HERO

岩里 辿

第1話 

中学二年生、夏。佐久間夏は、この年に中学校という狭い世界で、人々を、人々の心までも救った。現在、あれから1年経過。彼女は、もう一度苦しむ人達を助けることとなる。


「夏、ちょっと、最近睦月取り巻きのいじめっ子軍団がまた動いてるらしーよっ」

私の親友、このみが深刻そうな顔で言った…のは数秒前のことで私はその間反応できなかったことになる。

「は?」

誰もいない教室に私の声が響く。響いてよく聞こえたのが原因なのか、私の発した1文字の言葉は間抜けで変な音だった。

そんな私に苛立ったように、このみは眉間にシワを寄せて変な顔をした。

「いや、は?じゃなくてさ。あんた解決しなよ」

「っあーああ、なるほど。今状況が呑み込めたわ。あいつらまたやってんのかよ冗談じゃねえ」

私は厭味ったらしくそう吐き捨ててやる。

「私もう頭突っ込まんから」

そして、そう宣言する。そんなことをわざわざ伝えてくるこのみもこのみだ。私は何でも屋さんじゃない。

「私はなあ、何でも屋さんじゃねーんだよ。騒ぎを鎮めるかっこいいヒーローでもない。だからそれは私の仕事じゃないんだっての」

「いや夏、あんたヒーローだよ自覚持て」

ニヤけた顔でツッコんでくるこのみは、さっきまで深刻そうな顔をしていたのが信じられなく、

「それで誰が?」

と、つい聞いてしまった。

「そーそれが問題。まだ先生もわかってないらしいの」

「えーまじか、ハードル高え」

これ、私一人じゃ無理かも。そう思った私は提案を口にする。

「このみ手伝って、一人じゃ流石に無理だわ」

このみはにっと笑って、掌を私に向けてきた。

「もっちろんいいよ、そう言うと思ってた!」

2人でハイタッチを交わす。パチンと気味良い音がした。


     ーーーーー


1話最後まで読んでくれてありがとうございました

ずっと短めになると思います、すみません

(@^^)/~~~

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