盟約
まあ、今日はいろいろあったけど早く帰れたし怪我せず1日を終えられた事に感謝だな。
俺は事務所を後にし、いつものように歩きでコンビニに寄ってから弁当と缶酎ハイを買って部屋へと戻った。
職場と家を歩いて出勤もそうだけど、ダンジョンもそれなりに歩くし会社勤めの時よりも健康的な気はする。
そして仕事を終え、家で飲む1杯の美味さは以前よりも増してる気がする。
「う〜〜ん、うまい!」
このおいしさたまらない。
たまらないけど、家では1本だけだ。
調子にのって飲み過ぎるとろくな事がない。
あ……。
凛と話すのを忘れてた。
イレギュラーな事が起こってしまったからというのは言い訳だ。
明後日こそ必ず凛と話さなければ。
§
防衛機構の一室。
「……………やあやあ、ウチの子はどうなったんだい? 戻って来ないんだがそれなりの成果はあげてくれたんだろうねぇ」
「アレか。結論から言うと成果は無しだ」
「成果無し? あれはゴブリンとはいえ、王種。育てるのにもそこそこ時間を要した子だ。その子がなにも成果をあげられなかったと?」
「まあ、そうなる」
「説明してもらえるかな? タイミングはそちらに合わせたはずだが?」
「簡潔にいうとイレギュラーだ」
「イレギュラー?」
「そう、完全なるイレギュラーだ」
「それで納得しろと?」
「いや、本来あのタイミングであれば問題なかったはずだ。想定通り隊長格もいたようだが、それでもだ」
「まさかとは思うが、我らとの盟約を忘れたわけではないのだよねぇ」
「それはない。私1人でそのような事はありえない。今回想定外の力を持った者が1名紛れ込んでいたんだ」
「1名? もしかしてそれがうちのをやったってことかい?」
「……まあ、そうなる」
「中々、興味深い。王種を狩れるとは、いい素体になってくれそうだ」
「最近、配属されたばかりで、私も把握してはいなかったんだ。次回、そちらでターゲットにしてもらっても構わない」
「ほぅ、それではそうさせてもらうとしようか。また、都合のいいタイミングを指示してくれるかい? 今度はもう少し上位の子を向かわすとしよう」
「ああ、わかった。確認して近々に伝えよう」
「待ってるよ。楽しみも増えた事だし。やはりそちらは面白いねぇ」
§
「ふ〜、引き下がったか。結構な圧をかけてくれるものだ。それにしても厄介な事をしてくれたものだな。花岡修太朗か。あれさえいなければ、今回もスムーズに進んでいたはずだ。まあ、奴も興味を持ったようだしあれにまかせて早々に退場してもらった方が良さそうだな」
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