学祭

 この時ほど青春を感じられる時は無いだろう。私の青春は文章に起こしても全く面白く無い。なので、他人の面白い話を書こうと思う。私の学校の文化祭の規模はそれなりに大きなもので、運営からほとんど生徒が行う。先生はコンプライアンス等のチェックぐらいで、ある程度自由にさせてくれた。この学校唯一と言っていい良い点だろう。自由にさせてくれると、様々な人間が出てくる。後輩に文化祭準備での技などを教えられないコミュ障人間や、何かに取り憑かれたのかと思うくらい自分が正しいと主張する人間など、さまざまいた。

 前者の文化祭は文章に起こしても全く面白く無かったので、後者の話をする。彼は(以後Kとする)文化祭の受付を担当する部署の部署長になった。Kは受付に関することに異常な執着をみせた。1つは入場チケットに関してである。文化祭実行委員会の中にはデザイン班がいて、それは素晴らしいチケットデザインを作っていた。これで印刷しようとKに提案した際に、彼はこの様なものは知らないと言い始めた。それは知らないのは当たり前だろう。今確認にあがったのだから。であるがKはその知らないの一点張りで、デザインを却下した。デザイン班も黙ってはいなかったが、Kの行動でデザイン班は黙らざるを得なかった。Kはあろうことかデザイン班の人間に蹴りをいれ、何か言葉にならない言葉を喚き散らかしながらその場を去った。一同唖然とした。結局デザイン班の努力虚しく、Kの考えたオレンジ一色の陳腐なデザインのチケットとなった。

 Kは周りの意見を聞き入れない人間であった。文化祭当日も受付の業務で、合理的に考えればそうはしないだろうと思う様なまどろっこしい事をしていた。並ぶ人間が居ないのに、何故待機列の動線のために引かれたコースを一周させて受付に行かせるのだろうか。待機列の動線を無視して、直接受付に行けばいいものを、何故その動線を切らないのか甚だ疑問であった。私はKに何度か動線を切らないのかと尋ねたが、このままにすると断固として譲らなかった。最後の方では怒声に近い声で言われたため、次尋ねたら蹴られるなと思い、諦めることにした。私は受付の仕事も大概にして離れたが、残っていた人間は彼の言動にいちいち気を使わなければならない状況にうんざりしていた。とても面白い。

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