第19話:呪い前線異常アリ②
「――あーっ、生き返る~~!! こんな美味しいリゾット久々に食べたわ、これ何の貝? アサリ?」
「いえ、シジミです。ポーちゃんが冷凍してくれてたのを分けてもらって。貝が嫌いじゃなくて良かった」
「みんな大好きよ、猫だもの! ちゃんとお家のお手伝いしてたのね、えらいえらい」
「わ、わわわわわ」
すかさず全力で頭を撫でくり回されてしまい、目を白黒させる理咲である。きれいなお姉さんに面と向かってほめられるのって、なんでこんなに嬉しくもこそばゆいのだろうか。同期生男子たちだったら絶対デレデレになってるぞ。
巨大生物との遭遇から、時は流れて一時間と少し。無事に我に返ってくれた猫妖精改めラウラと共に、一同は彼女が拠点にしている居室兼執務室へとやって来ていた。むろんのこと、諸々の片づけをきちんと済ませた上で。
「ラウちゃん以外に具合が悪くなったり、怪我した人がいなくて良かったねぇ。モノはすぐ直せるもん」
「それよ! うっかりやらかしたけど、小鳥ちゃんが果物とかに詳しかったおかげで助かったわ。ホントにありがとうね」
「あっはい、どういたしまして! ……小鳥ちゃん??」
綺麗な人と可愛い人のやり取りに癒されていた理咲だったのだが、何やら不思議な呼びかけをされて首を傾げる。別に嫌ではないものの、苗字も名前も鳥にかすってすらいないんだが……
「え、だって。仲良しっていうか、ぶっちゃけイイ仲なんでしょ? そこの隊長さんと」
ごっふ!!!!
「はいっ!?」
爆弾を通り越し、核弾頭レベルの発言が飛んで来た。背後で一緒にリゾットを食べていたノルベルトが、盛大にむせて咳き込んでいるのが聞こえるが、言われた当人は正直それどころじゃない。小鳥ってそういう意味合いか!! 確かに可愛い人とか恋人とか、そんなふうにも使うけど!!
「げほっごほっ! ……お、お待ちを!! ラウラ殿、つい先ほどまで視察に出向かれていたのでは!?」
「うん、行ってたわよ? 行ったけど、王都の情報はリアルタイムでほしいじゃない。だから旦那んとこの副隊長さんに手紙とか、その他もろもろで」
「あいつは……ッ!!」
しれっと、全く悪びれずに続けたセリフに、とうとう頭を抱えてしまった隊長さんである。いつもにこやかな副隊長の顔を思い浮かべて、失礼な話だがちょっぴり納得してしまった。うん、あの人ならやりそうだ。
(それは良いんだけど、大丈夫かなノルベルトさん……あのリゾット、代謝良くするのとデトックスのためにショウガとルッコラが入ってるんだけど……)
特にショウガはやばい。あれは和ハーブの代表格にして、ワサビの向こうを張る刺激物の横綱だ。そんなのがむせて気管に入ろうものなら絶対痛い。ラウラの身体のために良かれと思ってやったのだが、なんかやたらと申し訳ないな、これ。
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