襲撃

”おい、おい、おい、これって石橋隊”

”全滅。最悪だ”

”マジか。昨日配信切れるまでみてたんだけど”

”5階層だろ? なんで石橋隊が”

”無茶したのか?”

”石橋隊長はそんなタイプじゃない。慎重なほうだぞ”

”石橋隊って相打ちだったのか?”

”わからん。もしかしたらまだいるかも”

”やべ~んじゃ。頼むぞ。事故るな”

”ここでフラグはダメだろ”


「4階層に戻るまでは、4隊で四方を護る形で進みましょう。絶対に気を抜かないように」


俺達は中団左を受け持つこととなり、他の隊と歩調を合わせ。今来た道を戻る。

空気が重い。

来る時も緊張感はあったけど、それとはまた違った緊張感が漂っている。

石橋隊はどのモンスターと戦ったんだ?


「花岡さん、きます」


湊隊長の声で意識をすると足下が微かに震えている。

この振動は、いつものあれか。

足を止めてモンスターの襲撃に備える。

敵が後方の西岡へと襲いかかる。


「うちの隊だけで大丈夫だ! 散開!」


西岡隊が交戦状態に入る。


「花岡さん、ここは見学させてもらいましょう」

「わかりました」


湊隊長も、こう言ってるし連携が崩れるので下手に手を出すなという事なんだろう。


「その羽は刃。数多の敵を切り裂く。我が前に立ち塞がる敵を斬れ。『ウィンドカッター』」

「この現世に住まう精霊よ、我が盟約に従いここにその力を示せ。原初の炎よ舞い踊れ! 『ファイア』」


現れたモンスターの数は3匹。

西岡隊の隊員が魔法を発動し、姿を見せたモンスターを倒しにかかる。

西岡隊は手慣れたもので、連携を取りながらモンスターを順番に倒していく。


「あぶない!」


誰の声だっただろう。

戦いを続けている西岡隊に向け声が上がった。

直後、今までよりも大型のモンスターが砂中から現れ西岡隊の一人がその場から弾き飛ばされた。

え……。

一瞬何が起こったのかわからず身体が強張る。


「井口!!」


すぐに西岡隊の隊員が、護るように間に入り追撃を防ぐ。

4匹目がいたのか。

俺がみたことある砂中のモンスターとしては一番大きい。

西岡隊の3人がモンスターを取り囲み魔法を発動する。

大型のモンスターが魔法による攻撃を喰らい再び砂中へと潜る。


「皆さん注意してください。桜花さんは、井口隊員の所へ」

「はい」


桜花さんが、飛ばされた隊員へと向かい、俺達は大型のモンスターが再び現れるのに備える。

他の隊も同様の動きをみせる。

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