第14話 スレ違いやで

【おっさん】ケンちゃん食堂part8【配信と二刀流】


無名の探索者

 ゲリラ配信、生で見れんかったやつおる?


無名の探索者

 煽るなよ


無名の探索者

 予告なしだったのに、最終的に同接10万超えてて草


無名の探索者

 完全に人気配信者の仲間入りしたな


無名の探索者

 内容もすごかった。下層の映像は希少だし


無名の探索者

 下層の探索配信なんて国内じゃほぼいないもんな


無名の探索者

 ドラゴンチャンネルは有名


無名の探索者@ケン様ラブ

 ケン様かっこよ過ぎて勃起した


無名の探索者

 新しい期間限定メニューはハニーマスタードのグリルチキン定食だって


無名の探索者

 死ぬほど美味そうで涎でた


無名の探索者

 コカトリスの肉もマッドビーの蜂蜜も入手難度えぐいから、他では絶対食えん


無名の探索者

 大行列間違いなし


無名の探索者

 一日限定500食だぞ! 急げ!


無名の探索者

 その煽り事実で草


無名の探索者

 500食でも争奪戦になるんだもんなぁ


無名の探索者@神オヂ大好き

 ハニーマスタードのついた神オヂのグリルチキンに齧りつきたい


無名の探索者

 なんかヤバいやつおる


無名の探索者

 ニシダ下層で無双しまくってたけど、探索者ランクFなんだよな?


無名の探索者

 はよランク上げろよ無能管理庁


無名の探索者

 実際のところ何ランクぐらいなんかね?


無名の探索者

 Aランク以上は確実


無名の探索者

 Sランク


無名の探索者

 さすがSはない。日本に9人しかおらんトップオブトップだぞ


無名の探索者

 けどAランクにしては強すぎだろ。ソロで下層探索できるAランクどんだけおる?


無名の探索者

 AとSの間がめちゃくちゃ大きいからな。Aでも上位はソロで下層に行けるんじゃね?


無名の探索者

 下層と言ってもピンキリだし、Sランクの主戦場である深層はさらにレべチだからな。地下12階だか13階で無双した程度じゃ、Sランクは遠いって


無名の探索者

 へー、そんなに差があるんやな


無名の探索者@神オヂ大好き

 私の神オヂが世界最強。異論は認めない


無名の探索者

 そういやその9人のうちの一人が、緊急帰国したってニュースやってた


無名の探索者

 天童奈々だな


無名の探索者

 美人過ぎる探索者


無名の探索者

 あれだけの美貌に恵まれていながら探索者のトップとは


無名の探索者

 天は二物案件


無名の探索者

 国内じゃ同格の探索者が少ないからって、世界のトップ探索者たちとパーティ組んでるんだっけ


無名の探索者

 何で急に帰国? 身内の不幸?


無名の探索者

 スレ違いやで


無名の探索者

 ニシダの話しようぜ


無名の探索者@ケン様ラブ

 ケン様と結婚したい


無名の探索者@神オヂ大好き

 は? あの神オヂ私のなんだが?


無名の探索者@ケン様ラブ

 宣戦布告? 受けて立つぞ


無名の探索者@神オヂ大好き

 あ? 自殺願望ある?


無名の探索者

 変なやつと変なやつが喧嘩はじめてて草


無名の探索者

 荒らしはやめろよー


無名の探索者@ケン様ラブ

 本気なんだが


無名の探索者@神オヂ大好き

 ガチやが?


無名の探索者

 荒らしよりヤバいやつらで草



    ◇ ◇ ◇



 新期間限定メニューも大反響で、連日のように店にお客さんが殺到した。

 500食ではお昼頃には完売してしまうので、一日限定1000食に拡大したほどだ。


 あれだけ確保した食材が底をつきかけたため、夜中にダンジョンに採りに行かなければならなくなった。

 たった一人で切り盛りしていることもあり、毎日大忙しだ。


「美味しいって言ってくれるお客さんの声があれば頑張れるけどな」

『料理人の鑑』

『ケンちゃんの場合、バイト入れても戦力になんないからねぇ』

『それな。十人いてもケンちゃん一人に及ばないっしょ』

『それで相談って?』

『なんでも乗るぜ』

『もしかして恋の悩み?』

「違う。実はコラボの依頼が来てるんだが、どうしたらいいと思う?」


 忙しい中、古い友人たちにアドバイスを求めたのは、ⅩチューブのDMにコラボ配信の依頼が送られてきていたからだ。


『誰からの依頼?』

「この間の配信で助けたアイドルだ」


 依頼主は金本美久だった。

 正確には彼女のマネージャーである加賀麗華から連絡が来たのだが。


『おおー、金本美久かー。あの子、あれからさらに人気が出て、そろそろセンターやるんじゃないかって噂だ』

「河北、やけに詳しいな」

『そりゃ彼女のニュースを追いかけてるからな』


 十代のアイドルの情報を追っている40歳のおっさんとか、言葉にしてみるとなかなか痛いな。

 ……俺も気を付けないと。


『こいつ昔からアイドルとか女優とか好きだからねぇ。だから結婚できねぇんだ』

「お前も独身だろ、東口」

『ケンちゃんもねー』


 南野以外は独身の集まりである。

 彼には俺たちの分まで頑張ってもらうしかない。


『おれっちなら喜んでやるけどなぁ。しかも命を救ってあげた相手だろ? ワンチャンあるかもしれん。芸能界って歳の差婚が多いし、割と抵抗ない可能性もあるぞ』

「お前の願望で語るなって。俺にそういう趣味はないから」

『ケンちゃんはどう考えてもあのマネージャーの子の方が好みだもんねー』

「っ……い、いや、そういうわけでも」


 南野に指摘され、俺は少し動揺しながら否定した。


『誤魔化しても無駄だよ。ケンちゃんは昔っから、ああいう仕事ができそうな大人の女性がタイプなんだって』

『言われてみればそうだな』


 東口まで同意する。

 さらに河北が、


『あのマネージャーの加賀ちゃん、ウィキペディベアによると29歳だな。全然あり得る年齢差だ』

「だからそういうんじゃないって。あと、十歳差はかなり厳しい年齢差だろ」


 十歳も違うのか……そりゃ俺はもう40だしな……。


「てか、最近はウィキにマネージャーの年齢まで載ってるのか?」

『彼女は特別だ。私設のファンクラブができてるほど人気があって、テレビでも何度か取り上げられてるくらいだからな』

「そうなのか」


 あれだけ美人なら当然かもしれない。

 アイドルは無理でもマネージャーなら……なんて疚しい気持ちがあったわけではないが、やはり現実を突きつけられるとショックではある。


『なんにしても、コラボは受けた方がいいとおれっちは思うぞ。そしてサインを貰ってきてくれ。河北さんへってメッセージ付きで』

「何でお前のためにサインを貰わにゃならんのだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る