市川さん
”今、俺は武神を見た”
”これが花岡の本気か。すごいの見た”
”速すぎて残像見えた。残像ってアニメだけじゃなかったんだ”
”初級魔法って何ぞや”
”りんりん怪我なくてよかった”
”落ちたな。あれは惚れるわ”
”りんりんに限ってそれはない”
”男の俺でも惚れるわ。ヤバっ”
”「無事でよかった」渋い。渋すぎるっ。俺も誰かに言ってみたい”
「あ~今日は疲れたな~」
モンスターをうまく倒せたのはよかったけど、地上へと戻るのに結構疲れた。
行きよりは楽だけど、それなりに疲れた後に戻るのは辛い。
ウォーキングしたりしてみてるけど、効果が出るのはまだ先のようだ。
地上へと戻り、報告書を書き上げ、今日一日の業務が完了したので、市川さんに連絡してみる事にする。
俺も入社してから自分のことにかまけて誰にも連絡できてなかった。
休みの日は結構ゆるっとしてたのに反省だ。
【調子はどうですか】と入れると、【今日時間ありますか? ぜひ会ってお話がしたいです】と速攻で返信があったので、居酒屋で待ち合わせすることにした。
先に入って待っているとほどなくして市川さんがやってきた。
俺と同じで仕事帰りだからか、この前会った時より少し疲れているように見える。
「とりあえずビールにしますか?」
「はい」
「じゃあ俺はウーロン茶」
「え? 飲まないんですか?」
「ちょっと色々あって外では控えることにしたんです」
「そうなんですか。ちょっと残念です」
注文するとすぐにドリンクが運ばれてきた。
「市川さん、お疲れ様です。今日仕事だったんですよね。俺もです」
「ほんとに疲れました。もうくたくたです」
「いや、実は俺も今日は疲れました」
「え? 修太朗さんがですか? 勤務がかぶってることが多いのでライブは観れないですけどアーカイブで観てますよ。大活躍じゃないですか」
「市川さんも観たんですか」
「それは観ますよ。なんといっても花岡さん世界トレンド一位ですからね」
知り合いにそれを言われると、本当に恥ずかしい。
「どうですか? 市川さんは少し慣れてきましたか?」
「全然慣れませんよ。思ってた100倍きついです」
「あ~歩きますもんね」
「歩くくらいはいいんです。でもゴブリン、あれなんですか? なんであんなに強いんですか? おかしくないですか? あれで一番弱いって絶対嘘ですよね。あんなの普通にしんじゃいますよ? ブラックすぎます。お金はいいかもしれないけど、私基本事務系なんです。あんなのと正面から戦うって無理じゃないですか?」
この感じ、よくないな。
市川さん、ちょっと余裕がなくなってきてる。
前の会社でも新入社員の子の何割かが、危うい感じになることがあったけど、それに近い。
「市川さん、今はゴブリンと戦ってるんですか?」
「そうです。2階層でゴブリンと戦ってるんです。一日中ですよ? 肉体労働すぎますよ」
男の俺でも、結構きつかったりするし女性である市川さんには肉体的負担が大きいのは理解できる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます