「すずは」さんは、名探偵 1

鬼塚 夢

第1話 はじめに

「すずは」は、部屋を片付けていた。事務所?倉庫かなー?古びた倉庫だ これは。 


ソファーと机はある 申し訳なさそうに 備え付けの簡易キッチンが 奥にある 


「これで 依頼者に お茶は出せるわね」と独り言をいいながら 取り敢えず、ソファーに座った。

 

そして宮本巡査部長に携帯で 電話をかけた。「私!そ!そうなの、土日だけ 探偵事務所を開く事にしたわ。あのハイヒール事件以来『名探偵すずは』って聞くと 体が ムズムズ ワクワク してくるのが わかって どうしても やりたくて 有り金叩いて あの気のいい禿頭の社長に、頼んで格安のこの事務所探してもらって 貸してもらったの。」


宮本「直ぐ行動にうつす君には お手上げさ、俺で役に立つ事が、あれば言って、」


すずは「こっちに いつも、いないじゃん どう役に立つのよ」


宮本「あーそれは 、職業柄仕方ないなー。俺も君の役に立ちたい気持ちは 、誰にも負けないんだが 体は 一つしかないしな!」


すずは「はい!はい!電話切るわよ 私忙しいのよ」

宮本「君からかけてきたんじゃ(笑)」「ないか」まで 聞かずに すずはは、携帯を切った。 


宮本巡査長は あの事件で昇格し 晴れて巡査部長と なった。中身は 残念ながら、さほど変わっては いない。


ここで 「すずは」の小さい頃のエピソードを話しておこう。「すずは」は、小さい頃から 少し変わっ子だったかもしれない。本人は、いたって普通だと 思っていた。


春さん(母)には、よく怒られた「すずは」は 怒られると神社の床下に 家出していた。


何故いつも そこだったのか 今の歳になっても よく分からない。小さい頃の「すずは」に 今聞けるものなら、聞いてみたい。


神社の床下には、色んな虫がいる。そして 蟻地獄を弄り、遊んで時間を潰していた。その内寝てしまい 母が 連れて帰る。と言う流れが定番だった。きっと、頬には沢山の虫や土がついていただろう。


又 こんな事もあった。


国語か道徳の教科書に傘を持ってヒラヒラと空を飛ぶ魔女がいたら 自分も飛べるんだ と思い 工事現場のちょっと高さのある所から傘を開いて砂の盛り上げてる場所めがけて 飛んだ。


勿論傘は広がらず 逆さにとじてしまい 飛んだのでは無く、下に落ちる。当然のことだ。重力のせいだ。「すずは」は、足首の骨にヒビが入り ギブスに松葉杖になってしまった。母は泣きながら、「頼むから、雲に乗るのだけは やめてくれ死ぬよ!」と言われた事は、覚えてる。


もっとも 怪しかったのは 皆んな女の子は アイドルや少女漫画が 大好きな歳に 「すずは」は、松本清張の『けものみち』『黒皮の手帳』が 愛読書で いつも持ち歩いていた。


母に 黒皮手帳が 欲しいと ダダをこねて 困らせた事もあった。


浴衣(着物の変わり)を着て 髪をお団子にして、黒いメモ帳を持って 休みの日は 家で一日中過ごす事もあった。


この頃からか 主人公に,なりきるのが好きでいたようだ。


社会人になり、仕事の日は まともな衣装をまとっては、いるが朝から 何を着ていくかが忙しい。


今日はキャリアウーマン風だったり、今日は 可愛くデート気分風と 自分なりにテーマが あった。


今の「すずは」が、出来上がったのは小さな頃からだったのかもしれない。土日は 仕事はオフ。『白石すずは探偵事務所』weekend

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