御伽噺戦争・VR旅行記四回目

やあ、こんにちは。御伽噺戦争メルヒェン・クリーク・VR(メルクリVR)の旅行記の四回目だよ。


つ 森の中を流れる川、川べりにはファンタジーな木々が生き生きと植わっている


前回の予告通り、戦乙女公国ワルキュレア首都の南門先に流れていた川を遡ってきたよ。

北西から南東へ流れる川で、源泉となる場所は首都の北にある山脈の一つにあった。


つ 雑な地図、首都と書かれて囲まれた赤丸の北西にある山という字に「ココ」と矢印


場所はここだから、気になったプレイヤーはぜひ観光しに行ってみてくれ。ただ、結構な標高まで登山をしたし、なかなか自然なままの道しかなかったから、登山慣れしてない人は注意が必要かな。

あと、ワルキュレア以外の所属の人は、首都である程度好感度を稼いでおかないとこの地域には足を踏み入れることができない点も注意。


つ 適宜手入れされている様子の森、しかし途中で区切るかのように虹色の透ける壁がある


わたしはそもそもワルキュレア所属だったのと、元々首都でも首都近郊でも住人たちとそれなりに濃密に交流を楽しんでいたこともあって影響はなかったけど、後日別の国の知人とここを通ろうとしたら、知人だけはじかれていたよ。

この後、いろんな場所を回ったときもそうだったけど、各国、国の重要施設に関しては一定条件を満たしていない他国民の侵入を制限しているとのことだ。

なお、自国民でもいたずらでとんでもないことをしでかすような、一定数の罪業値を持つ人間は立ち入りを制限しているようだよ。

たぶん、この旅行記を見てくれている読者の中にも一定数いるんじゃないかな。


たとえば、立ち入り禁止と書かれている場所に許可なく立ち入ろうとするとか。

たとえば、ここから先私有地と書かれていようが、気にせず立ち入って写真を撮るとか。

たとえば、限定品が欲しいからと禁止されてるのに夜中から並んだりとか。


先の写真に写っていた虹色の透ける壁……国家重要施設における守護結界というそうだよ、この名前でわかるとおり、結界で立ち入りを制限しているのさ。

メルクリVRの世界は、本当によくできた世界だ。住人たちのAIもかなりのものだし、高性能なダイブ式VR技術はわたしたちの思考をタイムラグなくメルクリVRの世界に反映させる。それは、言動だけではなく、思考回路それ自体もだ。

たぶん、メルクリVRをプレイしたことがある読者は何となくわかるんじゃないかな? この世界はまるでわたしたちの考えてることが丸っと筒抜けになっている感覚に陥ることがある。

それはおそらく正しいと思うよ。この世界は、ある一定の部分でわたしたちの思考回路を脳波から読み取って判断してる。


わたしと同じ依頼を受けていたと思われるプレイヤー一行がいたのだけど、報告が彼らのほうが数分早かったはずなのに、褒賞はわたしに出て彼らには出なかった。彼らはそれについて抗議をしていたけれど、逆に国家への反逆テロリストを手引きしようとした罪で投獄された。

後々関係者から聞いた話だと、彼らは本当にテロリストとつながっていたわけではなかったが、この褒賞を得た後はいわゆる「バズる」ための行動のために、テロリストに連絡を取ってみようとパーティーチャットで話し合っていたところだったらしい。


あ、この投獄案件はちゃんとメルクリVRの処罰報告書に掲載されているから、そちらを読んでみてほしい。

この彼らは一気に罪業値が上がって、どこの国の首都にも入ることができなくなったようだよ。


小難しい話になってしまったけれど、変なことを考えず、メルクリVRの中でも現実と同じように普通に遊んでいる人には関係ない話さ。

そう、そういう人たちは、ここをじかに見ることができるはずさ。


つ 森がぽっかり開けた場所、湖のようなものが見える

つ 開けた場所にそれなりのサイズの湖、湖の周辺にはふわふわと鳥類の羽が降っている

つ 手に握られた羽、その輪郭はきらきらと光っている


こちら、戦乙女公国ワルキュレアの聖所の一つ、「羽降の水処」だ。

この羽がなぜ降っているのか、はいろいろあるらしく公式からまだ旅行記に書かないでね☆ ってお願いが来てるので書かないが、空から羽が降ってきて、湖の水に触れた瞬間に水に溶けていくその様子は本当にきれいだったよ。

この羽は、一人一枚だけ取得可能だ。どんな効果があるのかは……取得してからのお楽しみだよ。


つ 先ほどと同じ羽を握った右手ピースとその向こうに羽降の水処


ということで、ワルキュレアの観光地を一つ紹介完了だよ。

住人たちに聞いたけど、この周辺にもう一つ、住人だけが知ってる秘境があるらしいと聞いたので、そこに行ってみようかな。

行き方が難しいと聞いているから、わかりやすい道順説明を考え付くまで少し時間が欲しいな。

次回を楽しみに待っていてくれ。

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