07_マナ感知
瞬時に、ダンテはメイテツの黒い胴体に向かって剣をさっと振り下ろした。
「うん!?」
思わず虚を突かれたような声が彼の口から漏れる。
彼の振り下ろした剣先はメイテツの位置を正確に捉えていた。だが、メイテツの胴体に達する寸前、メイテツはプルプルした身体を活かして素早く地面を移動し、ダンテの一撃を軽い身のこなしで回避していた。
なんて、素早さだ。
彼は、視線をすっと動かしメイテツの動きを追う。
メイテツは、ダンテを翻弄するように四方八方に移動し、彼の背後に行くと、刃物に変形し彼の死角から襲いかかる。
カキン。
ダンテは、背後を振り返ることなく、メイテツの殺気を感じ取り、剣でガードした。剣とメイテツがぶつかり合い、激しく火花を散らす。
片手だと、ガードにうまく力が入らない。
本来なら、メイテツを弾き返し、反撃に出たいところだったが、片手を失った彼には、弾き返すほどの力を出せなかった。
やむを得ず、剣でメイテツの軌道をずらし、攻撃を回避する。その直後、ひびが入り、剣が折れてしまった。剣は、劣化がかなり進んでおり、耐久力があまりない。
剣が折れた!?新しい剣を取らないと……。
メイテツの動きを見ながら、ダンテは素早く近くに刺さる剣を引き抜いた。
生命には、マナと呼ばれる力が宿っている。それを感じ取り、断ち切るのだ。
ふと、かつてダンテは剣術を教えてくれた師匠の言葉を思い出した。初心に帰り、目をさっと閉じる。
視界は漆黒に包まれ、感覚が研ぎ澄まされた。身体の力を抜き、メイテツのマナを感じ取ることに集中する。
「見えた!」
ダンテは、目を見開くと、左から襲いかかろうと、飛び上がったメイテツに向かってタイミングよく剣を振った。メイテツは、刃物に変形前のぷよぷよの状態だ。剣先が当たれば、メイテツを確実に倒すことができる。
このまま、行けばマナに届く。一気に断ち切る。
剣に握る手にギュッと力を入れる。そして、彼の渾身の力がこもった剣先が、まっすぐとズレのないきれいな軌道を描き、メイテツのぷよぷよな身体を一刀両断した。
何かがおかしい……。マナを断ち切った感覚がない。
ダンテは、剣を振り下ろしメイテツに攻撃を加えた直後、違和感を抱く。彼は、メイテツのマナを断ち切るつもりで剣を振った。だが、マナを切り裂く際の独特の感触を感じなかった。
さっと、ダンテは剣を構え直し、目を凝らすと一刀両断したメイテツを観察する。
マナが二つに分裂してる!?来られる寸前に、一つだったマナを二つに分けたのか。
彼の読み通り、メイテツは、攻撃が到達する直前に、二つにマナを分離することで、致命傷を避けていた。
二つに分離したメイテツは、ドリルのような形に変形し、宙で高速回転すると、彼の命を穿たんと直進する。
2対1かよ。でも、燃えてきた。望むところだ。今度は、断ち切ってやる。
ダンテは、剣を構え、迫り来るメイテツに向かってその剣先を向けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます