双魂伝

@p-tmtro

プロローグ

 むかしむかし、あるところに妖退治を仕事にしている家族がいました。


 そこにはお父さん、お母さんと3人の息子が仲良く暮らしていました。


 ある日、三男が言いました。


「修行の旅に出ます。お家を継げるくらい強くなったらまた帰ってきます。」


 その言葉にお父さんは感動して背中を押し、お母さんは涙ながらに見送りました。


 その三男の名前は水蓮すいれんといいました。


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 ついに水蓮は妖の総大将と一騎打ちになりました。


 その戦いは三日三晩続きます。


 水蓮は力尽きそうになりながらも最後の力を振り絞り、その身ごと妖達をあの世へと封印することに成功したのです。


 人の世には平和な世界が戻ってきました。

 

 しかし水蓮は妖と共に封印されたため、あちら側ではその身が滅ぶことも無く、終わることの無い戦いをしています。

 そのことに心を痛めた人々は尊敬や感謝の気持ちも込めて彼のことを 水蓮様 と呼び、人の世をそうしてくれたように、彼もどうか平和に過ごして欲しいと願いを込めて今も大事に敬っているのです。





 昔話「ふたつのたましい」より抜粋

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