第27話 シグマに恨みはない、恨むなら
豪遊だあああ!
バカ高いルームサービスをガンガン頼み飲み食いする。
裏カジノで手に入れた旅の資金は合計で金貨100枚。
ルームサービス代が金貨5枚。
まず、俺が20枚、師匠も20枚。
で、一番の功績であるノラには金貨45枚と言う采配で決まった。
テーブルを中心に3人で座りそれぞれの前には金貨をわけてある。
「決まってないよ!? クー兄さんもメル姉さんもおかしいよ!?」
「え?」
「なんじゃ?」
宿の一室で金貨を別け終わるとノラが文句を言った。
氷の魔法でキンキンに冷えた果実酒を飲みながらノラを法を見た。少し怒ってるようだ。
「ごめん。ノラ」
「そうじゃのう……ワラワもすまんかった」
テーブルの上で俺と師匠が自分の分から5枚を抜いて合わせた10枚をノラの取り分に移動する。
「違う! 違う! 違うよ!?」
「ノラ、怖いよ。まさか全部!? そりゃ」
「ノラよ、ワラワにも慈悲をくれると助かるんじゃ。そのノラがいなかったら無一文なのは承知なのじゃ、杖をレンタルした分で少しでいいのじゃ」
「多いっていうの! ボクまだ16だよ。そんな大金持って移動とか怖いよ。2人みたいに強くも無いし金貨なんて5枚以上持った事ないよ……」
何だ、そういう事か。
「個人で使っていいお金は1人金貨10枚まで! それでも多いけど……そして残ったのはパーティーの共同資金にするのが一番だよ……なんだったらボクの個人金貨は1枚でもいいよ」
ノラが少ししょんぼりしている。
「そうなのか、そう言われるとこの街に来た入場料金も師匠に払ってもらったし、それをパーティー資金にすれば一番いいか」
「うん。それにボクだって2人に毎食ごちそうになって悩んでいたんだ……今日だって
自分より年下と言う事で気を使わせてしまっていたか。
「じゃぁ師匠」
「そうじゃのう。共同資金は宿、食事、入場料など3人で共有がいいじゃろ、代表してワラワが持つが2人も少し余分に持つって事でいいのじゃ?」
「うん。それが一番と思うんだ」
それぞれ5枚。共同資金として俺とノラが5枚もって残りは師匠に預ける事になった。
散々飲み食いした後に今後の予定作戦だ。
「ええっとまずは、ギルドでしたっけ」
「そうじゃな、べらぼうに高いが1冒険者の行動なぞ聞き込み程度じゃわからんのじゃ」
俺もいくら原作ゲームをしたからと言って、クウガの行動を100%当てる事は出来ない。
あと街は実際に広すぎるよ……ゲームでは勝手に家の中に入って家探ししても20分で探索終わるのに実際は何日もかかるし。
「じゃぁ俺が行ってきますよ」
「そうじゃな、3人で行く事もないのじゃ」
宿の店主に直ぐに帰ると伝え俺一人で外出する。
中々の時間でもうすぐ夜になりそうだ。
ノラは師匠とお勉強というなの訓練。
少しでも強くして一人立ち、もしくはクウガのパーティーに入れさせなくては。
ギルドの扉を開けると前日の受付と目が合った。机の上でうなだれていて他に冒険者はいなく、思いっきり暇そうだ。
「冷やかしですか? 冷やかしであれば帰ってください」
「……ずいぶんと投げやりな」
俺はそのままカウンターの前ににいくと椅子に腰を下ろした。
「そりゃそうですよ! こっちがギルド運営に大変だって言うのに依頼もせずに帰るような人にはこうもなります、給料だって少ないんですから」
「受付嬢も大変だなぁその辺はギルドマスターに相談したら?」
「そうしたいのは山々なんですけど、私がギルドマスターなので」
「ん?」
今この人変な事言ったぞ。
え、20代のやさぐれた受付嬢にしか見えないのに、ギルドマスターとか。
周りを見ると他の職員もいない。
「周りの職員ですか? 帰らせましたよ。残業代だせませんし文句あるんですか? 冷やかしさん」
「いや、ずいぶん若いなぁって」
「それはどうも、そもそも冒険者ギルドって依頼が無いと成り立たないんですよね、わざわざ高いお金払ってまでギルドに依頼する仕事ってあまり無いんですよ。魔物が出る地下下水ですら年に数回やればいいだけですし」
色々と不満がたまっているようで愚痴が止まらない。
わかる、わかるよ。そういう気持ち。
「その……昨日の人探し金貨20枚までなら出す、条件としては相手に知られたくない……出来るかな」
「…………また冗談なんですよね」
「いや本気で」
「ギルドにお任せください!」
受付のギルドマスターが立ち上がった瞬間に目の間におっぱいが揺れる。
これはこれで嬉しい。
「じゃあの20枚早く出してもらえませんか?」
「え。ああっ……」
俺が20枚だすと1枚1枚丁寧に数えだす。
「疑問なんだけど20枚ていどでギルド運営の足しになるの?」
「もちろんです、この街は小さいし大きな事もめったにないですからねぇ、お客さんフユーンの街知ってます? 数年前に地下下水崩壊に大型魔物、先日は夜なのに昼間になった事件。ああいう変わった事があれば人も集まるんですけど、お客さんいいアイディアないですかね。どこかに町を牛耳るような貴族でもいれば密告とかもあるんですけど」
「………………ナイカナ」
グラペンテのギルドマスターに「何でかたこと?」と疑問を持たれたが俺は何も言わない、言えない。
「はい、全部本物の金貨です。では茶髪の冒険者クウガ君だっけ、うんうん先日この街にきての突然と大暴れ。冒険者規則に則って逮捕したよ」
「話が早すぎないか? え、依頼だしてないよね?」
「いやぁだって一般人が冒険者を探すんだよ? 普通きになるじゃん、勝手に調べた」
まったく悪びれないギルドマスターは頭をかきだす。
「…………まぁいいか、でまだ捕まえてる?」
「4日ほど前かな? もちろん釈放してるよ。その後は美人な女性達とともに砂漠の街スータン行きの馬車の中ってわけ」
砂漠の街であり、サブクエストが多い場所。
地下ダンジョンがありレア素材が美味しいが敵も強い。
主なサブクエストはこの手のゲームにある砂漠のピラミット、もしかしたら何でも開けれる鍵があるのか? と匂わせて置いて何もない。という残念仕様。
ドキドキ水着大会。と言うのがあって最終的にアリシアが優勝する。
更衣室をうっかり開けたクウガはメンバーの着替えを除いてしまい、という奴だ。
水着……師匠パーフェクト。
「…………砂漠か、火山のイフにはいってない?」
「おや、お客さん通だね。それは本人に聞いてよ、会えたらって事で」
通常ルートで行くと火山の街イフなんだよなぁ。
そっちは温泉イベントがあり、アリシア。ミーティア。クィルと混浴してしまう。というイベントがある。
先に温泉に入っていたクウガであるが、偶然が重なり何も知ららない女性組が入ってくる、もちろんおさわりありだ。
温泉……師匠……ウルトラパーフェクト。
どっちを取るか。
「……………………」
「おーい、お客さん。これで知ってる情報は終わり。追跡かけるなら別料金」
「はっ! 考え事を。ええっと……これで金貨20枚高くない?」
日本円で20万から40万の間だよ!?
日本の探偵だってもっと証拠を集めるよ。
「高くない! 事前に言ったけど冒険者登録してる冒険者の個人情報なんて言えない事が多いよ。もちろん重大な犯罪や特権クラスの人からの依頼は違うけど、君どうみてもボンボンの人でしょ? 大方ガロウって人に恨みでもあるのかもしれないけど逆恨みじゃないの? 相手は冒険者怪我してもしらないよ?」
逆恨みかぁ。
全くない! なんだったら逆に「殺す」と脅されている。
そんな相手に会いに行くんだから周りから見たら変人だろうなぁ。
「ご忠告どうも……そういえば」
「まだ何かあるの? こんな貧乏ギルドに」
「グラペンテって手っ取り早く稼げるカジノってある?」
「無いよ……そんな場所あったらこっちの商売あがったりだよ、仕事のない冒険者のたまり場になるだろうね」
だろうな。実際なっていたし、わざわざ裏カジノって話だったし。
「街はずれの牧場、そこの地下に裏カジノがあるって言ったら?」
「…………君は神様かな? そんな美味しい話を詳しく聞かせてもらいたいな! カジノ経営はギルドの許可いるからね違法と知ったら取り潰す事が出来るんだ……もちろん私が声を出せば見なかった事にも出来るんだけどね」
目がぎらついてちょっと怖い。
「でも君にメリットは? さっきの情報以外ないよ? それとも君が冒険者になってランクを上げたいとか、それならば頑張るよ? いきなりA級は無理だけどC級ぐらいはねじ込んで見せるけど」
「いや、個人的な恨み……じゃなくて俺も違法カジノは駄目と思うんだ、俺の師匠を上から下まで値踏みするように見るような奴は捕まるべき。と思ってね」
「それ個人的な恨みだよね、あともしかして既に行った?」
「ゼンゼン!」
「まぁいいけどね……」
あの太った親父め、師匠をだまして恥をかかすとは後からになってどうにか出来ないか考えていた所だ。
あれ? 見てたのは石取のおっさんだっけ? まぁどっちでもいいか、散々インチキで勝負したんだ。
シグマには悪いが俺は『カジノをつぶすつもりで来た』と最初に伝えてある。
「仮に潰すとなったら戦力は?」
「私はギルドマスターだよ? 小さくて経営も赤字続きだけど顔は聞くからね、制圧するのに戦力は平気さ、今の私なら君に一晩抱かれてもいい」
「いやぁ、それは断るよ」
テーブルをドン!! と叩かれた。
丁重に断っただけなのに。
「そこは冗談でもうれしいと言うべき。でも感謝ーこれで裏カジノかぁどっちに転んでも、がっぽがっぽ運営も楽になって皆にお給金も払える」
「感謝ついでに魔女の事を知りたい、魔女ってなんだ?」
魔女。
『マナ・ワールド』の中で隠しキャラの師匠メルギナスの職業。
後付け設定っぽさが凄くて魔女と言うなで忌み嫌われてる。
そこが良くわからないんだよね、実家にある本にも何もなかったし攻略ページでも特に記載はなかった。
「それはね……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます