魔法剣
「修太朗さん、配信も盛り上がってますよ」
「それはよかったです」
大仁田さんが活躍したから、ファンの人達が盛り上がってるんだろうな。
それにしても桜花さんも大変だ。
ダンジョンに潜りながらカメラを携え、配信の反応迄確認しないといけないんだから。
”ちょっ、いま魔剣てきこえた”
”錆びた剣=魔剣”
”キタ~魔剣”
”ってことは修太朗は魔剣士”
”魔剣士修太朗かっこよ”
”錆びてるからってバカにしちゃだめだな”
”いやでも大仁田じゃ使いこなせないっぽい”
”修太朗ならいける!”
”呪われたりしないのかな”
「修太朗さんがいると話題が尽きないので嬉しいです」
「そうですかね」
「はい、同接も増えてますし修太朗さんには感謝です」
「いや、俺は何も」
「今月の給料すごいかも」
「そうなんですね」
配信でインセンティブがつくっていってたけど、桜花さんの口ぶりそんなにすごいんだろうか。
以前からちょくちょくその話題がのぼってる気がするけど、俺としてはこんなのでインセンティブをもらって大丈夫なのかと不安しかないけど、先輩たちについていくしかない。
「またゴブリンっす」
「うん、せっかくですから修太朗さん、ちょっと『ファイア』を使ってみてくれませんか?」
「『ファイア』ですか?」
ゴブリン相手に『ファイア』を使用する指示が出るのは初めてなのでちょっと驚いたけど、湊隊長が言うんだから何か意図があるのかもしれない。
「この現世に住まう精霊よ、我が盟約に従いここにその力を示せ……」
あれ?
『ファイア』の詠唱を唱えていると、先ほどの『ギリスマティ』の時同様に魔力が錆びた剣へと流れ込んでいくのを感じる。
ただ、先ほどと違い剣が僅かに赤みを帯びてきている気がする。
これって……。
「原初の炎よ舞い踊れ! 『ファイア』」
俺は詠唱を続け、更に魔力を込め魔力の流れを意識してみる。
「おおっ」
『ファイア』がゴブリンに向けて飛んで行くことはなく代わりに俺の手にある錆びた剣が燃えている。
不思議なことに、刃の部分が青白く燃え盛っているにもかかわらず持ち手はさっぱり熱くない。
これが魔法の神秘か!
「隊長! あれって」
「さすがは修太朗さんですね。本当にこうなるとは」
”おおおおおおおおおい”
”剣が燃えてる! 燃えてる! 燃えてる!”
”いや、あれは燃えてるんじゃない。燃やしてるんだ”
””燃えて溶けたりしないのか?”
”錆び落としかも”
”絶対違うだろ”
”かっけ~あれはまさか”
”伝説の魔法剣!”
”いや、伝説ではない。たまに見かける”
”いや、いや、いや。こんな燃えてるのは見たことない”
”魔法剣って日本だと有名どころで氷剣フェンリルか”
剣が燃えているのを見て、ゴブリンが怯む。
これを見たらそうなるよな。
いや、問題はこれって振っても大丈夫なんだろうか。
素の状態でも斬れたわけだし炎を纏っていたとしても同じ剣だし斬れないってことはないと思うけど。
服に燃え移らないようにだけ注意してやってみるか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます