第10話 ワーク、紅銀の狼王に遭遇!(そして戦闘へ…)
僕は今、フガイの森の中を飛んでます。
……というか飛ばされました。
「あばばば!」
もう!なんで…なんでこうなるの!
ー数分前ー
僕はグライトに持ち上げられ、
「お前、覚悟はあるか?」
とまっすぐ僕の目を見つめて言った。
…いや、まずこの状況が把握できていないんですけど…。
そこにアルマンが割って入る。
「待てグライト!お主、正気か?まさか、エミリスのところまで投げるつもりじゃ…!」
「あぁ、そのまさかだ…。俺たちじゃ…今から走っても間に合わねぇ…。だがこいつを俺の投擲スキルで投げれば話は別だ。」
「じゃが…!」
…あの…勝手に話進めないでもらえます?
ようは僕をエミリスのところまで投げるってことだよね…。
「仕方ねぇだろ!今はこれしか方法はねぇんだ!アルマンはこいつが木にぶつかっても大怪我しないようにありったけの保護魔法をこいつにかけてやれ。」
アルマンは少し考えて
「…致し方あるまい…。ワークよ、許せ…。孫を助けるためじゃ…。」
そう言って僕に保護魔法をかけ始めた。
あれ~?なんか決まった感じになってない…?
待って僕、許可してないよ…😅
「ま、待ってください!そもそも場所は分かってるんですか?」
僕はグライトに質問した。
「あぁ、長年、冒険者をやっていると声や気配で位置は大体つかめるもんだ。」
グライトは狙いを定めた後、両手から片手に変えて僕の腰を持つ。
「グライトよ、保護魔法はかけ終わったぞ。」
「よし、それじゃあ…」
グライトの腕に力が入ったのを感じた。
「待って!まだ心のじゅんびー」
「助けに…行ってこいやぁ!」
言い終える前に僕はグライトの投擲スキルでまっすぐ投げ飛ばされた…。
「アアアァァァ!!」
ーそして現在に至るー
なんでこうなるの!?一応、僕まだ5歳だよ!?
普通、子ども投げ飛ばすかね!?
そう思いながらも僕は森の中を飛んでいく。
僕の身体は何度も木にぶつかって貫きながらも、勢いは衰えることなく、ただ目的地に向かって進んでいた。
アルマンの保護魔法【シルド】がかけられているからか痛みやダメージは全くない。
だが僕の固有スキル【
『クリティカルヒット!』
を連発していた。
ヤバい…さすがに何度もこの声聞いたら頭おかしくなりそう…。
しばらく飛んでいると遠くの方にで人影が見え始めた。
あの姿は…エミリスだ!
エミリスがうずくまっていて、すぐ近くには魔物が口を開いて食べようとしていた。
やばい!エミリスが食べられそうになってる!
ていうか…なんかあの魔物でかくない…?
えっ、僕あれと戦うの?
僕はまずそれ以前の問題に気づいた。
…そういえば、勢いが全然落ちないんだけど?
これ…このままいったらぶつからない?
いつの間にか魔物の目の前にまできていた。
「わああぁぁ!」
僕は手足をバタバタさせて叫んだが、いくら動いたり叫んだりしても勢いが止まることはなかった。
そして僕はそのまま、
ドゴン!
という音とともに僕は魔物の頬に直撃した。
『クリティカルヒット!』
魔物は直撃した勢いで倒れ、僕はそのままエミリスの前に落ちた。
さすがにあの魔物を木みたいに貫くのは無理だったか…。
それにしてもアルマンの保護魔法はすごいな。魔物にぶつかっても全然痛くないや。
ただ何度もあの声聞くからさすがに頭痛くなっちゃったな…。これは慣れるのにまだ時間がかかりそうだ…。
倒れている僕の姿を見てエミリスは驚いていた。
「ワ、ワーク!?」
驚くエミリスの姿を見て僕はとりあえず安心した。
「痛たた…。頭痛い…。」
僕は頭をおさえて起き上がる。
「よかった…間にあった。」
エミリスは目の前でおきたことが信じられないのか
「さっき直撃してたけど大丈夫?というかどうやってここまで来たの?」
と困惑していた。
僕は困惑するエミリスに手を差し伸べて
「助けに来たよ、エミリス。あとは僕がやっつけるから…。」
目の前で倒れていた魔物がゆっくりと起き上がる。
そして僕に敵意の眼を向けてきた。
エミリスは必死で僕を止めようとした。
「無茶よ!相手は
僕は
「大丈夫ですよ。必ず倒すから…。」
僕はあのキラーベアを1人で倒してレベルが上がったし、それにグライトさんは僕がこの魔物に勝てるから僕を投げるという行動を取ったから、きっと勝てるはず…。うん!大丈夫!
僕は【鑑定眼】で
「【鑑定眼】!」
目の前に紅銀の
待って…。こいつ、昨日のキラーベアより強くない?
僕はキラーベアより高いステータスを見て戸惑った。
えっこれ僕、勝てるかな…?
僕はゆっくりとぎこちない動きでエミリスの方に振り向き、
「すみません…やっぱり手伝ってくれませんか?」
と丁寧にお願いした。
「……。」
エミリスからは無言で冷たい視線を向けられた。
ごめん…強がってしまったのは謝るから、その視線やめて…死にそう。
こうして僕はエミリスと一緒に
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