猫の目
ムラサキハルカ
プロローグ
時折、彼女は何もない空間を見ていることがある。心の底から退屈そうでありながら、さもなにかがあるような。そんな具合に。
なにか見えるのか、と直接聞いてみれば、こちらを一瞥したあと、なにも言わずに元の位置に視線を戻してしまう。何度、聞いてみても同じ結果だった。
その様子は、昔飼っていた猫みたいで、もしかしたら人に化けている物の怪類なんじゃないかと疑いかけたりもしたけど、頬や二の腕、人目のないところで合わせた唇なんか紛れもなく彼女が人であることを証明している。
彼女は俺の彼女。
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