ロード退治
身体が重い。
頭が重い。
ここ10年くらいで、ここまで身体を使って動いたのは初めてだ。
これだけ頭を使ったのも久しぶりだ。
両方合わさると、疲労感が半端ない。
これが、5階層周回前だったら無理だったかもしれない。
そう考えると、老化に抗い40歳の今、若いころのような体力を発揮できていることを喜ぶべきかもしれない。
顔は40歳、心は10代、身体は20歳。
いや、自分でも何言ってるのか意味が分からない。
これは完全に疲労が脳に来てる。
だけど、まだだ。まだ終わってない。
オーガジェネラルは抑えてくれているけど、もう一匹のオーガロードは暴れている。
あれを倒さないと終わらない。
多分、あれはさっきのをみてはいないだろう。
「この盾は、すべてを護る絶対の擁壁。あらゆる敵を弾き、我に光の加護を授けよ。我は拒絶し我は決意す『マジックシールド』」
「大気に宿る悠久の精霊よ、その零下の息吹を放て。我が求めに応えて、ここにその姿を現せ! 『アイスバレット』」
「その翼は敵を裂き、その吐息は空を穿つ。幾千の刃を纏いしその気高き咆哮を敵に示せ『ウィンドスピア』」
幸いにも手に持つ剣はまだ蒼白く燃え上がっている。
3種の魔法を発動しその場へと待機させる。
眼には見えない負荷がかかっているのか、脳の奥の方が熱い気がする。
あれを倒せば終わりだ。
終わったら、今日は酎ハイを飲もう。
今日は頑張ったし、プレミアム酎ハイだな。
焼き鳥のモモを買って帰ろう。
あとはみんなで帰るだけだ。
集中力を高め、再び脚と剣を持つ腕に力を込め、溜める。
オーガロードに一人弾き飛ばされた。
ルートが開けた。
脚を踏み出しオーガロードに向け駆ける。
オーガロードと視線が交差する。
完全に俺の事を認識しているけど、そんな事はどうでもいい。
さっきと同じ動作を繰り返すだけ。
一度やった事をトレースするだけ。
集中して、その作業を実行する。
オーガロードとの距離がすぐに詰まる。
こちらを叩き潰そうと武器を振るって来る。
大丈夫だ。
『マジックシールド〛を誘導してオーガロードの攻撃を封じる。
蒼白く燃える剣をオーガロードに向けて振るう。
間髪を容れず『ウィンドスピア〛をオーガロードの顔に叩き込む。
完全に動きを止めた巨体に向け、剣を突き入れ燃やし斬る。
終わった。
オーガロードはその身を焦がし消滅した。
まだオーガジェネラルが一匹残ってはいるけど、他の隊の人達が集団で迎え撃っているので大丈夫そうだ。
戦いの時間はそう長くはなかったけど疲れたなぁ。
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