休日
市川さんと別れてから、歩いて家に帰る。
久しぶりに一杯飲んで帰ると、歩く足も軽くなる。
厳密に言うとそれほど久しぶりでもないかもしれないけど、今日の雰囲気で市川さんだけ飲ませるというのはちょっと違う。
そういう事にしておこう。
部屋に戻ってからは、飲むのを控えたのでこれで差し引きゼロだ。
それにしても、同期の人は辞めてるし、市川さんも追い詰められてたし今日は驚くことばかりだった。
まあ、魔法が使えるからといって3ヶ月学校に通っただけだしな。
だけど、あんまり長いと人数足りなくなるんだろうし、ここら辺は難しいところなんだろう。
俺も社会人になりたての頃に、理想と現実のギャップを感じたことがある。
多分それに近いのだろう。
みんな俺と違って若いし、そういうのもあるよな。
市川さんも、最初の躓きを乗り越えてくれると嬉しいけどなぁ。
§
それからしばらくの間は5階層で探索を続ける事となった。
情けない事だが理由はもちろん俺だ。
5階層のモンスターには問題なく対応できた。
地中のモンスターも何度も戦っているうちになんとなくわかるようになってきた。
もう、ほとんど苦戦することもなくなっていた。
だけど、その砂漠を思わせるフィールドに適応することはおっさんである俺には難度が高かった。
体力、筋力、持久力、そして外的環境への適応能力、一言でいうならそれが劣っていた。
凜や桜花さんが普通に歩けるところを俺には無理だった。
そのせいで、戦闘以外で著しく体力を奪われ、湊隊長により更に奥に行くのは厳しいとの判断を受け、5階層で劣っている部分の強化を兼ねて滞留することとなった。
「凜、申し訳ない」
「ぜんぜんいいよ~」
凜はこういってくれてるけど、最初5階層に降りてきた時に早くこの階層を抜けたいって言ってたのに、やっぱり凜は優しいな。
それでも亀の歩みだけど、最初の頃よりは慣れてきてると思うんだよな。
明らかに筋肉痛とかも減ってきてるし。
”5階層で特訓してる新人って初めて見た”
”普通は2階層でやることだろ”
”やっぱ修太朗はふつうじゃない”
”モンスターは余裕だし体力的なとこだけでしょ”
”まあ、いくら修太朗でも40歳だし砂漠はきついわ”
”それにしても湊ちゃんもスパルタだな”
”いや、ついていけてる修太朗がすげえ。しかも徐々に順応してきてる”
”太郎が基礎体力も上がったらもう無敵”
”体力ついたらあっちも凄そう。きゃ~”
”すご太郎”
”だけど、5階層ばっかでも飽きない”
”むしろ海外勢も増えて、同接増えてるな”
”修太朗おそるべし”
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