屋でもない。
テス:ここがお前の部屋だ、ベッドとテーブルは用意したがそれ以外は特にしてない頼まれれば3食は作ってやろう
ラゴス:お願いします!
テス:この部屋、ちょっと寒いが、大丈夫か?
ラゴス:ちょうどいいですよ~これくらいが
テス:なら良かった、これからよろしく
ラゴス:こちらこそよろしくお願いします!
優しそうな人でよかった、、、とりあえず住む場所があるだけで安心するな。
朝食を食べ、ラゴスは街へ出た、家に住まわせてもらうところですぐ出かけるのは申し訳ないと思ったが、テスさんが送り出してくれた、やっぱり優しい人だ。
その頃、「冠の地」にて、
ガコンッ
衛兵1:わっ、なんだ?おい!起きろ
衛兵2:ん、どうした
衛兵1:変な音がしたんだそっちの方から
衛兵2:どれどれ...ふむ…ま、大丈夫でしょ もう何十年も故障はなかったんだから
衛兵1:それもそうか
街の人1:焼きたてのパンが、美味しいよ!
街の人2:りんごにさるなしに
ラゴス:やっぱり賑やかなのにはまだ、慣れないな。ま、賑やかな方がいいよね!
ラゴスは街を歩きながらなにか、特別なことが、あるかと考えていた。
ラゴス:目的は俺と同じ竜人を探すこと、今の所いないし、街を歩いてたら見つかるわけでも無さそうだ… なにか情報屋みたいなのがあればいいんだけど
こんなにたくさんの亜人種がいるのに、いるのは獣人ばかりであった。
ラゴス:こーゆーのは、城に行くもんだ、それが定石、うんうん
城へ向かうが…
城門の衛兵1:だから、ここから先へは通せん!
ラゴス:いや~そこをなんとか~
城門の衛兵2:そもそも、城にはそんな大層なものはないぞ?何を、求めているんだ?
ラゴス:この角が見えます?同じ竜人を探してて
城門の衛兵1:ほう、お前竜人か、………ふむ、同じ同族を探して……ふむ
城門の衛兵2:竜人なんて、初めて見たよ!握手をさせて!
城門の衛兵1:おい
城門の衛兵2:いやいや、冗談だよ
城門の衛兵1:とりあえず、この城にはお前の求める情報は無い!
ラゴス:はい、、、分かりました、では失礼します
城門の衛兵2:いや、待ちな。───「台風の目」ここからそう遠くないところに酒場がある、そうだな、、今行くとまだ「見えない」だろうから、少なくとも夜だな。そこに行けば何か分かるかもしれない
ラゴス:本当ですか!ありがとうございます、では夜に、行かせていただきます。
城門の衛兵2:お前1人では見つけられないだろう、しかし、私も職務に忙しいのでね、ちょうどあそこの、人を訪ねるんだ。「ガー」からの依頼だと行ってくれ
そう衛兵はラゴスの左肩の方を指さし言った。
ラゴス:分かりました、親切にありがとうございます
城門の衛兵2:珍しいことに出会えたんだそれ相応のことをしなきゃね
夕方が終わりかけて炎星が沈みその赤い光を覗かせている。
ラゴスは、煙たつ古めかしい屋敷の前に立っている。
ラゴス:衛兵さんが言ってたのはここだよな、テスさんには言っておいたし、そして、「ガー」からの依頼、と言えばいいんだな
こんこん こん
重そうな黒塗りの木材が、以外に普通の音を発したので、一瞬、手が止まった思っていたよりも軽いのかもしれない。
???:誰かね、こんな宵の口に、私を訪ねるのは
ラゴス:あ…えーと…「ガー」からの依頼できました
???:ほう、あの兵か、それで、なんのことだい、
ラゴス:えっと、「台風の目」という酒場に行きたくて
???:その若さで「ガー」と会いそして「台風の目」を望むか、ほう、面白い、入りなさい。
ラゴス:失礼します。
その彼は、見るからに老人であった、屋敷の中へ入ると、外からも見えた煙の匂いがして、なんだか眠たくなった。
???:どうぞ、座ってくれ
ラゴスは、静かに椅子をひき、老人から目を逸らすように座った。そして、また老人を見て言った。
ラゴス:あなたの名前は、なんですか?
???:おっと、まだ言っていなかったね、私はアトマス、ただの年寄りだ。
チリチリと暖炉の薪が燃えている、煙の匂いにも慣れてきた。
ラゴス:アトマスさん、それで、台風の目、というのは
アトマス:いやしかしね、君は見たところ10代だそんな若者が台風の目とは、やはり、驚くね…
そうあとマスはラゴスを注意深く見つめ始め、気づいた。
アトマス:なんと!君には、角がある、、、まさか、竜人か?
ラゴス:はい、それでら仲間を…
ラゴスを遮るようにしてアトマスが、興奮して話す。
アトマス:竜人か!そうかそうか、道理で
「ガー」に気に入られるわけだ、いやしかし、そうか、君があの竜人か、む?や、すまない、、、、それで何だって?
ラゴス:同じ竜人の仲間を探しているんです、あなたも言ってたし、その、「ガー」って人も言ってたのだけど、珍しいでしょ?竜人って
アトマス:……………あ……うむ………ふむ……それで、台風の目に行けば何かわかるかもと
ラゴス:はい、そう「ガー」さんに言われて
アトマス:……わかった、良いだろう、では向かおうか、台風の目に
ラゴス:本当ですか!ありがとうございます
アトマス:いや、いいんだこのくらい…そういえば、まだ君の方の名を、聞いていなかったね、なんて言うのだい?
ラゴス:ラゴスです
アトマス:ラゴス…いい名だ、してラゴスよ、なぜ仲間を探す?
ラゴス:それは、その、私の地元はまあ100人程しか住んでいないけど、世界にはもっともっといると聞いて、その中になら仲間がいるんじゃないかなーって
アトマス:……そうか、もし、いなかったらどうする
ラゴス:そのときは、、、それでもなにか、自分のためになると思うんです、それに、もともと、自分の身の回りには誰もいないんだ、変わりませんよ
アトマス:そうか、、、、ふむ、では出発するか
ラゴス:はい!
ガチャ!と勢いよくドアノブがまわり、ドアが押される、木と木のこすれる高音が耳に少し痛い。
アトマス:「台風の目」はここからそう遠くない、しかし、ラゴス、君だけでは行けない、何故かと言うとあれは「目」であるからね
ラゴス:目? それがなぜ見えないのですか?
アトマス:台風というのはそもそも遠い南洋で自然発生する風の渦のことだ、そしてその台風の「目」の部分はその吹き荒れる風の中心、その名を冠した場所だ、並の獣人はおろか、訓練された兵にも難しいだろう
ラゴス:なんで、そんなに行き辛いのですか?売上がなくなっちゃいますよ
アトマス:いいか、台風の目とは酒場とは言うが、その実態は「風の冠」の力を使っていこうという考えを持った非公認集団なんだ、その集会所が、その集団名のままの酒場というわけだ
ラゴス:なるほど、今の都の仕組みは「風の冠」が支えているところが多いと聞きます、まさか、裏にこんな組織があるとは…
アトマス:だが、そんなに悪い組織では無い、確かに非公認集団だが、王と考えが一致しているしな。
ラゴス:じゃあ、ほとんど公認みたいなものですね
アトマス:ややこしい事に、そうでも無いらしい、考えは似ていてもね、実際、ああやって、衛兵となり諜報活動をする者もいる
アトマスはそう、「ガー」と呼ばれていた男を指す
ラゴス:あの衛兵さん、本物じゃなかったの?!
アトマス:ああ、そうだ
ラゴスは驚きとともにそんな管理でいいのかと王城を、心配してしまった
アトマス:うむ、ここだ、ここに入口となる場所がある
ラゴス:ここが?こんな道の真ん中に?
アトマス:ああ、とは言ってもここから行けるというだけだ、ほら、みるんだ、ここだけ石の模様が少し違う
ラゴス:うーん、確かに少しだけ違うような
アトマス:ここに垂直に立ち「我、風向きを変える者
ラゴス:は、はい───我、風向きを変える者也───わっ!
体が徐々に浮き始め。
ラゴス:わぁぁぁぁぁぁぁぁ
空へ飛ばされた。
アトマス:君は竜人だ、空には慣れてるだろう!どれ、私も行くか我、風向きを変える者也
ラゴス:はぁ、はぁ、やっと止まった
雲より上まで来てしまった。
ラゴス:ちょっと、苦しぃ、いきが
アトマス:ふぅ、、少し疲れるな、…おっと忘れてた、───「リア・フターブ」
ラゴス:はぁ、はぁ、危ないところでしたよ!!
竜人は獣人よりも、息を多く必要とするんですから
アトマス:すまんすまん
そう微笑みながら言った。
ラゴス:それで、ここからどこに行けばいいのです?
アトマス:おっとそうだもう少し向こうだ
ラゴスはその指された方向へアトマスと一緒に向かった。
アトマス:よしここだ、着いたぞ
ラゴス:この雲の下ですか?
アトマス:そうだ、この下には城がある
ラゴス:???
アトマス:そして、その城の上、つまり城の上空に浮いているのだ
ラゴス:???
アトマス:もちろん、見えないようになってるよ、下からは、、、では、行くぞ!
そう言うとラゴスを引っ張って急降下を、始めた
ラゴス:うわあああああああ
????:ぉ-ぃ、、ぉきろーおきろー
なにか、頭で、響いている
???:ほんとに竜人なんですか?大丈夫でしょうか、、、
ラゴス:はっ!ここは、───もしや、ここが、台風の目?
???:ああそうだ、こんにちは、竜人のラゴスくん
????:やっと起きたか、急降下で気を失うなんて、竜人として、どうなんだ?
そう聞いてくる声は、どちらも聞き覚えがないり
ラゴス:えっと、あなた達は誰?
????:おい忘れたのか?私だよ、アトマス、だ
ラゴス:え!!あの、アトマスさん?!
アトマス:ああ、あれは仮の姿、あんな老人じゃないぜ?
???:次は僕からですね、アイ・ウォール、ま、ここではアールとでも呼んでください
ラゴス:分かりました、こっちの説明は、、、もうされてるみたいですね、
アール:はい、仲間を探しているんだってね
ラゴス:はい、それで、、
アール:残念だけど、君の仲間はつい20年ほど前に君ともう1人を除いて絶滅した
ラゴス:え……
アール:事の
言葉を失うラゴスを待たず話は続けられた
アール:竜人だって、そんなに弱い訳では無いしかし、その竜人はあまりにも強かった、3000の竜を相手にして勝つくらいにね、ま、その後数多の強者達が封印に協力しやっとのことで、封印された、竜人は奴以外死んだ、そう思われていた、───君の両親は生き残った、この星の奥地にいたからね、しかし、それも長くは続かなかった。封印されても尚、その影響力で、魔物を操り、奴は君の両親を殺した、これが20年前ほどのこと、君は言わば残された卵だったってわけ
長い長い沈黙がこの部屋を包んだ、淡々と話された"衝撃"………その真偽に関わらずそれは、ラゴスの平然を瓦解させ断崖に立たせるには十分であった。
ラゴス:…………本当…なんですか…………
アール:ああ、本当さ、あんなに大きな戦争だ、この星に限らず、そうだね、その戦争今で言う「絶竜戦争」はたった80年前くらいだ、僕たちは生きていなかったが、僕の親はよく話しているよその時のことを、大地や海、山々は喪失し、竜人だけでなく、一般の獣人の多くが燃え、消えていった
ラゴス:……じゃあ、母さんと父さんは、何なの、いや……そうかもとは思っていたんだ……きっと、心の中では、本当の両親ではないと………
アール:そうだね、君の実の両親は、伝えによれば、既に死んだ
ラゴスはどうすればいいのか分からなくなった、自らの目的を失い、同族を失い、親を失った。
もういっそ自らを殺してしまいたくなった
ラゴス:俺は………どう……すれば
アトマス:落ち着け、アールそんなに一気に言わないでくれ、そしてこう、もっと、なにか優しく伝えればいいものを
アール:起こってしまったことだ、仕方がないだろう?それに、言うなら一気にいつまた方が伝わるし、衝撃も1度で済む
アトマス:だとしても……もっと、あるだろ
アール:まあまあ、そんなに怒らないでくれ、さ、顔を上げな、竜人ラゴス
ラゴスの耳には何も入っていないように見えた。
アール:おーい、おーい、おい!
ラゴスはゆっくりと顔を上げ、アールの顔を見るともなく見ていた。
アール:お前の人生は何も終わっちゃいない、竜人の寿命は長いんだ、僕たち獣人と違ってそれでどうだい?僕たちと一緒に「冠」を正すんだ
ラゴス:もういいです、なにか、寝そべっていたい
アール:ま、そんなにすぐに返答はいらない、そこで休んでいるといい、とりあえず明日まで
ラゴスはふらつきながら、長椅子に向かい横たわった。
目が覚めると風の匂いがした、それは、気持ちいの良い朝の風ではなく、湿ったまさに雨の降る前の冷たい風。なので正確に言えば「風の匂いがして目が覚めた」ということだ
ラゴス:あ
アトマス:おう、起きたか
ラゴス:はい
ラゴスは今やっと昨日のことを思い出した、そして、涙がこぼれた
アトマス:ああ、いいよ、泣いても、それだけの事があったんだ
ラゴス:ただいま
テス:おお、おかえり
テスはラゴスのことを見つめて
テス:大丈夫か?なにか疲れているように見えるが…
ラゴス:大丈夫だよ、ごめんなさい、昨日は夜のうちに帰ると言ったのに、
テス:いや、気にしなくていいんだ、誰にだって急用とかはあるだろう
ラゴス:(優しい人だな少しくらい怒られることを覚悟していたのだけど)
テス:ほら朝食にしよう
ラゴス:ありがとうございます
朝食を食べ終え、自室であれについて考え始めた。
ラゴス:(どうしよう……そういえばアールさんが・・・)
アール:おはよう!昨日のことは決めたかい?ま、寝てる間に考えてはいないか、ま、今日のうちは帰ってまた今日の夜来てくれ、場所と合言葉は覚えているかい?
ラゴス:(うーん、こうなってしまってはもう目的も無いし、だからといって家に帰ったとしても
なぁ)
ラゴス:よし!アールについていこう!
ラゴス:我風向きを変える者也
ラゴスの身体が空へ跳ね飛ぶ、どういう原理で動いているのだろうか。
ラゴス:前は、気絶?しちゃったけどもう大丈夫、でも、さっさと行かないとね、
辺りを見回すと、建物が浮いている所がある。
ラゴス:よし、あれか、行くぞーーー!
バサッバサッ
ラゴス:(それにしても綺麗なところだなぁ空っていうのは)
ラゴス:(いつも思うよ)
ラゴス:(よっと、ここだよね)
こん、こん
アール:入って、どうぞ
ラゴス:はーい
アール:来てくれたんだね、それで決まったかい?
ラゴス:はい、あなた達について行こうと思います!
アール:よーし、その返事を待っていたよ、では早速具体的に何をしていくか説明しよう、座って
アール:僕たちは「台風の目」この名前で活動している、この近辺大陸エアリス全体に風を通しているんだ、風車とかそうやつのために
ラゴス:??? 風が通るのは当たり前のことじゃないんですか?
アール:ラゴス君、君は「冠」がどうゆう物か習わなかったかい?
ラゴス:えーと、確か、その名に応じた力を蓄えると
アール:そう、この風吹き荒れる星でエアリスだけは、風がないんだ、冠が変に作用しているから
ラゴス:そうなんですか、でも、ビュウ村でも、そんなに風は強くなかったはずです、あそこは
エアリスじゃないですよね
アール:そこは、まぁ特殊なんだ、とにかく、無風の大陸なんて、ありえない!楽しくない!だから冠を正すことで、風を通してるんだ
ラゴス:へー、なるほど、まぁ、俺も無風は嫌ですね、、
アール:そうだろ!いいねー、では、早速君に
課題だ、「ガー」と協力し「風の冠」を直接見て来るんだ、まずは、論点をその目で見てもらわないとね
ラゴス:えーと、おはようございます
ガー:おお、話は聞いている、行こうか
昨日、アールに言われた通り潜入衛兵「ガー」と冠を見に行く、見るだけなら許可も簡単におりるのだ。
ガー:さあ、そこに見えるのが「風の冠」だ
ラゴス:あれが・・・
ガー:この冠は、諸説あるがおよそ2000年前程に置かれたとされている、暴風から我々を守っている重要なもの。そう説明書きがあるね、アールはこれがおかしいと言っていた、彼の言いたいことはわかったかい?
ラゴス:はい、なんとなく
ガー:すごいね、私は最初ちょっとよく分からなかった、「正す」とは本来の風の向きを取り戻すということだとね
ラゴス:そうなんですか?!・・・・・・てっきり、
微風ぐらいを流すのかと、
ガー:ふむ、ここの上空の風向きを知ってるか?
ラゴス:前上空いったときにもなんか地元と違うなと思いましたけど
ガー:本来発生しないはずの渦が発生しているんだやべぇ渦が
ラゴス:そうなんですね、それが「正す」かぁ
そう言いながら冠を眺めていると
ガー:どうだい実際に見てみて
ラゴス:いや、すごいです、まさに、冠です!
ガー:ははは!お前、、、面白いな!でも、正直俺も、大層なことは言えないな
ガー:どれ、1度帰るか
アール:お、おつかれ
ドアを開けるとこちらを見てそう近ずいて来る。
アール:どうだった?
ラゴス:はい、すごい綺麗で、神秘的でした
アール:うん!いいね、まだ明るいしもうひとつやって欲しいことがあるんだ
ラゴス:はい、なんでしょう
アール:実は、冠のある場所で異常があったらしい、既にガーがこのことを調査し始めている、それを手伝ってくれ
ガー:よろしく
ラゴス:わかりました
アール:じゃあ、早速行ってきてくれ、せっかく帰ってきてくれたのに悪いね
ラゴス:大丈夫ですよ
ガー:そんなに遠くないし
アール:あ、ちょっとラゴス、ちょっと話したいことがある
そう言われたので、ガーと待ち合わせ場所を決め、アールのもとへ行く。
アール:今回の事件の、調査長はガーだけど、相変わらずこの組織の代表は僕、基本的に僕の命令を遵守してくれ、あと今回の事件で武力は極力抑えること、つまり、下手に突っ込むなということ
ラゴス:了解しました、では行ってきます
アール:頼んだよ!
ガーと待ち合わせる場所は城門前、最初にあったところの近く。
ガー:では冠の地への行き方を探してみようか、前見に行った時見たと思うけど、あそこは厚い
靱晶硝子で出来ていて割って入ることは出来ない、警備も多い、大変なところだよ
ラゴス:そうなんですか、でも、魔物も来ないような所になんで守りが必要なんですか?
ガー:ま、もし魔物が来ても冠さえ残れば、何とかなるから、それくらい大事なものなんだよ
ラゴス:こんなところに来るかなぁ
ガー:ふっふっふっ、ここに来るのは魔物だけでは無い、例えば冠を「正す」連中とかね
ラゴス:もしかして、武力突破ですか?
ガー:おう!ま、人に危害は与えないよ、
靱晶硝子に穴を開け、調査に踏み切るのだ
ラゴス:穴!?─────亜人が入れる程度の穴だとかなり厳しくないですか
ガー:この世にはそうゆうことが出来る人がいるのな!
ラゴス:凄いですね!それで誰なんです?
ガー:この俺だよ!
ラゴス:!! そんな技術が?!
ガー:ああ、それを使えば余裕って訳、だから
見守りの衛兵だけ何とかすれば
ラゴス:じゃあ今からその準備ですね
ガー:よし、一緒に頑張っぞ!
ガー:まず冠の地を守る衛兵は二人、衛兵1、
衛兵2と呼ばせてもらう、そして、俺はその二人より上の立場なので、俺たちとここの守りをすると言う
ラゴス:なるほど、これ俺要りますか?
ガー:本来、俺はここの守りとかやらん立場なんだけど、新人に変装したお前の研修と言ってかわれば違和感がないってもんだ
ラゴス:俺にも役目があって良かったっす
ガー:よし、さっさっと始めるぞ
ガー:やぁ、昨日言ってた新人だ、とりあえず一番安全で簡単なここの仕事からやる、代わってもらうよ
衛兵1:はい、ではお先に失礼します
衛兵2:失礼します
二人の衛兵はなんの疑いもなくすたすたと歩いていった
ガー:よし、あとは穴を開けるだけ、お前はここで待っていて
ラゴス:はい
そう言うと少し頷いて、硝子を向き
ガー:劈開せよ「イア・キケハ」
厚い厚い硝子に切れ目が入る、そしてガーはそれをよっと引き抜いて持ち上げる
ガー:ふー、練習したかいがあったな
ラゴス:すごいです!
ガー:説明とかはあとだ、すぐ閉じないと直んなくなるぞ
ガーは引き抜いた大きな硝子をそーっと床に置き、中へはいる、そしてそれに続きラゴスも中に入る。
ラゴス:なんて綺麗なとてつもない力を感じる…
ガー:こいつになにか異変があるらしい、とりあえず五年前程の絵と比べてみるか
ガーはポケットから取り出した絵と実物とを見比べる。
ガー:見た目は変わりないように見えるが、えーと、その当時のここ周辺の情報も載ってるな、どれどれ
ラゴスは周囲を見渡してそして上に目をやる、すると
ラゴス:ガーさん!見てくださいあれ
ラゴスが長い柱の頭の方を指す
ガー:ん? あれ壊れてる、するとここら辺に、部品が落ちてる!柱の隙間にちょうど転げ落ちて誰にも気づかれなかったのか?妙なものだ
とりあえず、異音の正体はわかったが、これなんだ?音叉みたいに見えるけど
ラゴス:なんでしょうか……
ガー:とりあえずここ周辺の各種数値だけ計って報告しに行くか
ラゴスは頷いてもう一度上を見上げる、この上に島が浮いていいるなんて到底思えなかった。
調査の後結果をアールに報告した後、ラゴス達は各自住処へと帰った。そして、翌朝。
アール:ふむ、昨日言ってもらったこと以外には何も変化はないようだね、昔と比べて
ガー:はい、やはり上部の破損と魔力量の上昇以外には問題は無いようです
アール:では、上部の破損と魔力量の変化は関わりがあるとみていいだろう、僕の知る限りのその上部の装置は抑制装置だ・・・・・・音の共鳴で魔力を制限する素晴らしいものだよ
ラゴス:そんなすごいものがこんなことに……
ラゴスは机に置かれた三つに割れた音叉のようなものを見る
アール:僕達には修復は不可能だろう、かと言って放っておくと、この魔力量の上昇から見てかなりまずいことになるだろうね
ラゴス:直せないんですか?
アール:ああ、しかしなぜ壊れたんだ?
アールはその装置を眺めて首を傾げる
ラゴス:そういえば、冠を「正す」てどうやってるんですか
アール:ああ、それは風向きだよ、この街の場所は本来、いつまでも巨大で偉大な嵐の居座る異様な土地だったらしい、そこに冠を置いたら嵐ではなくなって、逆に周りより住みやすくなったとか
だから、冠は常にこの嵐の力を吸っていることになる、簡単に言っているけどこれはかなりすごいことだ、だって、普通に考えて吸ったらそれはそれで風が吹くだろう?まぁとにかくそうゆう嵐を吸っている最中なんだ今も、だからあえてここに嵐とは何も関係ない向きに、この街の外から風を通す、そうやってるんだ
ラゴス:へぇー
ラゴスはわかった振りをした。
アール:とにかく、僕は関係ないからね装置の破壊と、でも、見つけてしまったんだ、責任もって直すか……
ラゴス:どうやるんですか?
ガー:音叉か……それなら聞き覚えがあるな、北東の山の奥「音の里」そこに行けば何かわかるかもしれな
アール:たしかに、そこなら確か、えーと、まぁ遠かった気がするけど、今日中には着くかな
ガー:よし、ラゴス、連続ですまない、また来て貰えるか?
ラゴス:いいですよ!もとよりそのつもりです、では早速準備ですね!
半竜 @rikei-3
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