84_再会と決意
メイテツの思い出した記憶は、ヨカが槍を放ったところで終わっていた。
赤の神殿の前で、メイテツはそのことをダンテに伝えると、彼は腕を組み言った。
「フローレ王国か……その王国のことなら知っている。俺がいたソド王国の隣国に当たる王国だ。だけど、ダンジョンの光の話は聞いたことがない。もしかしたら、メイテツの記憶は、俺が1000年後の世界に行った時より少し後の出来事の記憶なのかもしれない」
そばで聞いていたルーシェは呟いた。
「フローレ王国……私は、そんな王国、初めて聞いたわ。魔法歴史学でも、マナ王国とソド王国の話しか聞いたことがないから、それ以外の王国があったなんて驚きね。あなたが、1000年前の世界から来たっていうのも驚きだけど、ダンテ」
ルーシェは、下から覗き込むようにダンテを見た。
「俺も1000年後の世界につれて行かれるとは思ってなかったよ。俺を連れてきたのはハンナという女性なんだ。今おそらく、あのダンジョンに捕らえられているはずだ。いち早く、助けに行かなくちゃいけない」
ダンテは王都ペンタゴンの町並みの向こう側に見える白いダンジョンを真剣な眼差しで眺める。
「そうね、ここにいる聖騎士のみんなも、ダンジョン攻略に前向きよ。近々、ダンジョン攻略に本格的に乗り出すみたいよ」
「そうなのか、俺たちも、参加できたらいいんだけどな」
ダンテは、両手を後頭部にやって、願望を口に出す。
「お姉ちゃんがダンテたちも参加してもらうって言ってたわよ」
ルーシェは、淡々とダンテに言った。
「えっ、ほんとか!?それは知らなかった!勝手に話が進んでるのは気になるけど、願ったり叶ったりだ」
ルーシェからの思わぬ朗報に、ダンテは驚きつつも聖騎士たちとともにダンジョン攻略に行けることに喜びを感じた。
「ダンテ、どうやら、赤の神殿の試練も乗り越えたようだね!」
ダンテは、ルーシェに話をしていると、どこからか聞き覚えのある声がした。その声を聞き、もしやと思い、ダンテは声がした方向にさっと振り返った。
「テラ……目覚めたんだな」
ダンテの瞳に映ったのは、片手を上げるテラの姿だった。
「ああ、久しぶり、ダンテ!僕を止めてくれてありがとう。感謝してもしきれないよ」
ダンテたちのいるところまで近づくとテラはダンテに誠意ある様子で言った。
「テラは大切な仲間なんだ。仲間が困っていたら、命をかけてでも助け出すのは当然だろ!その代わり、俺が困った時は、助けてくれよな、テラ!」
「ダンテ……ああ、わかったよ!絶対に、その時は君を助けるよ!」
テラはダンテの言葉に目を少し潤しつつ力強い声で答えた。
「テラ、ハンナを一緒に助けに行こう。きっと、俺たちの助けを待ってる、あのダンジョンで」
ダンテは、ダンジョンを指さしてテラに言った。
「そうだね、僕はハンナを救い出して、この思いを伝えたい、それに……」
テラは、ぎゅっと拳を握りしめると、ダンジョンの方を見つめる。
「それに、僕を操って大切な村の人たちを襲わせた魔族もいると思ってる。感じるんだ。怨虫と同じマゴを放つ存在を、あのダンジョンから」
ダンテはテラの言葉に頷き答えた。
「そうだな。俺もエウノキ村をめちゃくちゃにした魔族には一発拳をぶつけてやらないと気がすまない」
ダンテとテラはともにダンジョンを見つめ、凄まじい闘志を心底から燃えたぎらせる。それに呼応するように自ずと二人のマナは高ぶるのだった。
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