異世界クリティカルヒット!!~はずれ職「見習い」で不運の僕はとりあえず最強を目指します!?~

闇夜

第1章 不運な僕の異世界転生……。

第1話 人生の終わりは突然に……

 突然だが僕は死んでしまった…。

 僕の名前は…言いたくない。

 だって恥ずかしいもん!死因が…死因がさぁ!

 休みの日に趣味の釣りしてて、魚がかかるのを待ってる間に食べてたバナナで喉を詰まらせて挙げ句、足滑らせて海にダイブだよ!

 窒息と溺死のダブルコンボだよ!

 恥ずかしいったらありゃしない!


 本当に最悪だよ…。仕事では会社にとって大事なデータを手違いで消して停職処分を受けるし、初めてできた彼女から名前呼ぶ時に噛んで違う名前になって「その女だれ?」って言われて二股の疑いかけられて別れるしで……挙げ句、息抜きしようと外に出て釣りしてたらこれだよ。

 運が悪すぎるって……。


 ……というかここどこ!?真っ白で何もない。えっ何、こんな死に方したやつは天国か地獄かも選べないの?

 最悪じゃん…。僕ここで人生終えるの…あっもうすでに人生終わってた。…てへ😜、僕ちゃん、とってもおっちょこちょい……。

 ………。

 ………………。

 ………………………。

「じゃねぇよ!!どうすんだよ!」

「おーい」

「あぁ、こんなになるんだったらもうちょっと親孝行しとけばよかった!」

「もしもーし」

「はぁ…今頃、会社のみんなは…って心配する人なんていないよなぁ…。」

「ねぇ!」

「あぁ、遂には幻聴まで聞こえ始めたな…。僕はもうすぐ消えるのかな…。」

「ちょっと、無視しないでくれる!」

「うるっさいな!今それどころじゃ…!」


 僕は怒りにまかせて声のする方を振りかえる。

 ……そこには頬を膨らませたかわいらしい女の子が立っていた。


「え…女の子?」


 女の子?はため息をつく。 

 女の子は長い金髪をなびかせ、今時ではない神話によく出てくるローブのようなものをまとっていた。


「やっと反応した。何度声をかけたと思ってるの?その間もなんか訳分からないこと叫ぶし…」

「……すみません。取り乱しました…。」

「うん、分かればよろしい。」


 よかった……。じゃあここはきっと夢の中で目が覚めたら現実に……


「あぁ、言っとくけどあなたが死んだ事実は変わってないから...。」


 僕の心を読んだのか考えを否定された。

 僕は膝から崩れ落ちた。


「ですよねぇ……。」


 じゃあやっぱりここは死後の世界なのか?いや、それにしては何も無さすぎるんだけど…


「あっ名前はまだだったね。私はハーティ。あなたが住んでいる世界とは別の世界の神をしているの。」

「えっ、神なんですか!?そのみた……」

「子どもと勘違いしたなら今から存在消すけど……?」


 ハーティの視線に殺意を感じた。


「……すみません…続けてください。」

「まったく…この姿は訳あってだからね。実はたまたまこの世界にチャンネルを合わせたときにあなたが死ぬ瞬間に出くわしてね。時空の狭間みたいなところにあなたの魂を連れてきた状態かな…。」

「なるほど...えっ、それ他の神様に許可もらって僕を連れてきたんですよね?」

「いいえ、まったく!」

「それまずくありません?」


 僕は慌てふためく。今頃パニックじゃあ…。


「大丈夫よ!死んですぐここに連れてきたんだから、誰も気づきはしないわよ。それに他の世界の神も同じことしてるし。」


 それはそれで悲しいんだけど…。てか規制緩くない?大丈夫なの…そういうところ……。


「あなた名前は……別に言わなくていいわ。どうせ転生したら新しい名前もらうんだし…。」


 ん、転生……?


 "転生"という言葉に僕は反応した。


「それってどういうことですか?」

「あっ言ってなかったわね。あなたあまりにも残念な死に方したから、見ていて可哀想に思って…。」


 僕、神様にまで情けをかけられた…。どんだけ運が悪いんだろう…。


「ついでにあなたのこれまでの人生も見てみたけど…本当に運が悪いのね。こんなに運の悪い人、はじめてよ……。だったら私の世界で新しい人生を歩んでもらおうかなって。どう?悪い話じゃないでしょ?」

「本当ですか!?」


 ちょっと言い方にトゲを感じるけど…。

 でも新しい人生をスタートできるんだ。これを断るやつがどこにいる?


「ぜひ、お願いします!」


 僕は元気よく承諾した。


「じゃあ始めにあなたには見ただけで素材・アイテム・魔物・人物の全てが分かる【鑑定眼】を与えてあげる。あと、それだけじゃ足りないから…なんか変わったのがいいよね…何がいいかな?」


 えっとそれを決めるのって僕じゃないですか…。


 そう思っている間もハーティはウキウキしながら考えていた。


「そうだ!あなたには【鑑定眼】の他にもう1つ特殊能力をあげるわ!」

「え…いいんですか?」

「えぇ!今回は特別よ。この1つはいずれ分かるから…。はい!これで全部よ。今からあなたを私の世界に飛ばすわ。」

「えっ!もうですか?」

「うんそろそろばれそうだし……」


 やっぱりばれたらやばいんじゃん!


「あとこれは助言なんだけど…。」


 ハーティは僕を指さす。


「もし、あなたが異世界で刺激的な冒険や出会いをしたいなら、ダンジョンの隠し部屋を見つけなさい!わかった?」

「それはどういう...」

「あぁもう!とりあえず転生させるよ!」


 そう言うとハーティは指で円を描く。すると僕の周りに魔法陣のようなものが現れた。

 そしてハーティはにっこりと微笑み、


「もしあなたがその運命を選んだのなら、あの子のことよろしくね…。じゃ、精一杯楽しんでね!」

「いや、いくらなんでもはやすぎ……」


 言い終える途中でハーティが何か呟く。そして僕の視界は白く染まった。

 なんか、最後の言葉といい、あの笑顔といい、なんか意味深だったような……まぁ、いいや。それよりも楽しいことを考えよう。

 転生した世界ではどんな人が両親なんだろうなぁ。美男美女なんだろうか、そうでなかったとしても顔は普通がいいな。

 名前は何になるんだろ…。かっこいい名前がいいな。

 ……あぁ楽しみだ!おっ視界が段々晴れてきた。さぁ、僕の第二の人生の幕開けだ!!


『生まれたぞ!男の子だ!』


 ん、なんだこれ?


 僕の視界には男女が嬉しそうに僕を見つめる姿が見えた。


『よし、この子の名前はワークにしよう!』


 これは…僕が転生する子の記憶か?

 ということはこの2人が僕の両親か…顔が整ってるから僕はイケメン確定かな。

 それにしてもワークか…いい名前だな。


『あっ今この子笑ったわ!』

『本当か!』


 記憶の中で僕は笑っていたのだろう2人はとても喜んでいた。


 そこから段々と早送りになっていく…。あれ、なんかところどころ記憶が抜けてる…。とりあえず2人がなんかいろんな人と言い合いしてるのがは分かるんだけど…。

 あっこれが最後の記憶か…待って2人ともなんで泣いてるの?


『ごめんね…ワーク。』

『立派に育つんだぞ』


 えっそれって……かまた視界が光に包まれぼやけていく。


「父さん、母さん…。」


 そして僕が目覚めたときに最初に目に入った光景は…

 草木すら生えていない荒れ地と…。


「これは……なんと!」


 1人の老人が見下ろしていた。

 ……えっ?……いやどういうこと?

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