夏(7月)

夜鷹掌

球(習作)

ヘリウムが透過するには充分だ

火を止めた 腹に力を入れて、

「おはよう お世話になります!」

靴にはいつかばらまいた豆粒のひっついたまま

大地は赤土よりもまとまって怠けたウェーブを

一千キロの眼下に送りキラキラしてる


意識は呼吸にまじり始めプクッと餅みたいに膨らんでは凹んだ

ポッケに毛が生えてきて指も感覚と一緒に溶けていく

喉を切開し、首の置物が片側から走っていた単調な頷きが、

今も視界の奥にあって、隕石みたいな兄貴の拳骨が歯に食い込んでいる

深めにかぶられた兜の男は侵入者だから、螺旋形の棚は何年も前に荒らされたかに見えた

きゅるっと唾を飲み込んだ屋上のないあの小屋で、君と肩をふるわせ目配せし合った夏の夜がもう、恋しい


返事はない、

透明な管を通してから

私のスマホの小さなカメラを向けているってのに、

ひるんだ地平線にもう一度 今度は静かに語りかける

「ドラゴンは卵を孵したわ」


回転する稲妻が

私の封筒をめくり捨てるのか

肉切り包丁でリズムを取る

魔女のまな板は綺麗に拭かれていて、みんな食べてしまった


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夏(7月) 夜鷹掌 @Hokerikon

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