池袋に纏わる話

田宮

はじめまして

 はじめまして。田宮と申します。

 この度は興味を持って頂いてありがとうございます。

 ちょっとした自己紹介なのですが、私は生まれてこの方ずっと池袋に住んでいます。その上、実家が繁華街の近くでしたから都会の生活というものが当たり前になっていました。

 気づけはアラサーとなり、いよいよと一人暮らしの検討もしたのですがどうやっても今の生活のレベルを落とすような形になってしまい、恥ずかしながらずっと実家暮らしをしています。

 とはいえ一番最初に一人暮らしを検討したのは新社会人として新しいスタートをしようとした時期なので、今からおよそ6年ほど前でした。

 まだ働く前でしたし、金銭的にも余裕がありませんでしたから池袋で探そうとしたときは現実というのを突き付けられたような気分を味わいました。

 ですが、その経験がきっかけで今の趣味と出会うことも出来ました。


 私は趣味で怪談を集めています。

 特に豊島区、いやもっと範囲を狭めて池袋周辺に纏わる怪談を集めています。

 これが多いのかは分かりませんが、池袋といえばサンシャイン60真横にある東池袋中央公園の巣鴨プリズン跡地や池袋駅直結のパルコ真横にある池袋四面塔、雑司が谷霊園など、心霊スポットと呼ばれる場所がいくつかあります。

 もっとも、小中学生の頃はよく「ここでお化けを見た」とかそんな話をしていたものですが、少なくとも28年間暮らしていて私はそういった恐怖体験に遭ったことは一度もありません。(ただ単に不用意に近づかないからかもしれませんが…)

 

 ではなぜこのような趣味をするようになったかというと、とある不動産屋で事故物件を紹介されたのがきっかけです。

 池袋駅の西口から10分ほどのA不動産に話を聞きに行ったとき、ネットに載っていない物件をいくつか紹介されました。

 この不動産屋はグループなどを持たない、個人のいわゆる地域密着型の不動産屋でした。有名なところもいいのですが、やはり地元に住んでいる方のお話をちゃんと聞きたいと思ってこの不動産屋を選んだのです。

 とはいえ、やはり池袋で賃貸を借りようとすると求める条件と家賃が二次関数のように大幅に上がってしまうのですが、新卒ということもあってまだ収入がほぼない私にはそんな簡単には物件を決められませんでした。

 当時そんな私の対応をしてくれたのはその不動産屋の店長の佐々木さんでした。

 佐々木さんは当時60歳程で、もうほとんど趣味で不動産屋を続けているような方でした。

 決めかねている私に「では、少々お待ち頂けますか…」と静かに言って奥の部屋に戻っていった姿は今でも覚えています。

 戻ってきた佐々木さんは分厚いリングバインダーを持って来て「田宮さんはおばけとかを信じますか?」と聞いてきました。

 私は戸惑いつつも「いえ、出会ったことがないので…」と答えました。

「ここにあるのはネットに載っていない、うちだけで預かっている物件なんですが、いわゆるいわくつきの物件でして。やっぱりすぐに出ていってしまう方が多いんですよね。でも物件としては良いものが多いし、とにかく安いんですよ」

 佐々木さんはさらさらとページを一周するように見せてくれました。

 バインダーにはもう閉じ切らないんじゃないかというぐらいには物件情報が挟んでありました。

 最近は事故物件かどうかをサイトですぐに判断することが出来ますから、隠していてもすぐにバレてしまうそうです。とはいえ逆に家賃を低めに設定して掲載してもかえって怪しまれてしまうそうで、佐々木さんは結果的にこうやって直接来た人にのみ案内をするそうです。

 実際に一枚一枚眺めてみると「こんなタダみたいな値段でいいの?」、「この設備でこの値段?」と思えるような物件が沢山ありました。

 ただ、物件には度々ポストイットが貼ってあって「目立つ染み」、「臭い」など衛生面についてメモがありました。また「人影」、「女性の泣き声」、「物音」など、異様ななメモが残されているものもそれなりの量としてありました。

 佐々木さんは事故物件を出ていく人に実際に住んでみて問題がなかったかを聞いているそうです。

 多くの人は霊障といった問題は無いようなのですが、時間が経つにつれて精神的に嫌になってしまうらしく、ちょっとした物音などに過敏になって結局1,2か月程で出ていってしまうのだとか。

 でも実際に心霊体験をしたという人も少なからずいるようで、この確認をしていくと大体同じ物件で同じ体験をした人が現れるようです。

 事前に情報を伝えてもやはりクレーム問題などになってしまうこともあるらしく、A不動産ではなるべくその問題を避けるために入居前と退去時に借主に確認をとっているようです。

 もっとも最近ではyoutuberなどの配信者も増えてきて、むしろこのメモがあるところを好まれて借りる人もいるらしく、そういう意味ではA不動産は信頼が厚いそうです。当時の私としては多様な考えというものをこの物件探しを通して学ばせてもらいました。


 結局のところ私はA不動産で物件を決めることはなく、今のままずるずると実家暮らしを続けています。ですが、佐々木さんには事故物件のオカルト話を沢山聞かせてもらいました。

「このコーポ○○なんか今全部空き家ですよ。結局自殺したのが真ん中の部屋だから両隣と下の部屋もみんな霊障の影響受けちゃってるんです。とはいえ持ち主からしたら壊すのにもお金がかかるからずっとこのままですよ」

 実は佐々木さんもこういった怪談話は好きらしく、言える範囲で色々とお話をしてくれました。

 これまで私は事故物件なんてものは気持ちの問題と作り上げられた話だけだと思っていましたが、この時本当にこんなことが実在するんだと変に感動してしまいました。

 今では佐々木さんには度々取材という形でお話を伺わせて頂く仲になりましたが、この時の経験をきっかけに私の怪談集めの趣味が始まったのです。

 このことから最初は事故物件を中心に恐怖体験話を集めていたのですが、さすがにネタが尽きてしまいますから、半年後にはネットの掲示板で話を募集するようになり、今ではX(旧Twitter)やインスタグラムなどのSNSも活用するようになりました。

 多くの場合基本的に最初にざっくりと簡単なお話を聞かせて頂き、気になる内容であれば実際にお会いするかオンラインで話を聞いて謝礼をお渡しするような形で収集をしています。


今回は自分の知っている話をもっと多くの人に聞いてほしいという気持ちが生まれてカクヨムを利用するようにしたのですが、正直に言ってしまうと、情報収集網の拡大という目的もあります。

不定期にはなりますが、私が聞いた話をここに書いて、それが誰かの目に留まり、「私もこんな話を知っています」というのを集められる場所にしたいと思っています。



もし池袋に纏わる話を知っていましたら是非下記にご連絡頂ければと思います。

謝礼は基本的に3,000円分のプリペイドカードの番号をお伝えする形です。


電話番号:0▪0-▪▪▪▪-▪▪▪▪

X(旧twitter):@▪▪▪▪▪▪▪▪


是非これからも宜しくお願い致します。

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