セイバーギアは買える?
「りんたろ~どうだった?」
後藤隊へと戻ると凜が声をかけてきてくれた。
「おはようございます。何か、褒められたというか激励というかそんな感じだと思う」
「それは世界トレンド1位だもんね」
やっぱり、凜も知ってるのか。
もしかして知らなかったのって俺くらいなのか?
「今日の配信が楽しみですね」
「ああ、桜花さんもおはようございます」
桜花さんの言ってるのは、世界トレンドに乗ったからって言う意味だよな。
だけど、世界トレンドなんてたまたま乗っただけだと思うし、今日の配信も特別何もないと思うけど。
そもそも、世界トレンドなんか毎日更新されてるんだろうしそんなにすごい事なんだろうか。
少なくとも俺はこの40年そんなものを気にしたことはない。
「それじゃあ、みなさん準備して向かいましょうか」
「はい」
凛に色々と確認しないといけないけど、さすがにみんなの前では難しい。
しっかりと切り替えて、今日もこれからお仕事だ。気合を入れてダンジョンへと向かう。
「あ~それっすか。ゴブリンキングのドロップの剣は」
「はい、支給していただいてた剣が折れてしまったので、これを使わせてもらう事になりました」
「大きさは、修太朗さんが使ってたセイバーギアと同じくらいっすね」
「ええ、振った感じは問題なさそうです。ただ……」
「あぁ……錆びてますね」
「ええ、錆びてるんです」
全面的にあの業物の支給品を折ってしまった俺が悪い。
一本しかないドロップ品を俺に使わせてもらえることにも感謝しかない。
だけど、この剣錆びてるんだよな。
しかもちょっと錆びてるんじゃなくて思いっきり錆びてる。
果たしてこれでモンスターが斬れるのか心配になるレベルで錆びてる。
最悪、貯金を切り崩してもう一本支給品のセイバーギアを貰えばいいか。
俺が買える値段ならいいけど。
「はいは〜い。今日も後藤隊の配信始まるよ〜」
スライムのエリアを抜け2階層から配信スタートとなる。
しばらく進むとすぐにゴブリンの群れに遭遇した。
「みんな〜、ゴブリンキングスレイヤーのりんたろ〜がゴブリンを倒しますよ〜」
凛はがカメラに向かって話しているけど、色々とツッコミたいところが……。
ゴブリンキングスレイヤーってなんだ?
そもそも、りんたろ〜って誰?
いや、この前話した猫の名前だとは思うけど、なんで俺もりんたろ〜?
“おおおおお〜きた〜!”
“りんちゃんかわえええ“
”しゅうさまああああ〜“
”ゴブリンキングスレイヤーの登場“
”世界の修太朗“
”すまん、りんたろ〜って誰?“
”ヤバ、開始5分で200万超え“
”湊ちゃん、こっち向いて〜〜“
“陸〜かわいい〜!! 食べちゃいたいわ”
ゴブリンは全部で6匹。
モンスターが油断ならないのはわかってるけど、昨日あれだけ戦ったので以前とは少し印象が異なる。
これを成長と言っていいのかそれともただ気が緩んでしまっているのかは自分ではよくわからない。
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