ひよこ鑑定士になりたい
相棒
私はアルマです。
現在の立場は聖女です。
ではその聖女とは一体何をする人なのでしょうか。
この世界での聖女の役割は、人々を正しい方向に導くことです。
ふわっとしてますね。
もう少し詳しく言うと、聖女には特別な力があります。
むしろ特別な力を持って生まれたからこそ聖女に選ばれると言った方が正しいかもしれません。
聡明な読者の皆様におかれましては、既にお察しになられていることだとは存じますが、聖女の一人である私にも例に漏れず特別な力があるわけです。
私が生まれ持った能力、それは相手の心を読むことです。
対象は人に限りません。
動物はもちろん、場合によっては植物の心を読むこともできたりします。
植物に関しては樹齢が百年を超えた大木とかじゃないと無理ですけど。
若いのは無理です。
さて、そんな私には相棒がいます。
彼の名前はバウワウ。
黒猫です。
道端でへたばっていた彼を私が拾ったのです。
拾ったその時は猫を飼う余裕なんてないと教会の人に怒られるかと思ったのですが、実際教会に連れ帰ってみると、教会の人たちは私の行動を称賛しました。
聖女というのは好感度で成り立っているような職業なので、このような性格がいい感じのエピソードは教会の人たち的にも大歓迎なのだそうです。
ところで私は今、自室の机に座っています。
そしてバウワウは出窓の窓枠で体を丸めて日向ぼっこをしています。
「バウワウ」
私が声を掛けると、バウワウは億劫そうに眼を開けてこちらを見ました。
「なに?」
バウワウは心の中の声で訊いてきました。
「私、ひよこ鑑定士になりたい」
「うん。最近毎日そんなこと言ってるね」
バウワウは心の中で呆れたようにそう言いました。
「最近急に思い始めたことじゃないの。私は小さい頃からひよこ鑑定士になりたかったのよ」
「ふーん。一体なにがきっかけなのさ?」
「聞きたい?」
「あ、やっぱ興味な」
「あれは私がまだ聖女になる前のこと……」
「あぁ勝手に始まっちゃったよめんどくさいな」
私はバウワウに、ひよこ鑑定士を夢として定めることになった出来事を話し始めました。
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